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オーク対策

オークの特徴はその力強さにある。あの丸太のような腕から繰り出される攻撃は、喰らったらひとたまりも無い。さらに武器の扱いもゴブリンよりも長けている。簡単だが防具もつけている。今まではなんとなく武器を振り回していたら勝てていたかもしれないが、ここからはそうもいかない。


とはいえ、攻撃を槍で守ってしまうと、今の俺では力負けしてしまう。なので、ここは受け流して隙をついて突いていくのがいいだろう。


「中級槍術さん、どうやったら相手の攻撃を受け流せるの?」


「スキルは答えてはくれないですよ。そしてスキルを取得していたらある程度は体が反応してくれます。中級なら問題なくサポートはしてくれますよ。それを自分の意識でも使えるように体に染み込ませて、考えながら動かないと上達はしませんが。というか、今までも中田さん普通に受け流したりしてましたよ。」


「なるほど、高等技術とかでもスキルは対応していくれるんだな。いや、なんかあの物量感を目の前にすると少し気後れしてな。では、試してみるとするか。」


オークを1体探し出して、槍を構える。既にこちらに気づいている。

相手の出方を伺っていると、突進してきた。意外と速い。これは槍を受け流したところで、タックルされたら終わりでは?攻撃の方向をずらして、自分は反対側に避ける。


「頼むぜ、中級槍術さん!」


槍同士がぶつかると強い衝撃が腕に走る。が、なんとか右側に弾くことが出来た。同時に自分は左側へ避ける。右肩に若干タックルが当たったが、なんとか避けれた。全力で突進してきたオークはバランスを崩す。一撃で仕留めるつもりだったのだろう。


「やるじゃないか、中級槍術さん。」


バランスを崩したところに槍を叩き込む。狙うは足と首だ。あの逞しい胴体には槍の攻撃が通る気がしない。というか、一度刺さったら抜けなさそう。チクチクと刺し続けるとオークの体が消えていった。


「やりましたね。中田さん。」


「ああ、槍だけで勝ち切ったな。でも、時間かかりすぎるから魔法も使いながら次は戦うかな。」


「そういうと思って練習台を山ほど連れてきましたよ。」


オークを10体引き連れた荒木はこれ以上ないほどの笑顔だ。


「ちょっとくらい息をつかせろよ!!」


「鉄は熱いうちに打てですよ。」


「熱すぎて打てないくらいドロドロだよ!!」


中級火魔法のフレイムをぶつけて弱らせたところに、槍に炎を付与して突き続ける。10体にあたるほど広範囲のフレイムはかなり魔力を食う。魔力切れになる直前で付与を解く。ここで残り5体。


「直撃さえ避ければなんとでもなるわ!」


オークの槍は体中を掠め続けている。トドメを刺す必要はない。一体ずつ戦闘不能にしてあとで刺していけば良い。今はこの5対1の状況を乗り切る。


「残り4!」


1体が横たわり動けなくなる。


「残り3!!」


たまたま急所に当たりこいつは消えていく。


「残り2!!!」


相手が減って余裕が出るはずだが、体の傷と体力の低下でギリギリの戦闘となる。


「残り1!!!!」


なけなしの初級火魔法ファイアをぶつけて隙を作り倒した。


「ラスト!!!!!」


ここまでの戦闘により向上した槍の技術を全て注ぎ込む。体力は限界だ。力を使わず、いなして刺して受け流して刺して避けて刺して弾いて刺して。気づいたらオークは消えていた。


倒れていた3体にトドメを刺して戦闘を終える。


「結局こうなるのかよ。」


恨みがましく荒木の方を見る。


「だって中田さん追い込まれないと本気出さないじゃないですか。さっきは1体のオークに苦戦してたんですよ。あそこからレベル上がってもないのに、10体同時に倒せてるのが証拠です。」


「正確には本気を出さないじゃなくて、出せないんだ。というか今のはほぼ生存本能だろ。誰でも追い込まれたら本気出すだろ。」


「そういう人ばかりじゃないですよ。わかってないですね、中田さんは。結構追い込まれたら諦めちゃう人もいるんですよ。自分の命がかかってても。しかも、私が近くにいるんだからなんとかしてもらおうと思ったり。」


「その発想はなかった。だが、それしちゃったら自分のためにならなくないか?」


「そういう考え方だから私は中田さんをダンジョンに誘ったんですよ。この人となら、ダンジョン探索をまともに出来そうだと思って。」


「ほう、多分だがこれは褒められているのか。」


「珍しくデレパートなのにしっかりと台無しにしますね。」


「また改めて頼むわ。今はひとまず休ませてくれ。」


なかたは、めのまえがまっくらになった。









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