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ヒーロー文化でもなく宗教信仰心もない日本のフツーに自己中な女子高生

10代って、あれこれなんだかんだ、やることだらけで終わるじゃない?


これまで学生の自分の周りの大人はろくに社会の荒波を知らない教師とか主婦とか昭和生まれの年寄りとかで、まるで憧れとか尊敬に値しない。

同世代はカタログ知識で片寄った情報に右往左往しながら、いじめに会わないよう目立たないように静かに息をしながら様子は見ていて安全なとこでたまに、はみ出した調子に乗る。


カエデは中学では一年分の授業をひとつきで勝手に学べることに気づき、一年のほとんどの日々の大きく空いた時間で電子本ばかり読んできたせいで高校でも偏差値競争に意味がないことを理解しすぎ、すでに心の行き先を失くしている。


カエデは睫毛が細くて短いので3ヶ月ごとにマツエクをしなければならないのが、~自宅のものをメルカって美容系資金を作っている~、肌はもともと強いのか丁寧に洗顔するだけでニキビひとつなく色も白く、わりと鼻筋のとおった可もなく不可もないものの、とてもメイク映えする顔立ちといえる。


高3の新学期な入って1週間、みな自分と見かけ上仲良しになれる相手を探って気を遣って疲れているのに、数日クラスメイトをチラ見しては目をそらすだけの印象暗いめ上から目線のユカリが、学校が面白くなくて不登校になりそうだと母親経由で担任に泣きついているのが気に入らない。


怒りや憎しみみたいな強い感情は疲れるので持ちたくないし、

その女が登校しても話しかけないし、話しかけられても返事だけで会話はしない。


この学校は公立組織のように教師側が生徒や親に一方的な権力をもって子どもたちにうすうす分かっている過ちでさえ知らん顔して押し付けることはないが、良い生徒待遇を受けるには学外への好成績が大きく考慮される。


カエデは学校で学ぶことより外側の本当のことが知りたくて夢中で調べ、

18歳で選挙権を持たされた裏には年金を払わされるとか税金を払わされるとか、社会の多すぎる老人のために自分が稼いだお金を強制的に回す仕組みが確実に迫ってきているのも知っている。


女が明治や大正、昭和初期の頃だと15歳から普通に妊娠出産していて、結婚も何度もしていたことや、

親が何者かによってヒトの生涯が決まるのは世界中どこでも今でも同じだということ、

なにもなければ、いちばん安定して大きく儲かる国家資格として有力なはずの医師ライセンスを取ることが分かりやすいために偏差値競争が激しく高くなっているということ、しかし、親兄弟が医師ばかりの医師と偏差値競争に成功した一代目の医師とは能力でなく業界内立場が違うということ、

組織管理の強い国家側の仕事に就くことでしか安心安定して生きられないのではということ、などなど。


高3ではとにかく大学を目指すことにしていれば親や教師は安心するが、名簿が前のヒトミは母親がガールズバーをやっていることから自分もたまにバイトをしていて、そこで一目惚れした有名大企業のサラリーマンと不倫しているので彼女の財布にはいつも何万円も入っている。


まだ酒も飲んだことがなく、軽いキスくらいしかしたことがないカエデにはヒトミが羨ましくもあるがお金と引き換えに男の持ち物になる気もしない。


とりあえず登校しているが高校など面白くもないので、暗いユカリを観察することを楽しむことにしている。


「昼のお弁当、一緒に食べてくれない?」

ユカリが話しかけてきたので、愛想笑いを作ったものの面倒くさすぎる。





























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