ダンジョンショップへ行く
ダンジョン講習が始まった。
まずは死ぬな。という事を徹底的に言われた。
あとはステータスやスキルに関してだ。
ダンジョンに入るとまず自分のステータスがわかるようになる。これをもとにどういった武器を選ぶのかを決める人も多いという。敵を倒すとレベルが上がりステータスも伸びる。
またスキルも習得することができる。自分の潜在能力によって習得できるスキルも変わってくる。これはレベルが上がったときにスキルポイントが手に入りそれを割り振る事でスキルを習得する。
魔法を習得できる人もいるが、どこまで強い魔法が覚えられるかは個人差があるようだ。
またダンジョン外でのステータスやスキルだが、ダンジョン外ではかなり下がるようだ。原因はダンジョン内では魔力が溢れているが、現実世界だと周りに魔力が無いので、自分から生成される魔力だけでステータスやスキルを維持するようになるからだそうだ。
とはいえ普通に生活している人よりはステータスは高くなる。俺のように体力をつけたくてから人も中にはいるらしい。
ただダンジョンに入った後はスポーツや格闘技の大会には出れなくなる。まだダンジョンが出来て3年だ。ルール整備などが難しいだろう。
最後に最低限の準備するもの、モンスターからの逃げ方を教わって、死んでも責任とりませんよという旨の念書を書いて講習は終わった。
戦い方は教えないが逃げ方を教えるのは賢いな。戦い方教えると皆試したくて無茶しそうだもんな。
そんな事を考えながら荒木が待つショップへと向かう。
荒木はというと鏡の前で剣を持ちながらめちゃくちゃポーズをとっていた。
「あっ、中田さん早かったですね!ちゃんと講習受けてきました?」
「ちゃんと受けたさ。命に関わるしな。というかなんだそのポーズは。」
「せっかく中田さんとダンジョンに潜るならかっこよくいたいじゃないですか。自分じゃ戦ってるとこあんまり見れないし。さらに新しい剣も見たかったので!!」
「そんな目を輝かせて言われてもな。それは買うのか?」
「今日は買いませんよ。中田さんとダンジョンに潜るのが今日の目的ですから。中田さんはどんな武器にするんですか?私は基本剣を使いますよ。やっぱり主人公と言ったら剣ですから。」
「お前は本当に自分が中心に世界が回っていると思っているよな。」
「もちろんじゃないですか、自分以外に中心なんてありませんよ。」
相変わらずいい感じに自己中心的だ。でも、そこそこ配慮もできるのでなんとなく荒木とは一緒にいても大丈夫だ。たまに本当に自己中心的なやつもいるからな。うちの上司とか上司とか。
「流石だな荒木は。あと俺は槍を使うつもりだ。いきなりモンスターと接近戦をするような勇気はないからな。遠くからチクチク戦うさ。まあ槍が使いにくい時のために剣も買うけどな。」
「初戦だとその方がいいと思いますよ。私でも近くでモンスターに斬りかかるのビビりましたもん。ましてや慎重派でビビリな中田さんなんて戦えなくなりますよ。」
ビビりは余計だと言いながら武器コーナーへ向かう。ポーションなどの細かい道具は今回荒木が用意してくれている。使ったらその分の金はあとで払う。
にしても、見ても武器の良し悪しなど全く分からん。とりあえず直感で安すぎない程度の武器を買う。一番安い槍が3万円安い剣が4万円からだがもう一段階高いものにした。今後も使うことを見越しての初期投資だ。槍は5万円剣が6万5千円だ。剣を止めるベルトが5千円だ。これで金に困るとかはないが、しがないサラリーマンにとっては結構な金額だ。
あと防具は上下1万円で初心者用というのを荒木が勧めてきたので、それを買った。ダンジョン産の素材を使ったジャージみたいなもので、魔力の多いダンジョンの中ではなかなかの防御力を発揮するようだ。今は完全に普通の黒いジャージだが。ちなみに荒木はこれの赤を着ている。ペアルックですねと言われたが周り見たらめちゃくちゃ同じジャージ着ているやつがいるから何ルックなのか分からない。
「とりあえず、これですぐにはやめれなくなったな。ダンジョン探索は。」
「いいものを買って逃げらなくするとか昔ながらの考え方ですよね中田さんは。でも、何かを変える時はそれぐらいの覚悟を持って挑むべきだと思うのでいいと思いますよ。」
「急に大人な意見を言うよな。そういえば大人だったよな荒木は。」
童顔で身長も低いので少し子供扱いをたまにしてしまうが、たまに俺よりも考え方が大人というか現実的だ。やっぱり女の方がしっかりしてたりするよなこういうのは。
「大人なんですよ。私は。こう見えてもね。」
荒木が少しムッとした表情で答える。
「そうだな。というわけで準備もできたし行くか。」
ダンジョンの入り口の方に荒木と一緒に歩き出した。