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プロローグ


 か————ん


 か————ん


 か————ん


 か————ん


 か————ん


 か————ん……



 白い校舎の最上階にある鐘の音が、赤く染まった空に響く。


 少女が一人、屋上のフェンスの上に立っていた。


 白いワンピースの上に黒い革のジャケットを着込み、足下は黒いブーツだ。この学校の制服では無い。


 赤茶けた髪を風に揺らし、夕日に照らされていつもより赤く見える唇が、にっこりと微笑みの形を作った。


 フェンスより幾らか下がった位置には、大きな本を抱えた十歳前後の少年がいた。彼は教会の礼拝に行く時のようなジャケットと半ズボンを身に付けていた。伏せた瞳の色は知れないが、その髪は何と白色だ。


 少年の横には黒いスーツ姿の青年が立っていた。短い黒髪を後ろに流し、切れ長の瞳は少女の背中を見つめている。


 そして、今まさに鐘を鳴らしている鐘楼に腰掛けているのは、亜麻色の髪を後頭部でひとくくりにした少年だ。青年と言っても良いかも知れない。ダメージジーンズを履いて、縦縞のシャツの首におざなりにネクタイを結んでいる。


 六時を示す鐘の響きが完全に聞こえなくなると、彼女は口を開いた。


「さあ、鬼刻が始まるわ……!」


 喜色の色濃いその言葉は、淡く大気に溶けた。









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