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まさかこんなことになるなんて!(3)

 

 ***

 

 コツコツと小気味のいい音が廊下に響く。

 今は運動用に作られた靴を履いてはいるのだが、革靴やヒールほどではないにせよ音が響くのが少し気になった。


 リリーナは今一通りの運動を終えてバスルームに向かおうとしているところである。城の敷地内、建物から少し離れた場所にあるテニスコートまでジョギングで向かい、ストレッチと筋トレ、仕上げにボールの壁打ちを暫く繰り返して…と組まれたメニューを全て終えたので城内に帰ってきた。


 ミソラから渡されたメニューを日々こなしつつ、間食の類を一切絶っているので効果は出ていると思いたいが、毎日体重を計っても減っていなかった場合がショックなので二日に一度に留めている。

 いつもより背筋を正すような気持ちで歩いていると、ふと視界に今見たくない人物が入ってきた。


「…!」


 リリーナは相手に見つからないよう素早く壁に隠れる。だが部屋に戻るにはこの道を使わなくてはならないので、少し様子を見ることにした。


「…」


 相手はどうやら話しかけられてそのまま立ち話になっているように見える。長くなるようなら一度この場を離れ時間を潰すか…などと思いながら観察を続けた。

 視界の奥で話をしている男…ディードリヒにだけは、自分が太ったなどと知られたくない。


 自分のプライドが許さないというのは勿論あるが、太ったという事実が知れた瞬間写真を撮られるかあちこち触られるかのどちらかは発生するに違いないのだから。

 それだけは嫌だ、絶対に嫌だ。万が一腹の肉でもつままれたその時…自分は死ぬ。恥ずかしくて死んでしまう。


 それにデートまではあと数日しかない。しかも記念日を台無しにしたお詫びも兼ねてのデートなのだから、服が入らないなど絶対にあり得てはいけないのだ。

 そう考えると、今日から毎日体重計に乗った方がいいのではないだろうか?


「!」


 そんなことを悶々と考えていると、ディードリヒが漸く動き始めた。

 視界の奥の曲がり角に消えていった彼を確認して、そろりと足を踏み出す。


「どうしたのリリーナ?」

「!?」


 足を地につけた瞬間、真後ろからディードリヒの声が聞こえ、思わず勢いをつけて振り返る。

 その先には本当にディードリヒの姿があり、こちらを不思議そうに見ていた。しかし先ほどディードリヒが動き出したのを確認してそう時間は経っていないはずだ。

 何があったのかわからず、リリーナの脳が混乱する。


「さっきからここでこっちを見てるからどうしたのかなって思ってたんだけど…あれ、ポニーテールだ。かわいいね、テニスでもしてたの?」

「そ、そうですわ。今日は時間がありましたので、少し体を動かそうと思いましたの」


 頭は若干混乱したままだが、なんとか返答を返す。ダイエットのことは死んでも口にしたくないが、嘘はバレてしまうので“嘘ではない”ことを言うことにした。時間があるのも体を動かしていたことも嘘ではない。ダイエットが目的であるのを隠しているだけだ。


「いいと思うよ、寒い時に体あっためるの大事だし。今度また乗馬でも一緒にしようよ」

「それは素敵ですわね。新しい乗馬服を用意しておきますわ」

「そんなに気を遣わなくてもいいのに」

「いいえ、貴方と共にするときこそおしゃれをするときですもの」

「そっか、ありがとう」


 嬉しそうに笑顔を向けてくれるディードリヒから、自分の頭部に向かって手が伸びてくる。普段の通り撫でてくれようとしているのだろう。

 だが今だけはそういうわけにはいかない。そう瞬時に察したリリーナは慌ててその手を掴んだ。


「ディードリヒ様、少しお待ちになって」

「?」

「お気持ちは嬉しいのですが、その、今は運動をしたばかりですので…汗をかいてしまっていますから」


 さらに言うならば、今日はいつもより負荷をかけた運動をしている。そうなれば自然とその分汗をかくわけで…正直、尚更今会いたくはなかった。


「そうだね、抱きしめていい?」

「お断りですわ! そのようなことをしたらまた貴方は…!」

「うん。リリーナの汗の香りは一生感じていたいよ」

「公衆の面前でしてよ!」


 誰が聴いているのかわかったものではないのに不用意な発言をしないでほしい。自分のやっていることのリスクは把握してると以前言っていたはずなのだが、本当にそうなのか疑わしくなってきた。


「けちー」

「そのようなことはありませんわ。私は部屋に帰ります」

「うーん…僕に仕事がなかったらなぁ」

「なんですの、その口ぶりは」

「お風呂一緒に入ったのに」

「ごきげんよう」


 リリーナは素早く身を翻し歩き始める。

 後ろからディードリヒの謝罪の声が聞こえたような気がしないでもないが、気のせいのはずなので無視した。


リリーナ様、人生初ダイエットの巻

いやー、久しぶりに出ましたね。狂気の努力モンスターリリーナ様が

自分で書いててやべ〜〜〜〜ってなりながら書いてました。なんだよオーダーメイド品着回しできるレベルで体型維持してるって。それだけならやってる方も少なくないでしょうが、それをするためにダイエットしたことないはやばいて

やってる運動の中身も軽くアスリートでは? と思いつつ書いてました。彼女の腹筋は二つくらいには割れているに違いない


そしてディードリヒくんが安定の気持ち悪さを発揮していましたが、なかなか重要な事実が判明しましたね。そう、リリーナ様が受けるお仕置きの中身です

婚前交渉さえ匂わせるようなオチの話も少なくなかった中で、リリーナ様は婚前交渉についてこだわるような発言も多く「結局どっちなん?」ってなってた読者様もいる…かもしれないですが、お仕置きの中身も気持ち悪いですね。強いて言うなら胸とか鼠蹊部には触れてません。セクハラするのが目的なので

何を楽しんでいるかは本人しかわかんないです(すっとぼけ)


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