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バリスタと呼ばれた少女  作者: 風早
バリスタさんと黄金のエルフ
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第5話

 マンティコアと各地を回ってから数ヶ月経った。あの男も拠点を十字の街に移したらしい。

 里の者の訓練も順調だ。里長が書物で研究して指示している。

 成果をみるために、部隊を3つに分けてそれぞれ別の村を襲撃してみることになった。

 俺は留守番だったから鍛錬をしていた。

 里長と一緒に戻ってきた部隊から話を聞く。細かい問題点はあったが、大きな問題はないようだ。

 前回の襲撃から時間をおいたため、村の警戒心が薄くなっていたのも大きかった。

 部隊長と里長、俺で話し合って今後の訓練方針を決める。

「中々良い結果でした。これなら少し遠征をしても良いかもしれません」

 里長は攻めてみたい場所があるらしい。森から3日ほど離れた場所にある小さな町だ。

 この規模の町なら不意を突けば1日で落とせるかもしれない。

「森から離れた場合の部隊運用の訓練もしなければなりません。ちょうど良い目標だと思いますが、どうでしょうか?」

 襲撃が上手くいかなくても、こちらが被害を受ける前に逃げれば良いだけだ。

 この襲撃をすれば人種からは決定的に警戒されて敵対することになるだろうが、悪くない目標だ。

「敵対することは判っています。最悪の場合は森に防衛網を引いて人種の部隊を引きつけることになります」

 引きつけるということは、増援の目処があるか?

「里の外で協働してくれているものたちも部隊の目処がたったそうです」

 俺達に目をやっている隙に他を襲撃するようだ。

 初めての遠征だから準備に時間をかけた方がよいだろう。部隊長達と話し合い、訓練を合わせて一ヶ月を準備期間とした。

 次からはこの程度の遠征は即座に行えるようしたいものだ。

 準備期間の間にマンティコアもやってきた。

 マンティコアの計画はまだまだかかるようだが、里が襲撃されたら敵の背後をついてくれると約束していった。

 そして遠征が始まる。

 里から長い間離れるのが初めての者も多い。どうなるかと思ったが、訓練の甲斐もあって表面上の問題は見えない。

 細かい部分は各部隊長に任せて良いだろう。

 3日の距離だが、5日かけて行くことにあった。部隊で進むと歩みが遅い。

 急いで襲撃する体力がなくなっても仕方ない。余裕を見て行動する。

 逃げ帰ることになっても食料は充分にある。ならば万全の状態で襲撃すべきだ。

 夜が更けるのを待って、襲撃する。

 結果からいうと成功と言っても良いだろう。逃げられもしたし、里の者に怪我人が出た。

 だが里の者に死人はでなかったし、町を取ることができた。

 さすがにこの規模になると皆殺しとはいかない。

 怪我人の手当てをしながら、急いで金と食料を集める。

 この町には少ないが武器もあったのでそれらも持って帰るとしよう。

 それらが終わると、町に火をつける。

 これが意外と上手くいかなかった。

 建物にそのまま火を付けようとしたがうまく燃え広がらず、結局、藁や薪を集めて油をかけて火をかけた。

 そのときに何人か火傷を負ってしまった。中々上手くいかないものだ。

 町が燃えるのを確認して、急いで離れる。増援があるかもしれない。

 充分に離れてから休憩する。里の者の疲労も中々大きい。

 帰り道は常に後方を警戒しながらになった。俺も部隊の後方につく。

 幸いなことに反撃はなかった。次はこういかないだろう。更なる訓練が必要だ。

 森まで着いて里の者たちの気が休まる。そういえば捕虜を得ることができなかった。マンティコアへの土産に一人浚っておけばよかった。

 里への道を進む。

 前方で、上から振ってきた槍衾を受けて何人も死んだ。

 何が起こったかと思う暇もなく、凄まじい悪寒が走る。

 必死に身を捻る。

 一瞬前まで俺の頭があった場所を何かが通過し、斜線上にいた何人かが吹き飛んで死んだ。

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