レベル上げ
ゴブリンとクソ上司の面影が重なりゴブリン狩りは苦ではなかった。憎らしい顔が似ているなと気づいてからはより槍が捗った。
初級槍術を取得したことで、槍の扱いは圧倒的に向上したが、最初の戦いが上手くいきすぎたようだ。避けられて棍棒でぶん殴られることも何回かあった。ジャージの姿をしているが初心者防具のおかげで軽い打撲で済んでいる。荒木が勧めるのもわかる性能だ。軽いし攻撃も防げる。
2体以上出た時は荒木が瞬殺し1体残して突き刺すを繰り返し20体くらい倒したところで、今レベルが3に上がった。
ステータスを筋力に振り分け体力上昇小を覚える。槍を自由に使うために少し力が足りないと思ったからだ。あと戦闘は今日初めてやるのだ。馬鹿みたいに体力と精神を使う。
とはいえ会社にいるより精神を使わない。何なんだよあの会社、命のやり取りより精神張り詰めなきゃいけないって。常に誰かの怒りが爆発しないように誰かが潰れないように意識を研ぎ澄ませなければいけない。そんでもってまともな評価はつかないとかどうなってんだ。仕事ができないだとそりゃ出来るわけねえだろ。お前目の前で見てるだろ、その惨状を。仕事どころじゃねえだろ。とクソ上司に対する怒りが急に湧いてきた。
いけねえ、今はダンジョン探索中だった。
「今日中にあと1レベルいけるかな。」
一時休憩しながら荒木に問いかける。ここまで2時間かかっている。
「中田さんなら十分いけますよ。これでも早い方ですよ。レベル2まで1日かかる人が多いですよ。私がいるのもありますけど、中田さんの精神力が結構異常なんですよ。大体最初はゴブリンが襲いかかってきたらビビりますからね。あと命をとるのにもビビります。それをぶっ通しで2時間続けるなんて。」
「戦うのが楽しいんだ。あと多分覚悟が決まっちゃってるんだな。このままじゃ死ぬっていう状態が続いてたからな。」
「戦闘狂ですか。ちょっと引きます。というか中田さんこそ、なんで今の会社いるんですか。転職とかすればよかったのに。」
「そんな余裕がないくらいに徐々に追い詰められてたんだろうな。最初は何とかなるだろうと思ってたら驚くほど何ともならなくて30手前までズルズルと続けてしまった。で、急に気づいたんだ。このままじゃダメだってな。」
「とりあえずダンジョン探索上手くいくようなら一緒に今の会社抜け出そうぜ。正直あの会社はダメだ。何ともならない。」
「了解です。お供しますね。」
荒木は敬礼しながら答える。
荒木が用意してくれたプロテインバーで簡単な食事を済ませる。11時くらいから潜っているから昼時だ。探索中とはいえ、何か食わないと消耗するからと準備していた。マジックバッグというものを荒木は持っているから重さはほぼ無いのだそうだ。値段は目が飛び出かけた。マジでなんで今の会社いるんだよ。
休憩も終え、再びゴブリン狩りだ。今までゴブリンしか出会ってないなと思って荒木に聞くと1階層はゴブリンしかいないそうだ。レベル3になって回復魔法を覚えたら2階層に行っても大丈夫みたいだ。
「2体きましたね。中田さん一人でやってみます?」
「おけ、やってみるわ。」
2体同時に襲いかかってきた。左右に分かれてきている。2体を同時に相手出来るほどのステータスも技術も無い。だからタイミングをずらす。
「逃げるんだよーっ。」
右側にかわし、右のゴブリンの足に槍を刺す。即座に槍を抜くと右ゴブリンの動きが鈍っているのがわかる。左ゴブリンを倒す時間は稼いだ。
というわけであとは一体ずつ仕留める。左ゴブリンの胸に槍を刺す。筋力を上げたおかげか一撃で倒せる。弱った右ゴブリンも胸を一刺しして倒した。
「いいんじゃないですか。この調子で倒していきましょうか。ちょうど今3体来たんで次は3体同時で。」
冗談かなと思ったら荒木の目はマジだった。ゴブリンより圧を感じた俺は戦うしかなかった。
わかりにくいところなどありましたらご意見ください。ほぼ初めて書くので勢いでしかないです。