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探索2日目

今、俺と荒木はゴブリンに囲まれている。

数でいうと30体ほどだ。よく見ると剣を持ったり、槍をもったりしている個体もいる。こういう奴は一階層にはまず出てこない。もっと下の階層で出てくるモンスター達だ。

こうなったのは荒木のせいだ。

1階層を探索しながら地道にゴブリンを倒していた時に、いかにも怪しい扉が現れた。調べもせずに、荒木は扉を開けて中にあった宝箱を開いた。すると、モンスターがどこからともなく現れて瞬く間に囲まれてしまった。


「初心者ダンジョンには罠とかないんじゃなかったっけ?というか、よく調べもせず宝箱開けたらダメって講習で言ってたし、お前が昨日言ってたんだけどな!!」


「いやー、油断しましたねー。まあ、これも経験ですよ。意外と宝箱の中身も良かったですし。」


荒木は宝箱の中身のアイテムを見てにやけながら、あっけからんと言ってのける。


「私が蹴散らしてもいいんですけど、それじゃ面白くないので、せっかくだから中田さんやってみましょうか。」

「今日は軽く流すだけじゃなかったっけ?回復するためにちょっと動くとか言ってたけど、これ全力じゃないか?」

「そんな時代もありましたね。まあ、流石に全部倒せとは言いませんから限界までいってみましょうか。」


と言った荒木が目の前から消えた。そして、半分近くゴブリンが消えた。


「こんなもんで一回やってみましょう。」


荒木の目がマジだ。圧が強すぎて逆らえない。


「くそー、わかったよ。やってやるよ!」


槍を構える。集中しろ。まずは今こっちに向かってきてる剣持ってる奴からだ。

昨日のレベルアップ分のステータスポイントをHPに全振りして、迎え撃つ。死んでたまるか。あと痛いのもできたら嫌だ。昨日と違うのは、武器を持っているから当たったらかなりやばいところだ。そこが一番怖いんだよ。考えろ考えろ。まず、絶対に頭では受けてはいけない。ジャージのところだと剣だとしても切れはしない。めちゃくちゃ痛いだろうけど。昨日の戦いで槍の技術は上がってきている。あと体も思い通りに動くようになっている。最悪回復呪文がある。大丈夫昨日より成長している。俺は勝てる。言い聞かせろ。今まで色んな困難を乗り越えてきただろう。上司から怒られ、部下からは文句を言われ、人は足りないからできないと言えばお前の頑張りが足りないからだと華麗にスルーされる。そのくせ、後で計画が甘い、元の段階で人が足りないことは分かっていたはずだと言われる。幾度の不条理を乗り越えてきた。このゴブリン達を倒したら俺は強くなれる。それが分かっているだけまだマシだ。自分の成長にならない事を山のようにさせられるより何倍も良い。俺は戦う。強くなる。その為にまずここを乗り越える。


槍を突き出す。まずは1匹。これを繰り返すだけだ。ただ敵の攻撃を致命傷にならないように躱して槍を突き刺すだけだ。繰り返す繰り返す繰り返す。槍が弾かれた。なら剣を抜く。切る切る切る切る。死にそうだ。回復する。槍を回収した。刺す刺す刺す刺す。敵が変わっても、相手の武器が変わっても関係ない。刺す刺す刺す。強くなるために刺す。レベルが上がった。とにかくパワーがいる。筋力だ。力がいる。槍をもっと振り回せる力がいる。身体能力上昇小のスキルも取得する。体が軽い。槍も軽い。頭が回る。敵も減っていく。最後の一体を倒すまでもってくれ。今気分がいいんだ。力が溢れているんだ。あと1体だ。コイツはなんか強いな。動きがいい。でも、結局は突き刺すだけだ。それでいい。



最後の1体が消えていく。

溢れていた力も消えていく。体が重い。思考が拡散していく。


「お疲れ様でした。流石ですね、中田さん。やっぱり中田さんは覚悟が違います。運動神経とかは並だと思うんですけど、戦いには何より覚悟が重要だと私は思うんですよね。これポーションです。無理させすぎたのでこれは奢りで。」


俺はポーションを受け取ると一気に飲み干した。


「あー、死ぬかと思った。まだ、頭がぼーっとする。なにこれ、レベル3上がってる。1回戦闘中にステ振りしたから合計で4上がってるじゃん。なに、やっぱりあの敵、相当やばいの?」


「そうですね。普通中田さんのレベルだと挑みません。というか、ビビって戦えませんよ。いきなり刃物とか持ち出されたら普通の人間は。」


「いや、まだ仕事よりマシじゃん?終わりがあるんだぜ。エンドレスな地獄じゃないから。終わりのある地獄なら余裕で耐えられるし、強くなれるから全然よくない?」


「中田さんって、たまに凄いやばい奴ですよね。よく社会に溶け込めてますよね。というか、そんなに嫌なのによく耐えてますよね。」

「いやー、最初は期間限定の地獄だと思ってたんだけど、終わりのない地獄だって最近気づいたんだよね。」

「もっと怖くなってきました。とりあえずドロップ品が凄いですよ。最後の1匹はボスだったので、また宝箱出てます。」

「ボスとわかってて残してたの?何やっぱりお前の方が怖くね?」

「そこは中田さんへの信頼ですよ。信頼。」

「いい風にいっても流石にそれ突き抜けて怖いから。」


どうでも良くなって、宝箱を開ける。


「槍だ。しかもスゲー強そう。」


新しい武器が手に入った。





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― 新着の感想 ―
仕事の辛さを知ってる人???? 、、、。
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