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知的な反撃なんて

学生の頃から京都に住んでいたモネにも京都で生きる若い世代の信望者が何人もいたが、

老人たちがトップダウンで長年君臨するような、黙って毎月会費を負担する多数の会員を抱える組織や大きな資金がないので他業種にわたる影響力などはとても持てなかった。


出身校偏差値がモネの大学よりもずっと低い場合でも親の社会基盤や財産があれば社会にでてからの選択肢はいくらでも無限に拡がる。


そのことを卒後身をもって知ったモネは、その手の力を使えない本物の努力ができて能力を持つ若い者への支援を大事にしようと努め、結果的に成功を導いてきたのだが、

彼らのほとんどは大きな儲けが安定したとたんに自分の功績だとして勝手に顔を売った挙げ句、たいていモネの嫌いな既存の組織に取り込まれたあと放り出されてしまう。


論理的思考が可能な人物と見込んでいても。


権力・権威・財産などといった社会的な力を持っている人間には誰もが歯向かいにくくなるがそれは本来は組織を構成するメンバー次第なのに、そもそもメンバー選定の時点で組織に盲目的に従うであろう人間しか入れないことになっている。


モネは、わざと高圧的な話し方をしない京都の老人達が権力を強く意識させようとしてくるのも好きでなく、

俺はエラいんだ、それを忘れるな、といった無言の老いた圧力にはとりわけ反撃したくなる体質だ。


モネのコンサルティング事業ではどうしても立派な大義名分より目の前の利益に右往左往する人達を相手にすることが主流になるので、彼らに目を離すと飲み込まれてしまう。


大きな資金であちこちに邪魔を仕掛けてくる輩とは同じグラウンドに上がらず、ひとまず棚上げ先延ばしにしておきながら隙を見つけて進めてきてのに、

このままでいけるのかとモネは迷っていた。


カエデやアツシ達の世代が今頑張ったところで、社会に出た途端に自分達では社会を変えることが出来ない単なる納税担当労働者層に固定されてしまうのを知っているケンゾーは、すでに、なかばしらけたギグワーカーになっている。


’もう、保険医はやりたくない、退職金も何も無いのに責任が重すぎるわ!‘

ある日、モネの妻が仕事を辞めて帰ってきた。










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