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聖獣だってばよ?  作者: ゴロタ
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スカルゴ神官の魔の手(?)が私に?

書き上がったから即時投下! 誤爆に御注意★

 


 正直無理だとしか思わなかった。

 だってエドウィンと私は出会ったばかりで、おまけに異種族………しかもお互い姿すらも違うのだ。 二足歩行種族と四足歩行種族って絶対に交わらないよね?


 唐突に『今晩の夕飯はコレよ?』的なナチュラルな感覚で『貴女の番はコレよ?』ってママに言われた気持ち、あなたに分かる? ううん、ごめんね分かるわけ無いか。


 その上いわく付きなその二つ名(命名私)を持つがゆえに私の高背筋をゾワゾワさせる。

  その二つ名とは【狂気のエドウィン】

 あながち間違ってはいないと自負してる。むしろ的を射ているとすら具申する。 時おり覗くエドウィンのあの仄暗く濁った瞳と、私を滾らせる美味しそうな匂い。 実に恐ろしい人族なのだ。 だからなるべくエドウィンには近寄らないようにしようと心に誓った。



 ***




『…………フンスフンスフンスフンスッ!』


 クンカクンカとエドウィンの首筋の匂いを嗅ぐのが、日課になっちゃってる今日この頃。

 はい。申し訳ございません。上記のエドウィンにはなるべく近寄らないように心に誓った的な発言に、皆様さぞやご不満でしょうね?

 ハハハ………でもそれ、私こそがってやつですから。


「アハハ………だからくすぐったいよ? ダメだよ………ちょっ………ちょっと待ってぇ…………イオ……ひゃンっ!?」


 ついに嗅ぐだけでは飽きたらず、エドウィンの首筋を舐めてしまう自分の我慢が出来ない意思の弱さが憎い!


 ザリザリ………ザリザリ………。

「ふぁっ……ンぅ………クフッ……ンンンッ………」


 うむうむ。舐めると満ち足りる。 エドウィンはまだアンアン(語弊有)言ってる。 そんな私たちの横には、冷めた視線を寄越すママとリィギとリュカが居る。 パパはウルウルしながら涙目、ロイはドキドキしながら頬を赤く染めている。


 ロイはエドウィンの専属護衛騎士ってやつなんだってさ。 しかもしかもだよ、私たち聖獣が守護するこの国の何番目かの王子なんだってさ! ビックリだよね?


 ちなみにそれが発覚したのは、数日前に行われたお披露目会の日だった。



 ***



「皆さま、お集まり頂き誠に恐縮です。 これより我がデュランダルト聖王国を、守護して下さっている聖獣アルダシャルトゥーラ様たちをご紹介致します」


 朗々と華やかなお披露目会場に響き渡る声の主は、言わずもがな キモい神官ことスカルゴである。どうやらコイツが案内だけでは無く、お披露目会も取り仕切っているみたい。 うん、不安しかないよね。


 私の不安とは裏腹に、恙 無(つつがな)くママとパパ、リィギとリュカの紹介がされて行く。


 私はその間も、ママのかっる~い番発言の衝撃から立ち直れず、ずっと兄弟たちの横でボンヤリしていた。

『イオが動かない』『ねぇイオ動いて~』とか言われて、リィギとリュカに耳や尻尾を引っ張られたけど、私はそれどころじゃないっての!


「では続きまして、羨ましくも…………ゴホンッ………栄誉なことに、我が国の第七王子であらせられる、エドウィン・デュランダルト王子がこの度ここにいらっしゃる幼獣様、イオ殿の番と認定されました事をご報告致します!」


 と、こんな爆弾発言をいきなりぶっ込んでくるスカルゴ神官の足に、私は人目を憚らず恨みを込めた肉球パンチをお見舞いしてやった。

 その時のスカルゴ神官の顔が、(とろ)けそうに笑み崩れてて、凄くキモかったとだけ明記しておく。



「聖獣様の番、ですと!?」

「そもそもエドウィン様はまだ十歳ですぞ?」

「それに…………エドウィン様が聖獣様の番となる事、あのガルデニア卿が黙っておりますまい!」

「確かに。ガルデニア卿が特使で他国に参っている隙にこの様な事が起こるとは………」

「我々の失態であると断じられかねませんぞ!?」


 一気にザワザワと騒がしくなるお披露目会場。

 そりゃあそうだよ。 スカルゴ神官め! 突然とんでもない発言をするんだから困った奴だよ。


「皆様、お静まり下さいっっっ!!!」


 その困ったスカルゴ神官の一喝で、騒がしかった会場がシーーーーンと静まり返った。

 えっ? なにこの自作自演臭漂う行動?

 自分で騒ぎの原因を投下しておいて、静かにするよう一喝するって………………コイツはとんだ演出家も居たもんだ。


「これは我が国始まって以来の大慶事なのですよ? エドウィン様のご年齢など関係ございませんし、ガルデニア卿など更に関係ございませんよ」


 キラッキラ笑顔のスマイル・スカルゴ神官だが、眼が全く笑っていない。


「し、しかし…………この事がガルデニア卿のお耳に入ったら………………」

「入ったら、何なのですか? 【聖獣様の番】これ以上の誉れは早々ありますまい? おや? 何かご不満でも?」

「……くぅっ………。 こ、この件については神殿に抗議を入れますぞ!」

「どうぞ? ご随意に?」

「ふんっ!!」


 ふぉうっ! 黒い微笑みを湛えたスカルゴ神官は、偉そうな男を軽くあしらった。 悔しそうに走り去って行く感じが、更に小者感を演出している。 ご愁傷さまで~す。という心持ちで走り去った男を見詰めていると、音を立てずに背後に現れるスカルゴ神官。ほんと………コイツ何者?


「イオ殿…………申し訳ございませんでした。ですが………騒ぎを静めた私めにご、ご褒美を頂けませんか?」

『…………は? ごほーび?』

「ええ、ええそうです!!」


 デロデロデロリン~♪ って音が聞こえてきそうな位笑み崩れたスカルゴ神官は、図々しくも褒美を所望してきた。 えっ? なにをお願いされるのかな? キモいから嫌なんだけど?


『一応聞くけど、叶える保障はないよ?』

「勿論でございます! では………ではですねぇ…………ハァハァ………」


 すでに興奮した吐息がキモい。

 しかも自作自演に褒美まで所望してくる図々しさに、不愉快指数がグングン上昇中。


「そ、その短めなおみ足の肉球で、私めの………私めの顔面をフミフミして欲しく……………ハァハァ」

『フシャーーーーーーーーー!』


 余りにもキモいお願いに、私はスカルゴ神官から数歩距離を取り、威嚇モードに移行してしまった。 しかも短い足ってなんじゃいっ!?失礼なっ!



「もうそれ位にしておいてくれませんか、スカルゴ神官?」


「お願いしま……」『フシャーー』「ほんの数回だけでも……」『フシャーーー』 というやり取り(?)をしている私のもとにエドウィンが現れた。


 ヒョイッと簡単に私を抱き上げると、ニコリと微笑みながらスカルゴ神官にそう告げた。


「…………チッ」


 スカルゴ神官…………ガラ悪っ! 今コイツ舌打ちをしたよ。 本当に神官?


「…………コホンッ………エドウィン様がそう仰られるならば、今回はこれにて退きましょう」


 今回は? ってことは、それって次は退かない宣言なの? その強気な発言の自信は一体どこから来るものなの? も、もしやキモさから!?


 スカルゴ神官は優雅に一礼すると、私たちに背を向け去っていったのであった。

 一応助けてくれたっポイので、エドウィンにお礼を言っておこう。


『エドウィン、どーもありがと』

「ううん。お礼なんて良いよ………だって僕とイオの仲じゃない!」


 は? 私とエドウィンの仲ってなに? なんかありましたっけか?


「フフッ…………本気で何それって顔してるね? イオは聖獣なのに表情豊かで分かりやすいよね?」


 クスクス笑うエドウィン。 十歳児然とした自然な笑顔だ。 あの怖い感じの微笑みじゃない。 この笑顔は………う、うん………そんなに嫌いじゃないかな?


 なーんて思ってしまったのが運の尽き。 それから数日はずっとエドウィンと一緒に過ごすこととなってしまったのであった。





「ぐぉぉぉぉおおおぁぁ!!!」


お披露目会場の外にある柱の影で苦しそうに悶える人の姿。


そう、その人物とはスカルゴだ。


「うらっ………羨ましい………恨めしい………エド、エドウィン様めっ!!」


あの可 愛(かわゆ)いイオ殿を、簡単に抱っこ出来るなど…………余りの羨ましさに、私の脳の血管すべてがブチ切れるところでしたよ。


しかも然り気無~く、イオ殿()と少し()から砕けた感じで呼んで居るのに、誰も気付かないとは!!


いえそこを指摘されて止められたら、堪ったものではございませんが、何か腑に落ちないのです。

もしかして………もしかすると…………イオ殿はそんなに私の事を気にしていらっしゃらないのでは?


そう考えてしまうと、胸が苦しくてグネグネと悶えてしまうスカルゴであった。



Q,イオはスカルゴの事を気にして無いですか?


A,ご存じの通り、ある意味気にしています。 むしろ常々キモいと思い、スカルゴの存在を気にしています。

コイツ何者!?ってちょこちょこ思ってます。


知らぬは本人ばかり。

※ただし、違う意味で気にされている。


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