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02 謎の物体X

  鑑定の翌日。転生8日目。


  「アレン様ぁ、おはようございます」


  今日も元気なアレン専属メイドがやってきた。

 

  「ムル・ピッラ・ウェーブ!!」


  エミリーは部屋の真ん中でピンクの杖をカーテンに向けて左から右へ動かすと、豪華なカーテンがひとりでに開き、ピンクの香りと共に部屋中に朝日がふりそそぐ。


  「アレン様ぁ?起きてますかー?お着替えしますよー」


  「ポル・ピット・パンダ!!!」


  エミリーがアレンに向けて、ピンクのキラキラ光線を放つとクマの着ぐるみから、パンダに一瞬で早替わり。


  「ふふっ。今日も可愛らしいですねぇ~」

  エミリーはそう呟くと

  アレンのほっぺたをつんつんしてから、ちゅっ、と優しくキスをする。

 

  「はぁ。可愛い、癒される」

 

  エミリーと入れ替わりでクレアが部屋に飛び込んでくる。


  「アレーン。おはよーーー!!!」

  パジャマ姿のままクレアはアレンのお腹にダイブ。

  いつものルーティンが始まる。

 

  クレアのルーティン中に乳母の【カトレア】がやってくる。

  「アレン様、今日もいい天気ですね」


  「わぁう!!!わぁうわぁあ」

  待ってました!!!と言わんばかりに手と足をばたつかせ

  息がやたらと荒くなるアレン。


  ステンドグラスの花瓶が置かれている

  アンティーク調の丸いテーブルの椅子に

  アレンを優しく抱きかかえながら座る。


  艶のある (みどり)のウェーブがかかった腰まである長い髪。

  豊かな女性の象徴を備えるその姿は

  聖母の面影を彷彿させるが

  アレンのせいで台無しである。


  最初こそ、その姿を微笑ましく見守っていたクレアだが


  最近は満面の笑みを浮かべながら

  懸命に朝食をとるアレンに違和感を覚え出した。


  「やっぱり、違和感しかないわ

  変態の匂いがする。それにあの右手はなんなの?

  浮気だわ、私の目の前で朝から堂々と」


  クレアがブツブツと呟いていると


  「クレア様。赤ちゃんは皆こんな感じですよ」

  と優しく微笑むカトレア。


  その言葉に驚愕の顔を浮かべるクレア。

 



  クレアはカトレアに鋭い視線を向けて

  「カトレア、ご苦労さま。

  明日からはもう来なくていいわ、

  前から勉強の為に私がやりたかったの。

  ちゃんとエミリーに教えてもらうから大丈夫よ。」


 

 

  カトレアは困惑しながら

  「私の家系は代々マルティネス家の乳母を・・・『カトレア!!!私を怒らせたいの?』・・・はい。かしこまりました」


  そこには黄色の髪を逆だてているクレアの姿があった.......

 

  まだ朝食の途中だったのに、横やりを入れられアレンは激怒する。


  「うわぁ。やうやぁー。やうやぁーーー!!!」

  【えっ!!!なんで?子供は引っ込んでろ!!!

  俺の生き甲斐を何人(なんぴと)たりとも奪う事は許さねぇーーー!!!】




  アレンの元気な反応に喜ぶクレア。

  「やっぱり、アレンもめちゃ喜んでる」




 


  「わぅ、うわぁぁぁう。わーーーー!!!」

  【カトレア!!!、カムバーック!!!カトレアーーーー!!!】






 ◆◆◆







  昼過ぎ、アレンの部屋に2人がやってくる。


  「さぁ、アレン様、お昼にしましょうね」

  やたら笑顔のエミリー。


  「エミリー?これ大丈夫?」

  と不安気な表情を浮かべるクレア。


  「えぇ、大丈夫ですよ。

  私が作る料理は皆様泣き叫ぶ程喜ばれていますので」

  (思い出の味とか、あまりの美味しさに感動で思わず涙が頬をつたっていた等は聞いた事があるが、果たして【泣き叫ぶ】というのはどういう事なんだろう?)

  と不思議に思うアレン。


「まずは、見た目が特徴的な虹色に輝く幻のキノコ

  【虹色キノコ(たべるなきけん)】をペーストにして

  ほのかな酸味が濃厚なミルクの甘さを際立てる

  【恋牛(こいうし)のミルク】

  を継ぎ足し何とか液体化させる事に成功致しました。そして、最後に一番大切な隠し味ですが私の気持ちを入れてあります」


  そう説明するエミリーが満面の笑みで

  物体Xが入った哺乳瓶をシェイクしている。


  虹色に光る液体に時折顔を除かせる。黒い物体。

  赤い三日月の模様が

  裂けた口に見えるのは何故だろう?

  物体Xを全力でシェイクするエミリー。

  その尋常ならざるシェイクの圧力で

  瓶の壁にあたった、黒い物体が

  潰れる度に「ケケケッ」という笑い声をあげている。


  「そうなんだ、よしっ」と意気込むクレア。


  「わぅ!!!ワゥワアァァぁぁぁあ!!!」

  (いやっ!!!、「ケケケッ」って言ってるじゃん!!!

  全然隠れてねぇーよ!!!寧ろ主張が甚だしいわ!!!

  混ぜたら駄目なヤツが入ってるじゃん!!!

  恋牛のミルクだけでいいよ!!!)

 

  カトレアの時よりも大きな声をだし

  手足を激しくばたつかせるアレン。

 

  カトレアがいた定位置まで移動し

  哺乳瓶(ほにゅうびん)を口に運ぶが全く吸わない

  小さな手で哺乳瓶を必死に押しのけるアレン。



  「あれっ?おかしいですね?」と首を(かし)げるエミリー。


  「エミリー。アレンを抑えて、

  ちょっと興奮しているみたい。

  こうなったら、私が直接口移しでやるわっ!!!」

  クレアは必死だ!!!


  「かしこまりました。ちゃんと後で変わって下さいね」

  話しの落とし所をつけ

  エミリーはアレンを押さえつける。

 

  エミリーが物体Xを口いっぱいに含んだ瞬間。


  【ヴエェローーーーーーゴンニチバァアァァァ!!】

  部屋中に物体Xを散布しながら

  仰向けに倒れ込みピクピクと痙攣(けいれん)するクレア。

  子供のクレアは泣き叫ぶ余裕は無かったようだ。



  「イヤァァァア!!!。クレア様ーーーー!!!」

  エミリーは大慌てで、クレアの周囲をワタワタしている.......





  「わぅ.......」

  (本気(マジ)か?エミリー、やり過ぎだろ.......)




  この日、アレンはエミリーの意外な一面を学習した。

 






 

 

 




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