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リバーシブル・シスター  作者: 深峰 聚志
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プロローグ 『Lost Memories』

初めての投稿となります。連載小説です。気になった方、気に入っていただける方が少しでもいれば幸いです。これから自分のペースで書いていこうと思うので暖かく見守ってください。

 瞼を開くとそこには白く清潔感があるであろう天井と耳元には規則正しく鳴り続ける電子機器の音がする。

 目線を自分の身体へと向けると全身には包帯が巻かれており、足は吊るされている。


 ――何も、思い出せない。


 身体全身が痛みで支配され酷く重い。意識も薄れつつあり、それを必死に繋ぎ止める。

 周囲を見渡す限りは病室だろうか、どうやら大怪我をしたらしい。

 記憶を呼び起こそうと意識するがやはり何も思い出せない。

 ふと、自分の手の平に重なる何かがある事に気付いた。それは酷く震えていて、今にも消えてしまいそうな悲しい手。

 視線を握られた手の主へと向ける。

 悲痛な表情を浮かべたその少女は……ただただ、大粒の涙を流し、俺の手の甲へと零れ落ちていった。


 (キミは……、頭が重い……意識が……クソッ! 俺は……)


 なんとなく。なんとなくだ。直感で俺はこの目の前で泣いている少女を泣かせたままじゃいけない気がする。

 ――だから……。


 「泣く……なよ? 大丈夫、俺は大丈夫だから、な? ……泣かないでくれよ」


 掠れた声で。

 そして現実世界と俺の意識が離される時が近づく。


 (やべぇ……意識が……、まだ泣き止んでないのに……俺がなんとか……してやらないと……)


 「――わたしの……せ……で」


 少女の声を聴き取れないままーー瞼は閉じていく。

 深い闇の中で俺は一つだけ繋ぎ止めた。

 それは大切な人の名前。

 そして、きっと次に目を覚ますとき俺は忘れているだろう。


  ――だから、何度も、何度も、何度も、何度も、噛み締めて心の中で叫ぶ。

 この想いを、この気持ちを、この願いをーー少しでも長く覚えていられるように。


 こうして――彼、花守深は深い眠りについた。



次回からは物語のはじまりです。よろしくお願いします。

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