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【閑話休題】「魔石」と「賢者の石」

短編集としようと思いましたが、意外と本編が延びてしまい、余談プロローグ⇔本編としようとしたのですが、余ってしまった余談を埋めたお話です。

完全な蛇足の話なので、この話は読み飛ばして貰ってかまいません。

次に投稿する《ゴーレムの国編》の最終話が気になる方は先にそちらをどうぞ。

 始まりの魔術師により急速に発達した魔導科学の世界。その象徴に「魔石」という物質がある。

 青く輝くその石は、魔術の動力源として使われる事が多く、化石燃料の枯渇したこの世界で重要な資源である。

 では、魔石とはなんなのか? 魔術は魂を消費して使われる超常であることが分かれば、自ずと答えは出るであろう。そう、魔石とは魂の結晶なのである。

 始まりの魔術師より、魔術の知識を得た弟子達は、更に魔術を広げるため各地に散った。多くの魔術師が生まれ、崩壊した世界で国と呼ばれる集落を作り始める。魂を消費して超常を起こす魔術師の寿命は短い。魂を使い尽くし死ぬ間際、魔術師は《最期の魔術》を発動させる。それは、自らを結晶化する魔術である。魂が尽きるその瞬間、ロウソクの火が消える直前に大きく燃え上がるように、魂の爆発が起きる。そのタイミングで結晶化した石は大きな魂の力を秘めた魔石となる。こうして、魔術師達は最後に自らを魔石とする事で、世界の為に生涯を全うしたのだ。そう、世界に散らばる魔石は魔術師達の生きた証なのである。

 しかし、魔石にはもう一種類存在する。後に劣化魔石と呼ばれ区別されるようになる物である。それは人間を魔術で強制的に結晶化させた魔石である。魂の爆発を孕んでいない為、内在される魂の量は乏しく、自らの意思で結晶化した魔石に比べると硬度が低い、まさに「劣化版」の魔石である。

 そんな質の悪い魔石であるが、爆発的にその数を増やすこととなる。この時代の処刑方法として、結晶化が主流となったからだ。それは原始の悪魔が知識に混ぜた悪意(どく)に他ならない。ゆっくりと人類を犯して行く遅効性の毒。魂を奪い合う混沌の時代がすぐそこまで迫って来ていた。


 魔石と共にこの時代を象徴する物質がある。

「賢者の石」と呼ばれる物質である。

 魔石と異なり、賢者の石の存在は公式には確認されておらず、魔術を極めた者のみが作り出せる伝説の物質と語り継がれている。

 賢者の石を持つものは世界の王となり、全ての知識を手に入れるとされ、全ての魔術師が目指すものとなる。

 存在が確認されていないのに、何故そのような話が語り継がれているのか。それはとある伝説が関わっている。

 それは、人の世が混乱を極めた時に現れるとされる《救世の魔人》の伝説である。

 魔導列車交通網の届かぬ僻地の国や、魂の奪い合いが始まった魔術内乱が勃発した国など、絶望的な状況に陥った国に現れては奇跡を起こして国を救ったという逸話が数々残っているのだ。話の真偽は不明だが、似たような話が全く関係のない国で語り継がれていた。そこに登場する《救世の魔人》は、白い神(ケツァコアトル)の化身とも、旧世界より生き残った魔人(サン=ジェルマン)とも言われるが、その真偽は定かではない。だが、全ての逸話を通して、その魔人は白い外見で、さらに赤い石を携えているという点は共通していた。

 その魔人が起こす奇跡の源がその赤い石であり、それが《賢者の石》ではないのかと言われているのだ。魔人の伝説から派生した《賢者の石》の噺しは広まり全ての魔術師が目指す至高の物質。全ての願いを叶える夢の物質として語り継がれることとなる。

 だが、人類は気づかない。願いを叶える石よりも、絶望から救ってくれる魔人がこの時代に必要なのだと。なので気づかない、その救世主がすぐ近くにいることを。

 欲望に塗れた人類は知らない望みを叶える石(――賢者の石――)を求めるが最終的には隣にいた純粋な少女(伝説の魔人)に救われることを。そして、1つの物語は1体のゴーレム(イレギュラーな存在)を起因して予想外の結末を迎えることになる。

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