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死神補佐になりました : 来世のための少女の奮闘記  作者: 水無月 都
少女は来世を願って奮闘する
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プロローグ とある少女の終わり

おうち時間に書き溜めたものをこちらに投稿してみようと決意しました。

なるべくコンスタンスに掲載していけたらいいなと思います。

暇つぶしにでも見て頂ければ幸いです。

 この世は、なんて暗くて、重くて苦しいのだろう。

 そんな事を思いながらを少女は通いなれた学校の屋上に立っていた。


 フェンスの向こう側、つまりは少しでも動けばその小柄な体が落下してしまう様な不安定な場所に、彼女はいた。

 しかし、彼女はそれでよかった。元々そう言う未来を望んでいたからだ。


 季節は夏、現在は夏休みのため、生徒も教員も数えるぐらいしか来ていないし、今彼女がいる場所は旧校舎であり、現在の時刻は午後6時であるため、人通りはまったくと言っていいほどなく、彼女にとっての邪魔者はいなかった。


 旧校舎は、生徒人数が減少したことにより使われなくなっていたが、老朽化していたわけではなく、稀に授業で使う事があるため、学校内にいれば自由に出入りできた。


「つまらない人生だったなぁ」


 彼女はポツリと呟き、そっと瞳を閉じる。

 

 いじめが始まったのは、この高校に入学してからだった様な気がする。それまでは特に楽しくもないが平穏だった。

 

 いじめられている事を親に相談すると父は「自分の時代はもっと暴力的な奴がいたし、返り討ちにしてやった」と自慢げに話し、母にも「うじうじとしているのがダメなのよ」と言われた。

 

 先生は面倒くさそうに私の話を聞き、もっとクラスに溶け込む努力をしろと言っただけで、加害者に注意はしなかった。


 親や先生に相談していたことがバレて、いじめは一層と過激になった。暴力をふるうと暴力事件になるとわかってか、物を隠したり、机をゴミまみれにしたりと怪我が残らない精神的なものが多かった。


 クラスメイトも見て見ぬふりで、むしろ自分がいじめられている姿を見て笑っている人間もいる。


 誰も私を助けてくれない、誰も真剣に話を聞いてくれない。誰も私を理解してくれない。


 つらい、つらい、つらい、つらい、つらい。


 どうして私が頑張らなければいけないのか。こんな人生なら、もう終わりにしたい。

 

 若葉が香る、夏の風が屋上に佇む少女の頬を撫で、鼻孔をくすぐる。覚悟を決めた少女にはとても爽やかなものに感じた。

 少女は諦めた様に瞳を開いた。


 もういい、もう何も考えなくてもいいんだ。

 こんな世界、いらない。人生をリセットしよう。

 今度生まれ変われるのなら、希望にあふれた人生を送りたい。


 両親にも、先生にも、友人にも恵まれて、ささやかな幸せの中で笑って生きて行きたい。


 そう思いながら、少女は前へと踏み出した。


 





 


 



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