児童婚って…
ユカリは17歳にしてはこのまま50歳くらいまでいけるオバサン顔だなぁ、と思ってしまう。
そもそもオバサン顔というのは器が大きいところにパーツも大きい感じなんだけど、ユカリはそれを黒髪で隠しているので余計に怪しい空気を醸している。
多分、顔の浮腫を取ってオデコをパッとだして眉と瞼の位置を顔全体からバランスを取ってきっちりメイク製作をすると美形になると思うのだが…、
カエデにはどうでもいいことなのでいちいち口にはしない。
なんでお弁当を誰かと食べなければならないのか?というとこから、もうカエデには意味がない。
真剣に取り組んだら数日で終わる学習をダラダラと何十人も一緒にやることでしか卒業資格がでないということ自体がありえないほど馬鹿げていると思うので。
若く健康で美しい自分の裸体を見て知っているカエデは、もしかして、結婚して高校に通う選択をすれば社会の大人の反応も観察できるし面白いかもなぁ、などとさえ思っている。
しかしながら地球上のこの現代世界では18歳にならない年齢での結婚を社会的な問題としているようだ。
日本は100年もたっていない昭和時代の前半頃までは、女は学がない無知で素直な女こそ男からの利用価値があるのだと重宝され、15歳になるかならないかで妊娠出産していたものだ。
高3のカエデの同級生たちも17歳と18歳の妊娠可能な子宮だらけなわけだが、ひとまず勉強するための期間という猶予が与えられているだけということになる。
貧しい国では女の子の子宮が男社会のビジネスになって妊娠、出産、取引されたりする現実には吐き気がする。
ユカリはいつもいつも周りの目を気にしているので誰かと友だちのふりをしないと毎日を生きていけなさそうだが、誰もユカリを気になんかしてないのに、と、カエデには自己中心的が過ぎるだけに見える。
ユカリはチラチラ見てくるくせにこちらが視線を預けるとサッと秒でそらすので怒りさえ覚えるわけで。
親が貧乏だったらどーすんのよ、と聞いてやりたいが、カエデにはユカリの答えに興味も無いので食べ終えた弁当箱を片付けること無く窓のそとを見つめていた。
ユカリがなんか小さい声で言ってるようだが、それよりは鳥が一羽で何度も同じルートを翔んでいるのが目にはいった。
鳥は食べるために1日を費やして、たまに交尾して、卵を守って、ヒナを育てて、あとは死ぬのだけれど、親によって教育を受ける機会を決められる人間よりは一生懸命で平等だな、と思いながらユカリの方に視線を向けた。




