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鬼嶋の鬼  作者: 悠志
13/20

十参 狂気

「そんな事があったのか」

「罪もない人に全ての罪を着せるなんて、なんて卑劣な!」

「しかも、それをろくに調査もしないで勝手に決め付けるなんて、この町の警察は無能しかいないのか!」


 助け出した宿泊客に男性警察官が事情を説明すると、全員が俺の偽物や他の警察官に対する怒りを露わにした。

 警察の事も悪く言うのはやり過ぎだと思ったが、男性警察官が首を横に振って俺を制止させた。彼も情けないと思っているみたいで、宿泊客の言葉を言い訳もしないで黙って聞いていた。

 それから30分後に孝仁さんが駆けつけてくれて、あの日店長が残してくれたメモの内容を撮影した画像を俺と男性警察官に見せてくれた。


「惨殺事件を起こしたあの化け物の仕業だと読んで間違いない」

「店長さんに感謝しないとね」

「はい」


 俺を助ける為に書き記してくれた店長に、俺は深く感謝した。自身も包丁で刺され、出血も酷くかなりパニックになっていた筈なのに、よくここまで冷静に状況を観察してメモに書き記してくれた。


「私も、以前その化け物に遭遇した事があります。先週町名をパトロールしている時に、男性を襲っているのを見ました。拳銃を使いましたけどちっとも怯まず、結局男性を救出する事が出来ませんでした」

「そうか」

「撃たれても怯まなかったって、俺と孝仁さんが最初に遭遇した時よりも強くなっているという事なのでしょうか?」

「おそらく」


 そもそも撃たれても死なないから、いずれはそうなるのではないかと想像はしていたが、やっぱり気持ちが付いていけない。


「今、佐伯刑事に隣町の警察署に応援を要請している」

「佐伯刑事?」

「あぁ、最初にあの化け物と遭遇した時に俺と一緒にいた女性刑事だ。佐伯(さえき)(すず)()っていうんだ」

「去年うちの署に配属した若い刑事さんで、私の一つ上の姉です」

「女性刑事さんの弟さんだったんですね」

「はい。ちなみに私は佐伯(さえき)哲也(てつや)です」

「姫崎君、相手の名前を聞かないところがあるからね」

「ん‥‥‥」


 返す言葉もありません。

 柴山にハメられて以来、他人に対して無関心になってしまってしまい、必要最低限の付き合いしかしなくなってしまった。人の名前も聞かないのも、すぐに関係が切れてなくなるだろうと考えてしまっている。小鳥遊さんの様に。


「まぁそれよりも、早いとここの事を町民にも伝えないと、逃げ出したあの化け物が町民に何を吹き込むか」

「ん‥‥‥」


 最悪な事態を想像している孝仁さんに対し、俺はそれ以上何も言う事が出来なくなってしまっていた。

あの鬼が何の目的で俺を陥れて、何故こんな事をするのか分からないでいた。

 だが、事態は俺が想像していた以上に最悪なものになってしまっていた。


『全町民に告ぐ』


 町内放送で呼びかけているのは、孝仁さんの父親であるあの頑固親父であった。


「おいおい。嫌な予感しかしないぞ」

「俺も多分、孝仁さんと同じ事を考えています」


『この町に凶悪な連続殺人鬼が紛れています。ソイツの名は、姫崎亮一。この男は、2年前に私の娘を事故に見せかけて殺そうとしたにもかかわらず、その罪を償う事無くのうのうと生活していきました。奴を放置した結果、この悪魔の暴走を招きました。そこで皆さんにお願いがあります。警察だけでは手に余ります。町民全員の協力が必要不可欠です。どうかこの町の悪魔、姫崎亮一を殺してください。そして、皆さんの手でこの町を平和にしてください。なお、奴を殺した方には100万円を贈呈いたします』


『姫崎亮一をこの世から消せ!』


 最後にそう言って頑固親父は、放送を切った。


「最悪だ」

「あのクソ親父!完全に怒りで我を見失っている!」

「隣町からの応援は間に合いますでしょうか?」


 そんな事は分からない。だって、この町と隣町の間には物凄く高い山脈があり、曲がり角もかなり多い為車でも少し時間がかかる。

 それにあの頑固親父の事だから、俺を外の町に逃がさないようにする為にこの町に通じる道は全面封鎖にするだろうな。車も電車も使えない。

 最悪だ。


「なにぼさっとしているのですか!早く逃げてください!」

「私達で時間を稼ぎます!早く!」

「俺達の命の恩人を、無実の罪で断罪させてはいけない!」


 頑固親父の町内放送を聞いて絶望していると、助け出した宿泊客達が俺に逃げるように言ってくれた。俺を殺したら賞金が貰えるのに、それに目もくれずに。

 そんな宿泊客達の中から1人の男性が、俺の前まで来て言った。


「俺とあなたの服を交換しましょう。あと、帽子も差し上げます。それで追手の目を晦ましてください」

「いや、でも、それだとあなたが危険な目に」

「俺なら大丈夫です。あなたに助けてもらいましたので、今度は俺にあなたを助けさせてください」

「しかし‥‥‥」

「躊躇ってはいけません。俺なら大丈夫だから」

「ん‥‥‥分かりました」


 正直言って気が乗らないが、この人に意思は固いみたいだ。

 俺とその人は一旦ホテルに入り、服を交換した。

 孝仁さんと佐伯さんも、目立つからという事で他の宿泊客から服を借りる事になった。俺達に信用してもらう為に、宿泊客だけで服を取りに部屋まで向かった。


「あなたは優しい人ですね」

「俺は、そんなんじゃありません」

「悲観する事はありません。あなたのお陰で助けられた人はたくさんいます。だからこそ、あんな脅迫に屈してはいけません」

「‥‥‥はい」


 服を交換し終えて、男性は観光客側に、俺と孝仁さんと佐伯さんは皆の前に立った。


「我々は警察署の方へ行き、事の顛末を署長さんに伝えます」

「お願いします。署長なら話が通じます。俺達に味方になってくれます」

「俺達のグループは囮になります。その間にあなたは、逃げてください。あのクソッタレには地獄を味合わせないと」

「すみません!この御礼は必ず!」


 そう言って俺達は3手に分かれた。

 俺の服を着た男性のグループと、警察署に向かうグループと、俺達3人で分かれて町に出た。

 俺と孝仁さんと佐伯さんの3人は、別ルートを使って隣町へと避難する事になった。

 何でも、隣町の警察署の署長さんはかなり優秀で、尚且つ柔軟な発想も出来る人でもある為、こちらの署の署長さんと同じくらい信頼できる人だそうだ。更に、どちらの署長さんも1年前の魔鏡事件の事も知っている為、鬼の仕業だと言っても信じてくれるだろうとの事だ。

 それに隣町に行けば、佐伯さんのお姉さんと合流する事が出来る。


「帽子を深くかぶって。なるべく顔を見られないように」

「はい」


 孝仁さんに言われた通り、俺は帽子を深くかぶった。幸い町民達は俺達に気付いていなかった。外に出ている人は、各々武器を手に町中を徘徊していて、家の中にいる人はカーテンを閉め切って怯えているのがカーテンの隙間から見えた。


「金に目が眩んで探している人と、そうでない人で完全に分かれていますね」

「大方、隠れている方はおや、小鳥遊忠(ただ)(ひと)の会社の連中に騙されているんだろうな。あのペテン師が、素直に賞金を渡す訳がないって思って」

「忠仁?」

「俺の親父の名だ。義理の父親になるかもしれない相手の名前くらい覚えておいた方が良いぞ」


 耳元でボソッと孝仁さんが教えてくれたが、そもそも向こうが名乗って来なかったのだから知りようがないと思う。知ろうとしなかった俺も悪いけど。というか、何であんな頑固親父が義理の父親にならなくちゃいけないんだ。それって、俺と小鳥遊さんがくっ付く事を前提で言っているだろ。


「という事は、外をうろついている人は被害にあっていない人なのでしょうか?」

「もしくは、賄賂を受け取っている連中か、忠仁が怖くて言いなりになっている連中だろうな。無論、金に目が眩んだという事も考えられる」

「仕事や学校をサボって、何考えているのでしょうか」


 何て言ったが、理由は分かり切っている。

 家に籠っている人は、関わり合いになりたくないというのと、金に目が眩む住民達、そして私怨でたった一人の人間の命を奪おうとする頑固親父の狂気に満ちた考えに恐怖を抱き、収まるまで引き籠るという感じだろう。

 外に出ている連中は、金に目が眩んでいる人と、あの鬼に親族もしくは友人を殺された人なんだろうな。欲と憎しみに囚われ過ぎて、善悪の判断が出来なくなってしまっている。


「俺のせい、なんですよね」

「いや。君は被害者だ。2年前に柴山の嘘で貶められて、今回は鬼の策略で大変な目に合っている。どちらも、自分が得をする為に君を陥れようとしている。柴山に関しては、ここまで大きくなるなんて予想もしていなかっただろうが、それでも許される事ではない」


 確かに、柴山があの時あんな嘘をついたのは、祖父を恐れているというのもあるかもしれないが、一番の理由はやはり自分の輝かしい功績に泥を塗るのが嫌だったから、自分を守る為に罪を俺に擦り付けた。だが、そのせいであの頑固親父から過度な期待を寄せられる事になり、引っ込みがつかなくなってしまった柴山は更に嘘を重ねていき、それがやがて詐欺を行うまでに発展してしまった。

 それが、柴山が俺の事を目の敵にする理由だ。自分の着いた嘘のせいで苦しんでいるのに、完全に逆恨みではある。

 だが、あの鬼が俺を貶める理由がどうしても理解できない。

 完全な鬼にして自分の側に引き込もうと企んでいるのか、最強の鬼の血を引く俺を邪魔に思い排除しようとしているのか。

 考えらえるのはこの2つだが、だったらこんな暴動を起こすのはおかしいし、やり過ぎだと思う。人間を恨む理由を作るには十分かもしれないが。

 しばらく見ていると、武器を持った人達が一ヶ所に集まり出した。


「あっちにいるぞ!」

「アイツを殺せば、100万円が手に入る!」

「主人の仇!」

「同僚の仇だ!」


 思いをそれぞれ口にして、俺の代わりになってくれた人がいるであろう所へと走って行った。


「俺のせいで、本当に申し訳ない事をしてしまった」

「彼の意志を無駄にしてはいけません。例えうちの署の地位が地に落ちる事になろうと、今回起こした間違いは絶対に正さなければなりません」

「佐伯の言う通りだ。その為にも、君は捕まってはいけない」


 誰もいない事を確認してから、孝仁さんを先頭に俺達は先へ進んだ。


「動くな!そこで止まれ!」


 突然後ろから声を掛けられ、パッと振り向くと昨日コンビニで俺を逮捕しようとした年配刑事が拳銃を構えていた。その後ろにも、複数の警察官と、それぞれ武器を手にした住民達がいた。どうやら、住宅の陰に隠れていたのだろう。


「こんな事件を起こすなんて、もはや情状酌量の余地もないな」

「死ねぇ!この人殺しが!」

「テメェを殺して賞金は俺が頂くんだ!」


 年配刑事の後に、武器を手に持った住民がそれぞれの思いと欲望を口にした。

 一体何故、俺達の位置情報が漏れてしまったのだろうか?その理由はすぐに分かった。

 人ごみをかき分けるように、昨日俺が泊まったホテルで暴れたあの鬼が、あの時逃げ出した時の女性の姿で出てきた。アイツのせいか。


「刑事さん!助けてください!アイツです!アイツがホテルに泊まっている人全員を殺したんです!」


 全員殺しただなんて、よくそんな嘘がつけるな!というか、殺したのはお前だろうに!


「もはや言い逃れは出来んぞ!」


 完全に鬼の言う事を信じ切った年配刑事は、俺に向けて引き金を引いて発砲してきた。

 そんな俺を庇う様に佐伯さんが前に出て、弾丸は彼の胸に命中した。


「う‥‥‥」

「佐伯さん!」

「佐伯!」


 口から血痰を吐き、膝を付いて崩れる佐伯さん。苦しそうにしながらも、鋭い眼光で年配刑事と後ろにいる警察官と住民を睨み付けた。


「いい加減にしろ!あんな放送を聞いて、おかしいとは思わないのか!何の疑問も抱かないのか!」


 丁寧な口調で喋っていた佐伯さんが、乱暴な口調で年配刑事達に言い放った。かなり怒っているぞ。


「あのクソジジイから賄賂を受け取って言いなりになるお前も、小鳥遊忠仁の愚かな行為に嬉々として乗るお前等は全員クズだ!何の罪もない人を追い詰めて、何が楽しいんだ!」

「佐伯さん!」

「それ以上喋るな!」


 佐伯さんは自分の身が危なくなるのも構わず、なおも年配刑事や住民達に向けて乱暴に言い放つが、誰一人として彼の言う事に耳を傾けようとする人はいなかった。

 それどころか、金に目が眩んだのか、大切な人の仇を取る為なのか、あるいはその両方なのか、武器を手にした住民達が前に出てきた。

 そんな時、俺達の前にある通路から日本刀をベルトに差し、両腰に長方形の箱を提げた鬼熊さんが、長い赤髪をなびかせながら俺達の間に割って入り、住民と年配刑事の方を向いて睨み付けた。


「下がれ外道。叩きのめされたくなかったら」


 俺達に背中を向けている為表情は分からないが、雰囲気からかなり怒っているのが分かる。それでも引こうとしない住民に向けて、鬼熊さんは日本刀を勢いよく抜いて牽制した。これには流石の住民もたじろぎ、脱兎のごとく年配刑事の後ろに隠れた。


「お嬢ちゃん、そんな物騒な物をこちらによこしなさい。俺達はただ、そこの殺人鬼を殺さなくちゃいけないだけだ」

「穢れた金を受け取って、甘い汁を啜っているだけのクズは黙ってろ」

「っ!」

「それに、そんな女の嘘に惑わされ過ぎだ」


 ドスの利いた声で、日本刀の切っ先を女に化けた鬼に向けた。

 そんな鬼熊さんの行動が理解できない年配刑事は、鬼熊さんに銃口を向けた。


「何訳の分からない事を言ってるんだ!この人の証言から、俺はその男の犯行を知る事が出来たんだぞ!」

「信じる相手は慎重に選ばないと、痛い目を見る事になるぞ」

「お前は、この人が嘘をついているとでも言うのか!」

「助けてください!」


 完全にその鬼の言う事を信じ切った年配刑事は、鬼が化けた女性を庇う様に前に出た。鬼の方も、震える声で年配刑事に助けを求めた。


「なら聞くが、貴様はソイツが人間に見えるというのか」

「何を訳の分からない事を!」


 年配刑事の言葉も聞かず、鬼熊さんは木の箱からお札を一枚取り出し、それを女に向けて飛ばした。お札は一瞬で女の胸に張り付き、そこから電気が発生した。


「あああああああああああああああああああああああああああ!」


 お札を張られた女は苦しみ、次第にその姿が変わっていき、僅か5秒で闇色の鬼へと戻って行った。

 それを見た年配刑事は尻餅をついて驚愕し、住民や警官達はその姿に恐怖した。

 正体がバレてしまった鬼は、苦しみながらも無理矢理お札を剥がし、不気味な笑い声を出しながらゆっくりと立ち上がった。


「この町の連続殺人の真犯人は、お前なんだろ」


【ふふふふふふ。その通りだ】


 住民達の前で鬼は、自分が連続殺人の犯人であることをアッサリと認めた。

 正直言って拍子抜けだが、それを聞いた警察官と住民は腰を抜かして震え上がった。連続殺人の真犯人が、まさかこんな化け物だったなんて思いもしなかっただろうな。


【ふふふふ。そうだ、もっと震えろ。町内放送を流したあの男の嘘を疑わずに信じ、その男を殺そうとしたお前等を捕食する為にずっとこんな臭い芝居をして耐えてきたんだ】


 捕食するという言葉に動揺し、パニックを起こす住民達の前で鬼は年配刑事を捕まえて今まさに飲み込もうとしていた。


「やめろ!助けてくれ!助けてくれ!」

「クソ!」


 正直言って、あんな奴が死のうが知った事ではないが、死んだらそれまでだ。あのおっさんにこれまでの罪を償い、法で裁いてもらわないといけない。

 佐伯さんを孝仁さんに任せて前に出ようとした俺を、鬼熊さんが制止させた。


「お前は出るな。安心しろ、あんなクズでも助けてやる」


 そう言って鬼熊さんは走り出し、日本刀で年配刑事を掴んでいる腕を切り落とした。


【うわあああああああああああああああああああああああああ!】


「はっ!」


 年配刑事を救出してすぐ鬼熊さんは、日本刀で鬼の首を跳ね飛ばした。首を斬られた鬼は、パァと黒い霧となって霧散した。


「た、助かった!」

「んな訳ねぇだろ」


 休まず鬼熊さんは、住民達の方へと切っ先を向けた。


「さっさと出てこい。普通の人間は騙せても、私の目は誤魔化せないぞ。人間に化けてる奴、全員出てこい!」


 その言葉の直後、住民達の中から次々と闇色の鬼が姿を現した。その数は、およそ50。

 自分達の中にも鬼が紛れていたなんて思ってもみず、あっという間住民達はパニックは最高潮に達し、我先にとどんどん逃げて行った。


「嘘だろ。こんなにたくさん紛れていたのかよ」

「暴走族、酔っ払い、不良生徒、詐欺師、賄賂を受け取った連中、これ等の中からほんの一握り鬼に変えたとしても、総数は300を超えるだろうな」


 鬼熊さんの予想を聞いて、俺は思わずゾッとしてしまった。そんなにたくさんの人が、伝説の鬼の力で闇色の鬼に変えられてしまったのか。


「お前達は逃げろ。そしてこの町から出ろ」

「お前はいいのか」

「私はコイツ等を討伐する為にこの町に来たんだ。お前は自分の心配をしろ」


 そうは言うけど、パニックになった人達のせいで日本刀を使う鬼熊さんにとって戦いにくい状況である為、そんな中鬼熊さんを置いて逃げるなんて出来ない。


「じゃあ、お言葉に甘えて!」


 真っ先に逃げようとした年配刑事の影に、鬼熊さんはクナイを突き刺した。その瞬間、年配刑事はピクリとも動けなくなってしまった。


「貴様は逃げるな。隣町の警察官が来るまで、ここで大人しくしてろ」

「ふ、ふざけるな!俺には家族がいるんだぞ!」

「だった賄賂を受け取るべきではなかったな、我々警察の恥晒しが」


 動けない上司に吐き捨てた後、孝仁さんは佐伯さんを背負い、更に俺の手を引いて走った。後ろでは、鬼熊さんが日本刀を納めて体術だけで鬼と戦っていた。

 彼女なら大丈夫だと思いつつも、やはり心配になってしまう。同時に、俺もコイツ等をもっと痛めつけたいという攻撃衝動に駆られてしまった。

 だが、振り返っては俺を逃がしてくれた鬼熊さんの想いを踏みにじる事になると思い、俺は身体の奥底から湧き上がる攻撃衝動を抑え込み、孝仁さんと佐伯さんと共に走り続けた。



「妖しの魔鏡」も是非読んでみて下さい。

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