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もしもラブコメ主人公が作者ではなく神の手から生まれていたら

作者: Taike

短編初投稿です。楽しんでいただけると嬉しいです。

 --ラブコメ主人公。


 文字通りラブコメ作品の主人公のことである。しかし全員が全員同じような人物というわけではなく、難聴系、ひねくれ系、やれやれ系、イケメンの友人ポジション系など、種類は様々だ。


 これから描かれるのは、作家という概念が無く、ラブコメ作品が天界の神々の手で生み出される世界の物語。今日も4人の神々が円卓を囲み、新作の主人公の人物像をどうするか話し合っているみたいだ。少し会議の様子を覗いてみよう。



---------------------------



神A「なあ、新作の主人公どうするよ。そろそろ人物像をレポートにまとめて大神様に提出しないとヤバイぞ」


神B「はぁ...よりによって俺たちが主人公作成の担当になっちまうとはな...」


神C「ヒロイン担当だったら俺たちの妄想を詰め込むだけでよかったのにな...」


神D「しかも今回はハーレム作品だからな...どう頑張っても物語終盤で主人公がクズ呼ばわりされるに決まってる...」



 天界ではまず大神が物語の大まかなプロットを作成する。そして大神の部下に相当する神々が各々班を作って登場人物の詳細な人物像をどうするか話し合い、後に話し合った結果を大神に報告するというシステムになっているのだ。今会議を行っている神A〜Dは新作ラブコメの主人公を担当することになったというわけである。


神A「まあ嘆いていても埒が開かないだろう。とりあえず会議を始めるとしよう。ちなみに大神様の指示は、『どんなエンドを迎えても炎上しないようなハーレムラブコメの主人公を作成しろ』だ。何か意見がある者は居るか?」


神B「はーい、意見ありまーす。まず大神様の指示が無理難題だと思いまーす」


神C「激しく同意」


神D「いや、マジそれな」


神B「なんだよ、炎上しないハーレムラブコメって! どう頑張っても炎上するに決まってるだろ! 誰かと結ばれても負けヒロインの信者が暴れるし、ハーレムエンドを迎えても文句言う奴が居るじゃねぇか! 主人公の力量でどうこうなる話じゃないんだよ!」


神C「うむ、やはり時代は2人でイチャイチャ系ラブコメだな」


神D「間違い無い。安心して続きを読めるからな」


神B「クッ...しかし女に囲まれるというのは男の憧れだ...故にハーレムラブコメも捨てがたいというのも事実...」


神C、D「「そうなんだよなぁ!!」」


神A「あ、あのー...人物像について意見出して欲しいんだけど...」


神B「人物像? ベタに難聴&鈍感系でいいんじゃね? やっぱハーレム系はヒロインの好意に気づくのは色々まずいだろ」


神C「アニメ化した時のCVは松◯禎丞で」


神D「中◯悠一もアリだな」


神A「大神様からは量産型主人公は避けろと言われているのだ...もう少し特徴をつけてくれるとありがたいのだが...」


神B「大神様も面倒なこと言うのな。主人公なんて量産型でいいんだよ。ハーレムラブコメはヒロインが魅力的だったらそれでいいだろ。下手に主人公に特徴持たせたらそれが原因で炎上する可能性もあるしな」


神A「そ、それでも...何かしら特徴を捻り出してくれないか...」


神C「主人公の家が実はヤクザというのはどうだ」


神A「ダメだ。もう他の作品がやっている」


神D「主人公は勉強ができるけど家が貧乏というのはどうだろうか」


神A「それも他の作品がやっている。ていうか2作品くらいある」


神B「やはり大神様の指示が厳しいのではないか? 特徴を出す、なおかつ炎上しないというのは難易度が高過ぎると思うのだが」


神A「むむ...やはり大神様に頭を下げて量産型主人公を受け入れてもらうしかないのか...?」


神C「いや、待て...思いついたぞ...! 特徴を出す、なおかつ炎上する可能性が低い主人公が...!」


神A「本当か!? 是非意見を聞かせてくれ!!」


神C「主人公を男の娘にするというのはどうだろうか。男の娘に対して負の感情を抱く者なんてそうそう居ないから炎上する可能性も低いと思うのだが」


神B「良い意見だ...だがそれではダメだな...」


神D「そうだな...確かにダメだな...」


神C「なぜだ?」


神B「確かに男の娘はかわいい。見ていて負の感情を抱く者も少ないだろう。だがその意見には1つ重大な欠陥がある」


神C「欠陥...?」


神B「男の娘とヒロインが仲良くしていても読者はただ癒されるだけだ。あまり恋愛しているようには見えないんだよ」


神A「なるほどわかったぞ。つまり男の娘を主人公にした場合この作品はラブコメではなくなる可能性があるということか」


神C「ラブコメではなくなる...? 一体どういうことだ...?」



神A「男の娘がヒロインと仲良くする。それは読者側からしたらヒロイン同士がイチャイチャしている光景とほとんど変わらんのだ。つまり主人公を男の娘にした場合この作品はラブコメではなく...」




 次の瞬間、全てを察した4人の神々は口を揃えてこう言った。




神A、B、C、D「「「「百合だな」」」」



 神々の苦悩はこれからも続く。



今回の話が好評だったら神々がヒロインについて会議する話も投稿するかもです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神様ではあるものの、どうも妙に俗っぽい彼らに親近感を覚える、凄く楽しい作品でした。 作家が存在していないという世界観が凄く衝撃的な発想ですね。作家代わりでもある天界と繋がっている人間界がど…
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