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生を食む

作者: 鎖城メロ♪

昔考えていたことを敢えて起こしてみました

安心、安寧、安堵、安泰。

それらは人が作り出した最も甘い幻想だ。

陶酔だ。自分の中だけで完結する、都合のいい夢である。

信じてしまう所為で、足元が崩れたときに耐えられない。

叶ってしまうから、期待が生まれ、欲望が育ち、また不満を呼び込む。

人は、わたしは、そんな循環に脳を削られ、心を摩耗させている。


自然界に安らかな状態などない。

それはあってはならないものだ。

草を食む鹿の首筋には、常に獣の気配がある。

小鳥のさえずりの裏には、雨の一粒で崩れる巣の不安定さがある。

どれもが生への恐怖と実感だ。


生とは花火のようだ。

一瞬だけ、激しく、美しく、そして散る。

それでいい。むしろそれが本来のかたちだ。

種としての本能を全うする。ただそれだけで、十分ではないか。


「安らかでいたい」なんて祈りは、余計なものだ。

そこに願いを込めるから、叶ってしまったときに人は鈍くなる。

感情と情報が渦を巻き、意味のない争いが増える。

安らぎのために、人はヒトを消すことすらある。


そんな世の中が続いていいわけがない。

だから、わたしは「不安」に手を合わせる。

それは正しい。

それは、生きている証だと声を挙げる。

手のひらに残る震え、胸に走る動悸、

それこそが、今を生きているということ。


「安らかに」と誰かが言うとき、

その裏にある虚無に、わたしは自身の青さと投影して少しだけ笑ってしまう。

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