第118話 夜会(4)
「ユースティティア、こんなところでなにをしているんだ?」
話が終わってちょうど立ち去ろうとした時、ユースティティア殿の父親、だからまぁ国王陛下とイドラ殿とティミドゥス殿に似ている男性が2人、そしてお祖父様とたしかこの夜会の初めに宰相だと紹介されていた人がこの場に現れた。
「……アレス・フォン・ゲオールギアー君と少し話していただけですよ。父さん」
「アレス……君?だったかななにも問題はなかったのかな?」
「……はい、少し政治談義をしていて私たちの考え方が違うとなっただけです」
国王陛下の急な質問にめんどくさく思いながら状況を正直に話した……ユースティティア殿と同じようなことを答えようかとも思ったが嘘をついたと思われたら面倒くさいからね……。
「……どんな感じに考え方が違うかったのかな?アレス君」
「……ユースティティア殿が私にこの国を共和国的な政治体制にするのに賛同してくれるかと言われたので、私は現状の政治体制のままの方がいいと思うと答えました」
僕の答えを聞いた国王陛下は私を警戒するようにそう聞いてきたので、僕は言葉を選びながら国王陛下の質問に答えた。
「……なぜそう思う?」
「……この話は国王陛下もご存じだとは思いますが、約十数年後に魔王が復活します、……ということは魔王復活までの約十数年の間に経済を発展させて国を富ませて軍事力を強くし各国、各領地で交流し非常時に軍事力を移動させられるようにしなければならないと思います……そのような状況で軍事や政治を直接動かすことに関しての能力がありその知識に関して教えることができる貴族層の人間から立場や財産を奪うのはやめたほうがいいと思います……まぁ共和国化後のこの国に協力しない人間を全て奴隷にして無理やり働かせるなら別ですけどね?少なくとも私はそんなことをしたくないので政治体制は現状のままがいいと思います」
国王陛下からの質問に対して僕は思っていることを言葉を選びながら答えた。
「……そうか……わかった……ならもし魔王や魔王軍への対処が終わった場合、君はこの国の共和国化に協力してくれるということかな」
「……申し訳ありませんが私にこの国、いえ、この世界の政治体制にとやかくいう権利はないと思っているので協力はできません、そしてもしユースティティア殿下やイドラ殿、ティミドゥス殿やクーストーディア、ソキウス・イティネリスにクールソルそしてネウトラルなどがこの国を共和国化にしようとした場合、それをできうる限り止めます」
「……アレス君?君に1つ聞きたいんだけどもしユースティティア殿下やイドラちゃん、ティミドゥス君それからクーストーディアにソキウス・イティネリス、クールソルそしてネウトラルなどが多数の反対を押しのけて共和国化を強行に阻止した場合、君はユースティティア殿下たちの行動に賛同してその動きに同調するのかな?」
「その場合は共和国化をしようとしている方々にできうる限り協力します」
国王陛下からの質問に答えたら周りが僕に対して困ったような表情を向けていたが、その次の宰相閣下からの質問に対する僕の答えを聞いたみんなはよくわからない人間を見るような表情を僕に向けてきた。
「……ふむ……?なぜだ?」
「………ユースティティア殿下たちであれば理解しているとは思いますが、そもそも他の方々であればまだしも我々が無闇矢鱈に政治に口を出すことによって共和国の二の舞いになってしまっては、それこそそれによって亡くなった方々に死後、なんて言えばいいのか分からないので、できる限りユースティティア殿下たちを止めさせていただきます。(まぁ魔王討伐後に僕が生きているかどうかもわからないからね……)」
話すべきでないだろうことが多々あったので宰相閣下の質問にどう答えようが悩んだが言葉を選びながらなんとか返事をした。
「………そうか……わかった」
「……こんな場所にずっといても仕方がないからそろそろ夜会会場に戻るぞ」
「「「「「「「「「「承知いたしました」」」」」」」」」」
僕の言葉に対して宰相閣下が返事をした後、国王陛下が夜会会場に戻ろうとこの場に居る皆に声をかけ、それに対して僕を含めた皆が了承した。




