横穴
こういう不思議な経験をするのは僕だけなんでしょうか?
家がクソ田舎で遊び場と言えば山だったんですが、山ってなんか不思議な経験を凄くする気がする。
実家の裏山の奥に横穴がある。祖父が言うには、昔ここに漬物や干物などの長持ちする非常食を保管していたそうだ。
しかしこの横穴、今住んでいる家からも、昔住んでいた築150年を超すであろう家(現在は竹が床下から生えて屋根と柱と家の外壁が残るのみである。)からもかなり離れているのだ。僕は本当はこの横穴、ただの食糧保存のための穴ではなく、もっと特別な横穴何じゃないかと思っている。
と言うのも、僕がまだ小学生の中学年だった頃に1度1人でここへ遊びに来たことがあったのだが、その時この穴から子供が1人出てきたのを見たことがあるのだ。その子とは遊んだ記憶も会話をした記憶もない。ただ、絶対にこの穴から子供が出てきたことは間違いない。その記憶だけがこの穴を唐突に思い出させるからだ。
もちろん、どうしてあの時こんな薄暗い山の奥へ1人で遊びに来たのかは今となってはわからないし、あの子供が何だったのかは今考えてもわからない。
だが、恐ろしいとも、不思議だとも思ったことがないのも確かだ。あの子供が山の神様だったらいいなと思う程度だ。
この穴は今、狸が隠れ家として穴の中に枯れ草を敷いて使っている。今の僕にあの穴へ迷子にならずに1人で行く自信はない。




