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~お蘭のハーフフィクション&ノンフィクション集~

~雨に混じる血の大河~rainydayより

  刑期を終えて、刑務所から出て来たあの人は、自分の目の前で襲われた……八人の刺客に。


 その日は、朝から雨だった。夏特有の土砂降りの雨に掻き消される、五発の銃声。


 後は、銃を発砲した男も含む、八人がかりでメッタ刺しにされ、降り続いた雨のせいで出来た小川のような水溜まりが、彼の傷口から流れる血と相まって真っ赤に染まった。


「あんたぁ!」


 血溜まりと化した水溜まりに、彼の巨体が揺らぎ倒れた時、彼の女はそう叫び、己の着物が、雨に濡れるのも、彼の血に染まるのも気にする事無く、血溜まりに彼を抱きしめて、ただひたすらに号泣しつづけていた。


 当時の自分にはただ、彼の死にゆく姿を見つづける事しかできなかった。


 しかし、彼の死が確定した瞬間、自分の中で何かがプツリと音をたて切れた。やがてそれは、抑えようの無い復讐心へと変わったのだが、それは、彼の女によって止められた。


 今も記憶に残って焼き付いて、決して離れる事の無い、自分の十八歳の夏の追憶。

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― 新着の感想 ―
[一言]  お蘭様の心に、魂に、あまりにも深く刻み込まれた雨の記憶。  鮮やか過ぎるほど、読む側に鮮烈に伝わって来ます。  お蘭様の中で何度その光景は繰り返されただろう、そう思うと何と言葉を掛けていい…
[良い点] 悲しくもドラマチックな展開ですね(´;ω;`) 実体験というのが信じられないくらいに壮絶です……。 この女性が何を想い、どうして一度復讐を心に決めたお蘭様を止めたのか。 それを考えると、…
2021/09/26 19:53 退会済み
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