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9話 あの娘、実は昼ドラ顔負けの出生の秘密があるのよ






「いいか、今度はお前に“クーデターを起こした”皇帝の弟の身分がどれほど良いのか教えておいてやろう。まず第一にもう下手なことはできぬ様に他の権力者から隔離されるお陰で貴族どもとおさらばできる。妙な利権も没収されるし、曰く付きの皇帝の弟に近づくのは皇帝に睨まれる理由に他ならずけったいなものも接触してこない。国の恥故に公務さえさせないだろうな。

 逆を返せば責任も何もない。監視はつくだろうが城から離れてしまえば我の勝ちだ。隠していた魔法を披露しようと寧ろ権威争いの勃発を恐れて事実は隠匿される。勿論、我が恐ろしくなって牙を向く様ならこの国ごと潰す。お前同様俺は自由以外失う物はない。農地を不毛の大地に変えて貴金属をばら撒き、他国には遥かに性能の良い武器をばら撒く。数年経たず帝国など滅ぼしてやる」


 魔法があるから、最悪炭鉱送りにされそうなら大暴れすればどうにかなりそうな気もしなくもないのだ。

 主人公とアリス嬢だけ保護すりゃいい。帝国は別に魔王討伐のキーでもないのだ。武器をばら撒いたツテで他国をバックにつけてやってもい。俺が武器を提供してもいいだろう。どんな鈍だって恐ろしい斬れ味と丈夫さの剣にできるのだ。時間と魔力させあればストーリークリア後に手に入るような聖剣だろうが魔剣だろうが、はたまた神剣まで作ってやれる。

 1つの戦場を左右する炎や嵐の魔法より、現実の大地魔法は経済的な面でも効果を及ぼすことから国1つ滅ぼせる潜在能力をもつ。稀代の英雄も飲まず食わずではそこらの兵にいずれ劣るのだ。


 肥沃な土地を持つ帝国を大地属性魔法で不毛の地に変えてしまえば一気にその力は消えるだろう。そしてその逆もできるのが大地属性なのである。


 その点、自分の分だけなら俺は自給自足できそうだし奴隷でも買って山間部に雲隠れしてしまえば自由は手に入り余計なことをしそうな帝国も地図から消えていくだろう。


 聖人君子など糞食らえだ。

 こんな目にあって何故他人の幸せまで一々気にかけなきゃならんのだ。


「デブーダ様…………貴方は………………いえ、なんでもありません。随分と枯れているのですね。男ならば頂点を目指すものではないですか?格好悪いです」


「生憎、枯れてるとなんと言われようとどうでもでもいいのだ。取り繕う物などとうにないわ。貴様こそ、ズケズケと随分な物言い様だな」


「デブーダ様に見せる可憐さと気遣いなどとうに捨ててしまいました。それなのに…………随分と気遣ってくださる様ですね。宝石が作れることもひけらかす必要などなかったのでは?自分から手の内をわざわざみせて私を有利にしてくださっているのでしょう?」


可愛くないやつめ。わかってもそれを言うんじゃない。


「……いい女は男の気遣いは黙って受け入れるものだ」


「お生憎様、デブーダ様の前でいい女としている気は毛頭御座いません。気に入らなくば今すぐ殺していただいても」


 クイっと首を傾けて白い首筋を見せつけるリリス。そこには肌が泡立つ様な恐怖と美しさがあった。勝気に嗤うリリスの両眼に灯る怨嗟の業火が俺を見つめていた。


「お前…………籠絡するとか大見得切ってやる気はあるのか?」


「デブーダ様こそやる気あるのですか?どうしてもその醜い容姿には嫌悪感と憎悪が募ってしまって籠絡したくとも身体がうまく動かないのです。口はよく動くのですが」


 細っそりとした白い人差し指で弧を描く艶やかな唇をなぞるリリス。

 17歳とは思えない色気のある艶めかしい動きだが、妙な覇気が溢れ出ていて背筋に氷柱を突き刺されたようにゾッとする。やっぱりどこまでもホラー路線。


 てかコイツ醜いって言い切った。言い切ったぞ!忘れてるみたいだけど俺、この国の第三皇子だぞ!


「これでも確実に痩せているのだがな。メイドもズボンを履かせるときに明らかにウェストの部分を確認していた」


「そのだらしのないお腹で動けばズボンもいずれ壊れましょう。こんなタプタプの、タプタプ…………」


 不敬という言葉は彼女の辞書には無いのだろう。俺のポヨンポヨンのお腹を手で押すリリス。ポヨンポヨン、ポヨンポヨンと…………なんだかリリスの目が真剣で怖い。


「デブーダ様、この脂肪だけ切り取って頂けますか?なかなか面白い感触が……」


「怖いもの無しか貴様はァ!!?」


「大丈夫ですよ、何かあっても私の魔法で治療させていただきます。もしかすると大幅減量できるかもしれません。うっかり命まで死神に切り取られるかもしれないですが」


 ニッコリと嗤うリリス。猟奇的すぎて怖いけど同じ発想は俺もしたからなんも言えねえ!でも俺はそういう手術があることを知っている上での発想なわけで、コイツの場合完全にナチュラル思考なんだよなぁ。


「我は貴様の性格が全く掴めん。それが本性か?」


「そのお言葉、そっくりそのままお返しします。帝位を放棄する為だけに巻き込まれ、ただ手の平の上で道化の様に踊り続け擦り切れ果てた傀儡に“本性”などというものは御座いません。傀儡を動かすは醜き男への憎悪のみですから、“本物”や“本当”なども私でさえ分かりません。唯一本当と呼べる事があるとすれば、貴方が苦しむ顔を1秒でも長く観たいと願うこの心のみです」



 幼少期からこの女性はずっと呪い続けていたのかもしれない。彼女にとって不幸そのものであるデブーダを、デブーダの婚約者だからと勝手に蔑んでくる周囲を………デブーダの所為で正当な評価が得られない自分自身を。


 意思と感情がストレスに対し鈍化すべく徐々に削ぎ落とされ、いつしかなにかを願うことさえしなくなった。抑圧による抑圧、感情の鈍化…………彼女の中にレゾンデートルはなく、残ったアイデンティティはデブーダに対する憎しみだけだったのかもしれない。

 彼女が彼女であれる最後の砦は、皮肉な事にデブーダへの誰よりも強い憎悪なのだ。


 “彼女らしい”などと言うものはもしかすると彼女自身の中にももう存在していないのかもしれない。


 この場で俺を攻撃する事でしか自分の感情の在り処がわからない、そのように見える。彼女の横暴は、普段であれば明らかに不敬罪だ。別に、人のちょっとしたミスでさえビービー喚き立てる“本来のデブーダ“で無くとも、たとえその立場が公爵令嬢でも許されない無礼だ。だがそれでも俺が本気で彼女を捨てきれないのは、本来のデブーダのしてきた行いを償いたい―――と言うのとは少しズレている。


 正直なところ、身に覚えない罪の請求を迫られてる様にしか感じないのだ。

知人の犯した罪の償いをお前がしろと言われたところで、はいそうですか、とは誰だって言えないだろう。


 ただ……彼女が小憎たらしい言動をしようと、人間的に壊れていようと、彼女はデブーダのみしか攻撃する気がないところに俺は素直に尊敬を覚えたのだ。


 俺がもしリリスだったら、たとえ悪気がなかったにせよデブーダの婚約者にした両親が憎いと思うし、蔑んだ奴も絶対に許さない。手を差し伸べようとしない周囲にだってそれが身勝手な物でも憎らしさを覚えてしまうかもしれない。

 だが彼女はそれをしていない。どうしようもない事なのだと、全て自分のうちに諦観という蓋をして封じ込めたのだ。


 本来の彼女は理知的で気高い人柄…………俺が男女間の意味ではなく、人格的に惚れ込む人になる可能性を秘めていた、そんな気がする。


 歪んで捻れて押し潰れて、それでも逃避はしなかった、今迄は安易に死を選択しなかった強さを持っている。そんな彼女に情が湧いたのかと言われれば違うと言える。これはただの好奇心だ。偽善ですらない。

 ゲームでは知り得なかった可能性を、一人のLDOファンとして見てみたい。ただそれだけである。


 恐らく今の彼女は非常に不安定だ。

 自分が心底憎み蔑みその低脳さをあげつらっていた、どんなに自分が惨めでも自分以上に惨めなデブーダが、自分の認識と全く異なる存在だった。その所為で彼女の全てを保っていた何かがバラバラに砕けてしまったのだ。

 そして今迄は積極的に求めていなかった死を安易に受け入れようとし、“デブーダ”に対し過剰に挑発を繰り返し、喜悦の笑顔でさえまともとは言えない。


 振り上げた拳をどこに振り下ろしたらいいかわからなくなった様に、今迄蓋をしていた感情の行先を見失ってしまった様に、今の彼女は激しく混乱し迷っているのだろう。


 もし彼女が本気で俺を害する事を望んでいるなら、今日の昼のうちに俺の考えを全部周りに言いふらせば良かったのだ。そうなれば俺の計画は完全に崩壊し、俺が忌避していた一生城に縛り付けられるという事態を引き起こせた可能性は低くない。幾ら混乱があろうとそこまでわからぬ彼女ではあるまい。


 だが彼女はそんなことをしなかった。それは昨晩彼女に仕込んだ極々小さなゴーレムにより全て把握している。俺だって彼女が裏切る可能性は十分考慮していた。故に幻影を壊して鎖に捉えた―――――彼女が最も動転していた瞬間に―――――耳の穴より半日かけて作り上げたゴーレムを侵入させた。


 普通のゴーレムは術師とパスがあるために操作や座標の把握、視覚の共有さえできるが、今回はその機能のほぼ全てをカット。彼女が発する特定の単語や言動に反応して俺に通知をする機能を組み込んだ。

 罠感知の応用に近い技だ。そしてここには最近学び始めた錬金術の技能も咬んでいる。特定の単語に反応して、などという命令は魔法ではどうしようもなかった。それを解決したのが錬金術の中の自動人形の音声認識と呼ばれる項にあった陣だ。因みに著者は例のダヴィンティア。コイツ本当に天才だと思う。


閑話休題。


 錬金術の話を始めると止まらなくなりそうなのでここで辞めておくが、兎に角彼女は余計な真似は一切しようとしなかった、故に彼女は生きて俺の目の前にいる。通知が来て俺が魔法で確認した後、もしリリスが黒であるならゴーレムに自爆を命じる算段だった。


 幾ら小さいからといって鼓膜を貫通し脳の深くまで進んだ後で小爆発など起きてしまえば即死だ。ただこれも万能ではなく、完全に俺の支配下の自室だからこそ耳の穴にひっそりとゴーレムを仕込むようなふざけた芸当ができた。


 今の俺の自室は、特に無防備になりやすいベッドには守る機能だけでなく俺の能力を最大級まで引き上げる機能が付いている。そうでなければまず極々小さなゴーレムの精密操作など不可能だ。そんなことがどこでもできてしまったら俺は最強の暗殺者になるだろうが、自室に来てしかも半径2m内にいる相手にしか使えない、それも俺がベッドの上で相手が俺の妙な魔力の動きも気づけないほど動揺している、且つ他者の干渉がない2人きりの状況……限定的すぎるだろう。


 長々と語ったが、要は彼女の行動には些か矛盾があるのだ。

 だがその矛盾は彼女もどこかで感じているはず。故に言動がさっきから滅茶苦茶なのかもしれない。恐らく彼女自身も今の自分が真に願っていることがわからなくなっている。


 彼女の瞳の憎悪の炎は、少々綺麗過ぎる。

 俺だって本当の本気で憎悪に取り憑かれた人間と言うものは見た経験などない。それでも、やはり彼女の瞳は憎悪の虜になったにしては随分まっすぐ此方を見つめている。

 過去の憎悪をぶつけるべき“デブーダの幻影”に攻撃しようとしているのでは無く、今の“俺”をちゃんと見た上で攻撃している。


「そういえば……全く話が変わるのですが、一昨日の夜、とあるメイドを連れ込んだ様ですね。こちらにも風の噂で聞き及んでおります。負担が減るかと昨日は思っていただけなのですが、今のデブーダ様を鑑みるに……そのメイドで何か企んでいらっしゃるのですか?」


 デブーダ・ペンドラゴンという人物は、ぶっちゃけ性欲が強い。デブーダを豚……というのもオークの蔑称という隠語の側面を持っているぐらいにはだ。


 だが奴は、俺にとっては不幸中の幸いな事に、メイドなどにやたらめったら手を出していないのだ。ま、その理由はなかなか屑だ。

 第一にデブーダの好みの顔がリリスの様な『儚げな美少女』……そしてデブーダは嗜虐趣味があるが、自分より身分が低い女がビービー喚くのが大嫌いなのだ。なんと言うか、好きな様に声を発していいのは自分の母ぐらいの位ではないといけない、と一種刷り込みめいた馬鹿げた価値観がある。

 それに女の顔が涙や鼻水でぐじゃぐじゃというのも嫌いだ。


 普通のメイドであれば、クールなクレアラでも絶望感に浸る様に、デブーダに関わること自体嫌悪してしまうことだ。そこに加えてデブーダが嗜虐趣味を満たそうとすればそのメイドがどうなってしまうか、考えなくてもわかる。


 その点、リリスは静かでピーピー泣いたり叫ばない。

リリスは彼にとって非常に都合の良いダッチワ◯フみたいなもんで、おまけに無駄にプライドが高いもんだからメイドなどと下賎な者と肌を合わせるなどあり得ない、穢らわしい!………とオメエいっぺん締めてやろうか、と思いたくなるふざけた思考により手は出していない。


 ま、それが幻影魔法と水魔法の複合による本当にただのダッチ◯イフだったのは些か哀れだが、自業自得でもある。


「……うむ、お前の考えはあっているが、少し予定外なところもある」


「と、言いますと」


「お前はよくわかってるだろうが……表のデブーダは横暴な屑豚だ。人のちょっとしたミスも異常にあげつらう。故にお付きのメイドは徐々に洗練されていき、非常に有能で優れた者達ばかりだ。余程のことが無い限り少しの粗相もしない。だが……我の不注意もあったが、思わずこちらの顔で礼を言ってしまってな、そのメイドは見逃せぬミスをした。別に我としては本当は笑って流してやれる……お前に比べれば、よっっぽど笑顔で流してやれるんだが、表のデブーダではそうも出来ぬ」


「ですから、夜伽を?」


「してはおらぬ。無論したように誤魔化しはしたが、手は出しておらんよ。奴は協力者として引き込んだ。ああ、その件に関わってが、明日は来るな。奴を呼ぶ故にな。また新しく指示を与えるのだ」


「それはどの様な指示ですか?」




「それは…………待て、何故俺が逐一お前に全部語らねばならん」


「口からでまかせで嫌がらせから逃避されても困りますので」


 嫌がらせって…………隠そうよ、もうちょっと隠そう?銀の魂だって色々アウトな事をやってくれるけど(それがいいんだが)もう少しぼかすぞ?


「違うわ馬鹿者め。一々全て語るのは面倒だと思っただけだ」


「そうですか、では私も同伴してもよろしいですか?共犯者の様な物ですし、居るだけならばお手を煩わせることはないかと」


「それこそ宜しくないな。不必要に自らの価値を下げるではない」


 俺がぼかして伝えると、リリスは一瞬思案顔になり、すぐに察した様な表情になる(見た目は無表情だけど)。


「そうですね、私達がこの場に参上する表向きの意味から考えればその御言葉にもなりましょう。ですが、私にとっては今更ですよ。貴方に守るべき尊厳などほぼ壊されました。…………嗚呼、本音は私ではなく、そのメイドを守る為ですか?」


 察しがいい上にストレートに言われたせいで一瞬言い淀んでしまった。だがそれは認めているに等しく俺は直ぐに言い訳を諦めた。やっぱり此奴使えるよな、17歳で色々と落ち着かない近況でこれだけキッチリ頭を働かせて直ぐにこちらの真意を見抜くのだから。

 反面、察しが良すぎるあまり周りの対応の真意も的確に見抜いてしまっていたのだろう。


「お前が聞けば激怒するのは理解した上で言わせて貰えば、お前はフォローまでしっかり考えた上で巻き込んだ。だが、必要な駒としてクレアラ……そのメイドを罰則の引き換えにて渡りに船で引き込んだが、今の彼女は少し綱渡りに近い真似をさせてしまっている。我に穢されたからこそ、お前が受けた様に様に蔑みも混じってはいるが概ね悲劇の人なのだ。だがそこにお前を含めて同衾した事実があると話がどこへ転がって行くかわからんのだよ」


「確かに、身分差の問題はありますか」


「うむ、それと奴を引き込んだのもただ都合が良かったからだけではないのだ」


リリスはそれを聞き少々の思案、なにか含みのある目をしつつも素直に問いかけてきた。


「その理由を教えてくださるのですか?」


「少しは信用して貰いたい気持ちはあるのだ。だが聞いても些か信じがたく感じるだろうな。…………我が奴に目を付けたのは、奴の血筋に関わるのだ。そのクレアラという娘は、4大公爵家No.1ランスロットル家の隠し子なのだ」


ずっと話しっぱなしだった俺たちの間に、沈黙が漸くその存在感を主張する。


「それは…………真ですか?ですが、何故隠し子なのですか?そこがよくわかりません。公爵閣下程のお力であれば例え庶民で有ろうが孕ませても強引に妾に押し込めるはずです」


「うむ、さしものお前も驚く、というよりクレアラ本人でさえこの事実は知らぬが…………」


 サブストーリーでもかなり厳しい条件を満たさないと解放されない次のサブストーリーを進めていった先の事実で、これには俺もビックリしたものだ。


「彼奴の立ち位置はもっと複雑だ。あれはランスロットル公爵の……隠し子とされている様だが…………実は姪なのだ」


 暫くの沈黙の後、リリスの目からスンっと光が消えた。

 もしかしてこの病み病み無表情モードは頭がオーバーフローを起こしても発動するのか?


「つまりは…………」


「ランスロットル公爵の姉君、現陛下の元第一皇太子妃、グィネヴィアム・ランスロットルの不義の子がクレアラなのだ」


「……お待ちください。不義の子、なのですか?」


「うむ、それも不義の相手は護衛の騎士だった。グィネヴィアム様が亡くなる一年前、重篤な病にかかり療養の為にランスロットル領に戻ったが、実の所妊娠を誤魔化す為だ。グィネヴィアム様は陛下より一回り年が離れていたにも関わらず陛下が御生れになった時に婚約者となったが、その騎士と既に想いを交わしていた様なのだ。ランスロットル家も薄々気づいていたのかもしれん。ランスロットル家は他家に露見する前に不義の現場を差し押さえ騎士はその場で殺された。だがグィネヴィアム様は子供は絶対に産むと言い張り、先代ランスロットル公爵は悩んだ末に産ませることにしたのだ。結局、高齢の出産によりグィネヴィアム様は崩御なさったがな。

 一方でグィネヴィアムの弟君、つまり現ランスロットル公爵は姉の悲恋を昔から知っていたのだ。故に先代ランスロットル公爵を押し止めて処分は回避させ、自分の隠し子として扱う様になった。つまりは、クレアラはランスロットル家にとっての弱点なのだ。それを第二皇后に目をつけられ我のメイドにされたのは完全に偶然ではあるが、ランスロットル公爵も血涙を流しただろうな。

要するにだ、第一皇子とクレアラは異父兄弟なのだ」


 このサブストーリーは全クリ後のおまけサブストーリーなのだがフラグ建てが超高難度で、クリアは攻略サイトを見なかったが、全クリ後のサブストーリー称号は流石に攻略サイトを見ないとらちがあかなかった。


 と言ってもこの真実は直接誰かから語られるのではなく、複数の日誌や幾人かがポロッと漏らした情報などを繋ぎ合わせていくとよく考えれば自ずと判明する真実だ。


 称号名もなかなかちゃんとヒントなっているし、開発者側もインタビューでその考察は合っていると解答したのだ。


 ま、LDOは西洋の中世〜近世をモデルに据えているので、高齢出産と言ってもこちらの世界の話……でも無いのがこの話の中々驚くところだ。


 この世界、魔法やらなんちゃらがあるお陰で(若すぎると魔素が安定せず産まれる子が魔力を上手く使えなくなるとされている)あまりに若いうちの出産は推奨されていない。それは成人年齢が18才になっていることからも察することができる。



 LDOでの平均出産年齢は大体16〜だった筈だ。

 公爵とか皇族でも無い限り、男性の初婚年齢平均は25ぐらい、女性は18ぐらい。

 現ランスロットル公爵の年齢は45で、クレアラは公式でも明言されてなかったがたしか20前後。いや、グイネヴィアムの死亡時期から逆算するだけだから20才であってるはず。

 因みに皇帝は46才。グィネヴィアムは皇帝と一回り以上年が離れていた、つまり今生きていればグイネヴィアムは大体60前後だ。


60-20=40


 クレアラの出産はグィネヴィアムが推定40才の時におこなわれた。グィネヴィアムも出産すると決めた時点で覚悟は決まっていたのだろう。たとえ自らの命を危険にさらしてでも、愛する男との愛の結晶をこの世に残したかったのだろう。

 そこでクレアラの幸せを考えなかったのはトンチンカンだが、王宮仕えのメイドに身分もあやふやなクレアラが成れてる時点で相当公爵は手を回した筈だ。メイドだろうが、庶民として生きるよりは余程待遇は良い。

 彼等は他国の王族も訪れる王宮に勤めているのだ。はしたない格好は許されない。服も食料も支給されるし、寮もあり、湯浴みも許される。


 実際の西洋……ルイ14世あたりの貴族なんて調べてみると“酷い有り様”だが、こちらの世界は魔法がある分、色々なことのハードルが低い。水魔法の使い手がいれば浴場の管理も難しく無いのだ。

 むしろ貴族などに不快な想いをさせないように最大限身を清め清潔にするのは彼女らにとっては義務だ。


 クレアラにとってはやり切れない気分だろうが、十分恵まれている……と言うか本当の血筋が漏れると皇家の混乱を防ぐために暗部が動いてしまう可能性もある。ランスロットルが秘密裏に処分せずひっそりと育て上げたことのほうが驚きに値する。


なんだかなぁ。もしかすると、クレアラが生かされたのはなにか深い理由があるのだろうか?

これもまた、ゲームとの差異があるかもしれないな。地雷だらけでまったくもって気が休まらん。




実績;韓流ドラマかよお前


クレアラの本当の出生が判明したぞ!

韓流ドラマってやたらドロドロしてない?身内で争いまくるじゃん?あれなんなの?あと主要人物のうちの一人の出生に必ずといっていいほど秘密があるのはお決まりですか?

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[一言] そんな爆弾のような情報を実質ノーガードで放つな!? リリスじゃなくても目が死ぬだろ!!! 説得とは一体…… 気になったので一気に読みました。 悪役転生物大好きなので応援してます!
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