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【閉会の言葉~投票形式にこめた意図~】

この度は第二回書き出しコロシアムにご参加いただき、誠にありがとうございました。

閉会式に添える話として、本企画の「投票形式に込めた意図」を説明させていただきたいと思います。


なぜこれを最初に話さなかったかと言えば、この企画意図を知ることで、少なからず作品に影響が出る可能性があると考えたから。そして、なぜこのタイミングで話すのかというと、今後のコロシアムでの戦いが、より加速することを願っているからです。


さて、本家書き出し祭りでは、1位〜3位に点数が割り振られており、1位票には3位票の3倍の価値があります。例えば本家では、1位票10票と3位票が30票あることが等しい価値を持っています。

これは「推されること」に価値を見出しているという風に捉えることができます。つまり、作品・作風のファンを多く作れば勝てるという構造です。


コロシアムに参加権がある方々は、既に全員この条件下で上位に入賞した経験があり、「推してもらう力」はデフォルトで備わっているわけです。

であれば、「書き出し祭りの向こう側」をテーマとしたコロシアムでは、本家とはまた違った力を持った人間が優勝できるような構造にしなくてはならないと考えました。


参加者全員が「推される力」を有しているのであれば、次に求められる力は「対象読者外」から票を奪い取る力でしょう。そこで思いついたのが、一票の価値を等しくしするという投票形式です。


一票の価値が等しくなるとどうなるでしょうか? 早い話が、本家では「対象読者」のみから票を集めれば勝てた戦いが、コロシアムでは「対象読者」+「対象読者外」からも支持される作品でなければ勝てない戦いとなりました。


良質なファンタジーでありながら、SFファンにも好かれるような。

息をつく間もないミステリでありながら、ファンタジーファンにも好かれるような。

そんな対象読者以外を引き込む力のある作品が求められる構図になったわけです。


つまるところ書き出しコロシアムとは「互いの想定読者の票を奪い合う」そういう戦いだったのです。


1st set から構造を詳しく説明しましょう。

とはいえ 1st set はかなりゆるめの設定にしてあります。

一人につき五票も投票できますので、読者は好きなジャンル+気になった作品に投票します。

書き出し祭りと同じ戦いができていれば、想定読者の票は確実に入るでしょう。

ただし、ジャンルが被っていた場合は少し苦戦を強いられた方もいるかもしれません。

読者の中には「このジャンルで1票」「このジャンルには2票」とジャンルごとに投票数を決められてる方もいらっしゃいますから。


さて、問題は 2nd set からです。

準決勝では4作品中3票、敗者復活では19作品中3票、投票できる仕組みとしました。

準決勝、そして敗者復活からは、相手の想定読者を奪う戦いが一気に苛烈になります。

特に今回、準決勝はジャンルが大きく分かれていたため、票の奪い合いがシビアだったと思います。


また、準決勝の票数を決めたもう一つの理由としては、進出者に安心して欲しくなかったという気持ちもありました。

準決勝に進出した場合、次の決勝で上位に残れる確率は単純計算で50%を超えます。

「予選を突破したから一安心」、そういう気持ちが生まれる可能性も0ではありません。

考えた結果、準決勝からは一人だけが脱落。敗者復活の一位と入れ替えという制度を取りました。


人間心理として、「自分一人だけが落ちる」という状況にはできるだけなりたくはないでしょう。

準決勝から落とす人数を最小に設定することで、逆に準決勝進出者の原稿クオリティが上がるのではないかと期待しました。

結果、準決勝進出者の得票数はほぼ25%で分かれるという、明確な優劣のつかない理想的な結果となりました。全員の原稿が最高の仕上がりを見せたからこその結果かと思います。

ただ、あの票の分かれ方で最下位を落とすのは、少々酷だったかなと反省しております。

敗者復活からの復帰が1枠だけという点と併せて、このあたりは改善の余地があると思っています。


FINAL Set については、実は2nd Setの結果が出るまで票数の具体的な設定を決めていませんでした。

ただ、「該当作品なし」の項目を下剋上マッチでのみ採用するということだけは、最初から決めていました。


下剋上マッチでのみ「該当作品なし」の項目を作った理由はいくつかあるのですが、一つの大きな理由としては、この項目がないと準決勝で落ちてきた作品があまりにも有利になるためです。

もともと1st Setを勝ち上がっている作品ですし、力もあります。おまけに確実に二話目までの印象が大きく残っていますから、得票される可能性が高いです。

そうなった場合、今後のコロシアムで「準決勝ではわざと敗退し、下剋上マッチで一位を取った方が優勝しやすい」というバグ技が発生してしまう可能性がありました。それはコロシアムの趣旨とは反しますので、「該当作品なし」の項目を作りました。


もう一つの大きな理由としては(これは参加者目線ではかなり酷な話だとは思いますが)FINAL Setに関しては、決勝以外の作品は読まなくてもいいという選択肢を読者側に与えたかったからです。

娯楽のファスト化が進む現代において、12000字のセットアップで読者の票を得られていない作品は、かなり展開的に遅れを取っていると言えます。コロシアムという企画においては、そういう作品については、1st Set, 2nd Setで勝ち抜いてきた作品よりも、少し厳しい条件に置かせていただきました。


ただ、下剋上が完全に実現不可能なラインに設定されては興ざめですので、下剋上が実現可能なギリギリのラインを設定するために、2nd Setの結果を待ちました。

最終的にはFINAL Setでは票数がほぼ四等分されるであろうことを見越し、下剋上マッチの票数を設定しました。


以上のように投票形式を設定した甲斐あって、企画が求めていた「対象読者」+「対象読者外」からも支持される作品が上位に君臨する結果となりました。これは、上位の作品を読んだ誰もが頷けるのではないでしょうか。


今回、「結果が振るわなかった」という方もいらっしゃると思います。

以上のような投票形式が意図されていたことを踏まえると、恐らく大きな理由としては


・対象読者層が狭かった

・対象読者のみに刺さる内容だった

・同一ジャンルに競合する強敵がいた

・構成的にスロースターターだった


などが該当するのではないでしょうか。

これらの理由はすべて、作品そのものの出来が悪かったことを意味するものではありません。

企画主としてすべての作品を読ませていただきましたが、本家であれば上位を狙えるであろう作品が、なかなかコロシアム苦戦していた様子も観測しております。

これらの原因は、投票形式が異なることに起因する可能性が非常に高く、戦い方を変えることで、全く異なる結果になることもあると思います。


コロシアムは戦いの場であると同時に、鍛錬の場でもあります。

何度も何度も挑戦し、自らの筆力を鍛える糧にしていただければ、企画主としてこれほど嬉しいことはございません。


書き出しコロシアムは年末の恒例行事にしたいと考えております。

また来年、また素晴らしい作品と出会えることに期待しつつ、〆の言葉とさせていただきます。

企画にご参加くださった作者、読者、すべての方に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。





あぁそうだ。最後になりましたが、次回開催時には以下の点を改善しようと考えております

・参加人数の調整

・各セット間にインターバルがあり、間延びしないような調整

・準決勝、敗者復活戦の人数調整

・Googleフォームだけでない、より信頼のおける投票形式の調整


また来年、進捗ありましたらポストしますので、ご確認の程、よろしくお願いいたします。





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