第18話 神からの使者
事情聴取を受けてから1日経った。今日も特にやることがない。訓練はしないのか?と思う人間もいるだろうがこの場合訓練はしないのではなくできないのだ。
なぜかといえばあれだけ大立ち回りしているから忘れている人間もいるかもしれないが僕はまだ三歳だ。
ある程度まともな訓練を受けるのは体がしっかりでき始める5〜6歳からだ。
この話を聞いた人の中には剣の稽古を受けていないのにどうやって一太刀で人間の体を真っ二つにしたのか?と思う人間もいるだろうが、そこは……あれだよ、魔法の力で無理やりねじ切ったんだよ……。
まー……だからあの時、僕は技術もクソもない戦い方をしていたんだよ……。情けない話だがね……。
そんなわけであまり堂々と訓練をすることはできないんのだよ……。
コン コン コン コン
「入ってください」
考え事に集中していたがノックをされたから途中ではあるが思考を中断してそういった。
「失礼するわね?アレス、おじいちゃんからあなたにお話があるそうよ?一緒におじいちゃんの執務室に行くはよ?」
ハー………お祖父様からの呼び出し………めんどくさいことにならなければいいけど…………。
「わかりました……」
母上にお祖父様がどういう理由で呼び出したのか聞いたところでたいした答えが返ってくるわけもないと思ったのでそう答えた……。
コン コン コン コン
「御義父様、アレスを連れてまいりました」
お祖父様の執務室についたので母上がお祖父様の執務室のドアをノックした。
関係のない話だが三階には転生直後に来たときいらい初めて初めて来た。二歳のときは探索を先延ばし先延ばしにして結局、反乱の話を聞いてそれ以来、探索どころではなくなったからね……。
「入れ」
母上のノックに対してお祖父様はそう言った。
「はい、失礼いたします。アレスも部屋に入りなさい……」
キーーー…
「失礼します」
そう母上が言った。
「失礼します」
それにならって僕もそういった。
「あぁ、聞いているだろうがアレスお前に話がある」
お祖父様がそう切り出してきた。
「また事情聴取じゃないでしょうね?それとも昨日、僕が話した、神の加護に関する話ですか?」
その言葉に対して僕はそう聞いた。
「……事情聴取ではない」
お祖父様は嫌そうに顔を歪めながらそう答えた。
「神の加護の有無に関してのもう少し先になるだろう」
そうお祖父様が答えた。
「そうですか……それで文官長の今後の処遇に関してはどうするつもりで?」
聞こうかどうか少し悩んだが一応文官長の今後の処遇についてお祖父様に聞いた。
「うーむ……、とりあえず泳がせて内々に文官長に関して調べるつもりだ」
「そう…ですか……」
少し思うことはあるがこの家のことはこの家の人間が決めるべきだろう、僕がこの家の人間を助けたのは……助けるのは、あくまで大恩があるからとあと僕は……僕たちは………この人たちに…………まぁいい……とにかく僕はこの人らに恩を返すためにしたのであってそれ以上でも以下でも無いわけだからこの家のことはこの家の人間が決めるべきだろう……。
「それでお前を呼び出した理由だが、昨日いろいろあって言い忘れたがお前に従者がつけることにした、ただしその者は武術に特段、秀でたわけではないということだからもしもお前が神の加護、またはそれ以上の神の使徒を授かっていたらその従者とは別にアテナもお前の従者になる。その場合、断言はできないがアテナの罪を公的に裁くのを止めることになるだろう。お前の従者はお前の部屋で待機されているからこれからその従者とあってこい。話は以上だ」
そんな感じで執務室から出て2階で母上と別れて僕は自分の部屋で戻った。
ガチャ
「お戻りになられましたか、アレス様」
部屋に入った直後にさっきお祖父様から説明された従者だろう若い、パット見たかんじ10代中頃から前半くらいの少女だろう見た目の女性からそう声をかけられた。
しかしその少女だろう子供から数年ぶりに感じる天使の気配というかなんというか……に似た全身がゾワゾワするような……総毛立つような……格上の生物を見た時の胸が締め付けられるような諦めの感情が湧いてきそうな……言葉では言い表せないそんな感情なのか感覚なのかが全身を駆け巡った。
「あ…あぁ……お前は誰だ?」
従者、そんなことはわかりきっていたがそれでもついついそんな言葉が口から零れ出ていた……。
「えっ?なにをおっしゃっているのですか?先ほど領主様……あなたのお祖父様からお話があったと思いますが、今日よりあなたの従者なった者ですよ?………と、言ったところであなたは信用しないでしょう……三年ほど前にあなたに話しかけた天使ではありませんが主神様からあなたに遣わされた天使です。今後はあなたの従者として活動していくことになります。よろしくおねがいしますね?暁君?あぁ……いいえ………こう言ったほうが正確ですかね?よろしくおねがいしますね。斎藤 暁君?」




