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三題噺もどき3

小腹を満たす

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくはちじゅうよん。

 


 生ぬるい空気を扇風機がかき回す。


 降り続いていた雨もようやく終わり迎えたのか、昨夜の雨を最後に晴れ間がのぞいている。

 それでもこの時期は湿気がすごくて、ジメジメとするので気分はいいモノではない。

 もう少し涼しくなるか、この湿気をどうにかしてくれるといいんだけど。

 暑い上にジメジメしてるから不快指数がものすごい。

「……」

 六月が終わり、今年がもう残り半分ということに驚きを隠せなかったりする。

 もうあれから半年たっているのか……と考えるともうなんだか笑えてきたりもする。

 体調は確実によくなり、不調の波はあるにはあるが、それは誰でも同じだろう。私はそれが少々酷いと言うだけで、それも多少はマシになってきている。

「……」

 いい加減色々と考え直さないといけないのだけど。

 それもこれも後回しにしすぎた感はある。

 けどまぁ、そのあたりも実は先月の頭辺りに話をしているので、今すぐにというものでもない。あの日はほんとに無駄に疲れたなあ……あの人たちとの会話はいつしても疲れる。

 しかもその後に友人とのあれこれもあったりしたから……先月よく頑張ったな私。

「……」

 それは終わったことなので置いておいて。

 今月中にはいろいろ決着がつくだろうと思っておいて。

 今やるべきはそれ以外の目の前のことだ。

「……」

 まるで重大なことのようにいってみているが。

 単純に、小腹が空いたのでどうしようかと悩んでいるだけだったりする。

 たいしたことではない。

「……」

 いつも通りに起きて、朝食を食べて、出かけようとしたがあまりにも暑くて断念して。

 リビングで読書をしながら、ぼうっとしたりしてみて。昼食も食べてしまって、さてどうしたものかと思ったが、少し掃除をしたりして。それも終わって。

 今日の運動は夕方か夜の比較的涼しそうな時間にしようと決めて。

 それでまぁ、またその時間まで読書でもしていようかと思ったんだけど。

「……」

 その前に小腹が空いた。

 これからまた出かけるつもりだし、夕食もあるのであまりしっかりしたものは食べない。

 ホントに小腹が少し空いた程度なので、何か一口食べられればいいんだけど。

「……」

 そう思いながら、冷蔵庫を開く。

 ―こういう時にアイスも食べられればいいんだが、腹が冷えるので控えている。弱いわけでもいないと思うんだが、簡単に腹を下す……少々冷えただけで。

 一口アイスとかならまだ食べられるんだけど、あれは結構量が入っているし一種類じゃないものが多いだろう。それにアイスを買うにも帰宅中に溶けかねないので買う気になれない。

「……」

 冷蔵庫の中には、飲みかけの麦茶のボトル。

 必要最低限の食料と、最近飲み始めたヤクルト。睡眠の質を上げるっていうやつ。効いているのかは分からない。寝苦しいから最近。

 それと、小さな箱に入ったチョコレート。

「……」

 そういえば、買っておいたのだった。

 カカオ72パーセントのやつ。86パーセントのと悩んだが、こっちの方が個人的には好みの味なのでよく買う。もう一つある95パーセントは妹が買っていたのを一口貰ったが、あれは少し私には苦すぎて無理だった。ほぼ苦いだけみたいな……美味しかったが一度経験したらいいかなって感じだ。

「……」

 冷蔵庫の中で冷やされた箱を手に取り、スライドさせる。

 ひとつ……いやふたつ。

 手に取り、箱を冷蔵庫の中に戻す。

 ついでに、キッチンに置いてあったマグカップに麦茶を注ぎ、水分補給もしておく。

 喉が渇く前に飲むよう心掛けているが、ついつい忘れるので目に付いた時に飲んでおかないと、室内で熱中症になりかねない。

「……」

 金紙を開き、チョコレートを一つ食べる。

 甘さよりは少々苦みが際立つが、そのバランスが何とも言えない。

 下手にお高いブランドのチョコレートとかよりは、他のお菓子よりは多少値は貼るけど市販でも買えるこういうお菓子の方が個人的には好みだ。

 以前何かで機会があって、食べたことがあるが、私の貧乏舌には合わなかった。残念。

「……」

 麦茶を飲む前に、もう一つも食べてしまう。

 ……もう一つ食べたくなる前に、口の中を空にし、麦茶を流し込む。

 あまり量を食べてしまっては、また後日小腹が空いた時に困る。量があまり入っていないのが難点だよなぁ。かと言って袋の方を買うのは、それはそれで食べきれなかったりするから調整が難しい。最近は一口で食べられるパウチ?といえばいいのか、そういうのもあるみたいだが、あれは絶対一日で食べきるから罪悪感が生まれそうだ。

「……」

 もう一口麦茶を飲むために、冷蔵庫を開ける。

 手に持ったマグカップに麦茶を注ぎながら、冷蔵庫の中身を再度確認する。

 小腹を満たしはしたが、この次に食べるものは夕食だ。

 今日の夕食は何にしようかと、ぼんやりと考えながら麦茶のボトルを置き、チルドを開く。

「……」

 昨日買った魚が入っている。

 他はウインナーとピザ用チーズと、釜揚げシラス。

 ふむ……魚があるなら魚を食べるか。

「……」

 このウインナーも食べてしまわないといけないやつか……。

 ジャガイモがあったはずだから、適当にスープでも作るか……普通に焼いてしまってもいいんだが。まぁ、その辺はその時の気分で良いか。

 シラス……は別に急ぎでもないし、いいか。今度食べよう。

「……」

 そういえば、魚で思い出したけど。

 たまに聞く、魚派か肉派かという話をしたことがあって、どちらかというと肉派かなという話をしたら、意外だと驚かれたことがあった。別段秘密にしていたことでもないし、意外だと言われても、普段から肉をよく食べるので、自分では驚かれたことの方に驚いた。

 たいして食事量はないので、見目は若干細いせいか、魚の方が好きなんだと思われていたそうだ。どういう理屈だと思いはしたが。

「……」

 昨日も1人で唐揚げを作って、食べていた。

 今日の分まで余らすつもりの量で作ったはずなのだが、気づいたら食べきっていた。案外食事量が増えているだけかもしれないけど。

 外食でも、魚よりは肉をよく食べるし、焼肉とかは割と好きだ。匂いがつくのは多少気になるが、最近の店はそうでもないし。

「……」

 む。

 そういえば、焼肉とか全然行っていない。

 1人で行く勇気がないのもあるが、そんな時間がなかったのもある。

 ……今度妹家族にでも声を掛けてみようか。

「……」

 今日はとりあえず、この魚を処理しつつ。

 夕方出かけるときにでも、また肉を買ってこよう。






 お題:魚・チョコレート・秘密

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