表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/46

頑張れば報われる社会ならば

’あなたたち、診断を担当する医者の人件費って高過ぎるのよ、ナース系医療者の5倍の時給を国が認めてるの知ってる?だからこそ医学部は庶民の目標になるわけだけど。ワタシは妻に医学部もいける学力ね、って褒められるけど、病気の人ばかり相手にするのは嫌だったわ。‘


アツシはいつも滑舌良く早口で笑顔のモネの話が大好きで、今日もカエデの方を見向きもせずに全身で聴えている。


’誰もが子供の頃から知ってることとしては、日本で頑張れば報われるのは医学部だけかもしれないわね。大学名や性別は関係ないわ、あとは、親のコネか有力者との婚姻必然ね。’


とにかく親も子も東大を目指すことしか考えていない中学入試を成功して入った学園の環境下ではアツシとカエデは自分達の目標を少しずつ下げ続けてきている者たちのひとりだったが、関西の京大にも大きな興味はあった。


強いカリスマオーラを放つモネが端的に考えを話してくれると、聴いている方は、その全てがすっと頭に入ってくるので、まるで宗教団体の教祖の前にいる信者のようになってしまう。


’奥さんはお仕事なんですか?‘


カエデの初めての質問に、妻は病院の休日診療の当番で稼いでいるわ、とすぐにモネは優しく答えてくれた。


モネの妻は美容医療の皮膚科医で、収入のない東大生6年目の妻の弟のケンゾーにはこのうちの空いているひと部屋を使わせてあげている。


妻はモネより年上の38歳だが、ヒアルロン酸やボトックス、プラセンタを自分の顔や唇に少量打ったり点滴を試したりしているので28歳くらいにしか見えない、とモネに聴いてから、カエデはどうしても会いたくて仕方がなかった。


‘老人が多い今の日本では、誰でも頑張れば幸せになるためのお金を自分のためだけに持てないのですか?’


モネとの会話はゼミのようだが、先生のモネはモヒートという強いラム酒が濃いめに入ったミントの葉っぱだらけの大きなグラスの飲み物を飲んで少し酔っている。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ