第6話 掛け替えの無いもの
うん……、だろうね…そう言われるだろうね…バカなのか?トチ狂ったか?か?って……
うん…僕もそう思う…助けてもらう側である僕でさえそう思うよ……
どうトチ狂ったら生まれの身分も分からない捨て子のガキを養子にしようと思う?この家が平民だったりしたらまだ……まだ、なんとかわかるよ?ただそうじゃないだろ?この家は貴族家、しかも話を聞くかぎり相応に格式のある貴族家だと思う。第1、格式があまりなくとも貴族家の時点でどこの馬の骨ともしれない捨て子を我が子の身の回りで仕えさせる従者に…ましてや自分たちの養子にしようなんて普通しないしおかしいだろ?まあいい、とりあえず、貴族の男性…あぁ……名前忘れてしまった……まぁ……次期貴族家当主の人の話を聞こう。
「確かに父上は僕が言っていることをおかしい!、どうかしている!思うかもしれません!しかし!僕はいたって真面目にこの話をしています!」
いや、そもそも自分自身で言ってることがおかしいとかどうかしてるとか思わないの?
いやそもそも、いたって真面目に話してるんだったらそれはそれで困るだろう?いろいろと…反応とか…対応とか……
「っ………フッ……フゥ〜…と…とにかく真面目にそれを言っているのであればそれはそれで困るのだが……ブラーヴはそう言っているがデメテルさんはそれでいいのか?」
「はい、私と旦那でよく話し合ってこの話を御義父様に相談しようと決めました。この子を養子かあの子達のどちらかの従者にする許可をもらうために御義父様に話に来ました」
「グッ……クッ…アッ…アァ…そうか…そうだった……っ……ハーーーー………ふざけるな貴様ら!!」
あ……へっ………部屋が揺れたかと思った……
「我が家の名誉を何だと思っている!!どこの誰かもわからん馬の骨を我が家の養子にしようなどご先祖様方に申し訳ないとは思わんのか!!デメテルさん、君等の子供が流れたのは確かにかわいそうなことだったし悲しいことだったがそれとこれとでは……」
言葉の途中で割って入って止めた人がいたのか言葉が途中で止まった。
「デメテルさん確かに貴女達の赤ちゃんの件は悲しいことだったし貴女が赤ちゃんの話題になったら暴走してしまうのはわかるわ、でもね流産の直後であろうと許せる範囲と許せない範囲があるの、それはわかる?」
なぁ…神様…いや…天使か?流産直後の女性にそれ関連の洗脳にせよなんにせよそこら辺に手を出すのはどうかと思うよ?君らが流産とは関係ないにしても…だよ?…何をしたん?天使…や神の人ら?
「しかし…それでも…」
そう、言葉を詰まらせるデメテルさんとそんなデメテルさんを優しく抱き寄せるブラーヴさん。
「しかし……父上、母上…」
ブラーヴは説得しようと言葉を紡ごうとし、しかし言葉にならない言葉が口から溢れ落ちるだけだった。
それはそうとよくよく考えればこんな状態でも泣かない赤子は悪魔憑きかどちらにせよ、まともだとは思われないだろうかとりあえず泣いとくか……。
「ウェ〜ン! ウェ〜ン! ウェ〜ン! (不審がられたくないよ〜!誰か助けてよ〜〜!神様が何を考えてるか分からなくてとてもとても怖いよ〜〜!!)」
「ん…?…まぁいい…とりあえず……仕方がないか……もしも神の使徒……いや近衛騎士団の団員になれるレベルの才能がステータス測定で診断されたら最低でもタプファーかヴァイゼの従者にすることを許可しようもしもたいして才能がなければ孤児院にその捨て子を連れて行こう。皆もそれていいか?」
そう現当主の人が判断をくだした。いや…すっげぇ譲歩したなこの人最悪僕なんて殺せばいいだろうに、他の人らの反応はどうだろう。
「えぇ、貴方がそう結論をくだしたのであれば私もそれに賛成よ。」
「父上!母上!ありがとうございます!それでいいです!!」
「はい…それで納得しました。ありがとうございます、感謝します。」
うん、みんな納得したみたい…よかったね…よかったね。最後の人は不承不承だったみたいだけど………。
しかしよくこんな話が認められたな……、びっくりだよ…ほんとうに………。
あとこれは余談だが僕が全然泣かなかったから少しだけ不審がられた。不審感拭えたか不安だができるだけはやった、うん!僕はできるだけは頑張った!!




