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頭脳労働はAIの勝ちで

’今日はうちにいらっしゃい、そろそろ駐車場にケンゾーが来るから。2人は彼の白いR550にのせてもらって来て。ワタシは自分ので先に戻るから。‘


モネの後について建物の南西裏側の小さいほうの駐車場に降りて行くと、大きな白い車の運転席にケンゾーが乗っていて手招きしている。


助手席には金色の髪をした多分カエデらとそう年齢が変わらなそうな若い男が乗っているが、顔はサングラスとマスクで表情はもとより誰だか分からない感じだ。


金髪の彼はケンゾーの恋人なのではないかとカエデは気になっていたが、アツシは大きいSUVなのにデカいセダンのような豪華な内装の高級車に乗るのは初めてで、車に対して大興奮していた。


滑るように走りゆったりした車内環境は車という乗り物に乗っているのを忘れるほどで、アツシはもっと長く乗っていたかったのにモネの家までは45分ほどしかかからず、モネはもう先に着いていて、何足もある綺麗な色のヒール靴の並んだ玄関でアツシたち4人を広いリビングに招き入れてくれた。


リビングにはオブジェのようにモネのウイッグがたくさん置いてあり、ケンゾーと連れの男の子が慣れた感じで腰を掛けたところは10人は余裕で座れるような大きなソファで、色は華やかな赤だった。


‘ワタシね、あなたたちの制服をみてすぐに陽東学園だと分かったわ、ワタシの頃の京大にもケンゾーの東大にも毎年一定数の生徒が入ってくるとこだもの。普通にやってりゃ難関有名私大行きってとこかしら?‘


カエデはモネの言葉を聴きながら室内をキョロキョロ見回し、整理されてホテルのような室内にセンスの良いモネの妻の気配を感じてなぜだか妙な気まずさを味わった。


’2人は外泊は出来る?親にきちんと話してね、京大の研究室に行くよって。来週は月曜日が祝日なので京都に行くのよ、せめて一泊でもいらっしゃいよ。’


モネからカエデと2人京都に誘われたのが嬉しくて、アツシは心と身体ががソワソワしてきた。


ケンゾーと金髪の男の子は何か小声で話しているがとても親しそうなのがすぐにわかり見てはいけないような気を遣っているカエデにケンゾーが声をかけた。


’カエデちゃん、こちら僕の恋人のシュンです。彼は中卒で料理の世界に入って今は恵比寿の世界的有名店のシェフの一番弟子なんだよ。‘


シュンは知らん顔をしたまま、冷蔵庫を開けて片手に持ったシャンペングラスで何か飲みながブリーや生ハムや野菜などの食材を出してバゲットサンドを作ろうとしていた。


アツシやカエデにとって映画のシーンのような時間だが、モネは2人が訊きたいことをいつものように先に勝手に話してくれる。


‘あなたたちの仲は察しがついたわ。ワタシは妻の美容医療の練習台で鼻を高くしたり肌のシミやシワを消したり協力してるのよ、他人の視線も興味深いもんでね。メイクしてるときに女言葉を使うのも面白いからね。2人に出会ったときも女の方のワタシだったわけ。’


頭がイイ人は性別も格好も本当に自由なんだ、とアツシとカエデが感心しながら、キッチンでケンゾーとシュンがじゃれたりキスしたりしているのをさりげなく見ていると、モネが2人に出来上がったカスクートを持ってきながら言った。


’間違えたり忘れたり知ったかぶったり老いたりする人間の医師の診断より、ほんの数秒でなん万症例ものデータから判断できるAIの診断のほうが確かなのはわかるよね?‘


























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