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東雲 志乃

訓練場で五剣の能力を見せて貰った東雲であったが、少しの違和感を抱えていた。しかし、考えても正体は分からなかった為、今は考えないことにした。


「ところで東雲」


「はい!なんでしょう?」


急に話しかけられてびっくりしてしまった。何も疾しいことはしていないのに、変な反応をしてしまい、とても恥ずかしい。五剣も不思議そうな顔をしている。


「いや、東雲の能力を知らなかったと思ってな。今は後方支援が村雨だけだから、後方支援に入って貰おうと思ってたが、能力次第では前線でもいいと思ってな」


五剣は村雨の能力を信用している為、後方支援を村雨のみに任せるプランも考えていた。実際、東雲の前任者が抜けてから今までは、一人でやっていたのだから、何も問題は無い。


「私の能力ですか?」


「ああ。何タイプのPSなんだ?」


「実は私…PSを持ってないんです…」


「え?」


これには流石の五剣も驚きを隠せなかった。超能力者の中でも異端中の異端に驚かれて、東雲も申し訳なさそうである。


「たぶんSTではないです。STの人って自然と能力の使い方がわかるって言うじゃないですか?能力の認知っていうやつです。でも私にはその感覚がわからないので、たぶんSTではないです」


「PSが無いなんてことあるのか?」


五剣か考え込んでいると、時計屋が東雲に質問を始めた。


「超能力者であることを自覚したのはいつですか?」


「物心ついたときには自覚してました」


「三能はどのくらいの強さですか?」


「三つとも一応、トップクラスの強さだと言われました。でもPSがあると考えられる程の強さではないそうです。三つともバランスが取れてるので、単純に純度の高い能力者からの感染だっただけだと言われました」


「なるほど」


時計屋は納得したような素振りを見せた。


「何か分かった?」


五剣は時計屋の素振りを見て食いつく。その様子は何か執着があるように見えた。


「分かったのは、何も分からないという状況です。普通、PSが三能を強化するタイプのどれかであれば、どれか一つが圧倒的に秀でているはずです。例外として純度が低い場合には、元の能力が低い為、強化されても圧倒的と言うほどの差がでないこともあります。しかし、東雲ちゃんは純度が高いので、このパターンでは無いです。三能のバランスが良いことはSTの特徴なんですが、STの特徴の一つの能力の認知が起きてないとなるとお手上げです」


「そうか…。まあ三能がトップクラスとは言え、東雲はまだ実践経験も浅いから、最初は後方支援だな。少しずつ前線にも出て貰って、最終的には前線も後方支援も出来るようになって貰う」


東雲の様子を見てこれ以上この話を続けるべきではないと判断した五剣は、東雲の担当を決めることでこの話を終わらせた。


「わかりました。本当にすいません…」


「東雲のせいじゃないから気にするな。能力が分かるようにみんな協力するから心配いらないぞ。ここにいる四人はアドバイザーとして色々と勉強してるし、助けになるだろう」


五剣は東雲を慰める。人とは違うことがどれだけ辛いことか五剣は分かっているのだろう。その優しさに東雲も思わず泣きそうになる。


「とりあえず能力も教えてもらったし、お開きにするか。お前ら来てくれてありがとうな」


剛力が笑いながら良いってことよと言うと、他の二人も頷いている。アドバイザーの三人は話しながら訓練場を後にした。


「俺達も能課に戻るとするか」


「はい」


「そうですね」


そして、能課の三人も帰ることにした。歩きながら東雲が二人に聞く。


「そう言えば夢華さんが能力の名前を教えてくれないんですけど、こっそり教えてくれませんか?」


「あいつの能力の名前か…俺達から聞いたって言わないなら教えてやる」


「絶対に言いません!教えてください!」


東雲が嬉しそうに返事をすると、五剣と時計屋はにやにやしている。二人も実は言いたかったようだ。


「あいつの能力“夢華のこれ、夢か?”だ」


東雲は爆笑して、その場から動けなくなってしまった。二人もそれに釣られてお腹を抱えて笑っている。


「村雨の能力名は班全員が候補を出して、その中からくじ引きで決めたんだ。一発が変な名前を書きましたよーとか言ってて、いざ村雨が引いたら見事にそれに当たってしまったというわけだ」


笑いが収まってから五剣が理由を話している。東雲は笑いが尾を引いており、まだ思い出し笑いをしている。


「東雲も能力がわかったらくじ引きで名前付けるか」


「そうですね。お願いします。ところで五剣さんの能力の名前はあるんですか?」


「STしか名前を付けてないが、俺のSTの能力名は“作ってwork work”だ」

東雲は再び爆笑してしまった。さっきので笑いのツボが浅くなっているようだ。


「そんなに面白いか?俺は気に入ってるんだが…」


五剣は少し不満そうにしている。それもその筈、この名前は自分で付けたものなのだ。


「五剣君が3歳の時に、某番組にハマって決めたんですよね」


時計屋がまたも五剣の過去を持ち出し、五剣に怒られている。東雲はそれもツボだったらしく、それから1分近く笑っていた。

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