19話 キャバ嬢Lv9999
昨日も三話分更新しました。
最終的に一日で2300PVいきました。皆さまありがとうございます。
昨日は城に戻ってきてすぐ奴隷は他の者に丸投げ。泥のように眠り久しぶりに爽快な目ざめを得た!よく考えたらリリスが来るまでに寝てしまえばいいのだ。アイツの睡眠妨害に対する手が日に日に込んで来ていたが
(①純粋な色仕掛け➁俺が食いつくことを理解したうえで錬金術に関する本を持ち込み、重要な部分は無視する形で朗読③幻影魔法でドッキリを仕掛ける④事故を装いベッドを濡らす⑤目を覚まさせる効能のあるハーブをたっぷり用いた香水をつけてくる⑥やたら先が気になる様な話を急にし始める⑦宝飾品のデザインに大量に注文を付け続ける⑧俺が興味を引くとわかったうえで面白そうな魔道具を持ち込む⑨マッサージと称して頼んでもないのに激痛マッサージをしてくる⑩アザゼルにただただ無言で俺を見つめさせ続ける⑪俺の贅肉を切り取るための具体的な狂気のプランを勝手にプレゼンし始める(幻影魔法をプロジェクターのように使いやたら上手だったのが釈然としなかった)――――以上ここ2週間のリリスの輝かしい睡眠妨害の記録)先に寝ていれば当然メイドたちもリリスを俺の部屋に入れることはしないのだ。
なんだかリリスが生きる希望を変な方向に見出してる気がするのだが、生きる気力があるように見えるのはいい傾向なのだろう、多分。LDOの1ファンとしては真面目にこれでよかったのかと自問自答しそうになるが、ゲームとは違いやり直しがきかないのでもう思考を放棄している。
うん、致命的にどこかで間違ったのはよくわかってるんだ。わかってるけどどうしようもないんだよこれが。
そのおかげでいよいよクレアラが俺の精神的オアシス化しつつあるのだが、このまま依存しそうなのが割と怖い。彼女もなにかを致命的に間違えたらしく(たぶん言いくるめ(98)が01クリティカルを叩き出してしまった模様)包容力の数値がイかれ始めているのだ。
「デブーダ様のためにマッサージを学んで参りました」とか「錬金術についてこの様な書籍があるそうですよ」とか「デブーダ様のお言葉を参考にした結果、魔法が上達しました。物体の冷却はお任せください」とか、まあ兎に角献身的なのだ。実際に効果はあったとはいえリリスの激痛マッサージとは大違いの優しいマッサージで、体がかなり楽になったしな。
何を話しても楽しそうに聞いてるし、逆にクレアラが話してくれることも非常に面白い。言い方は悪いが、たぶんキャバ嬢がLv20で賢者になったけれどそのままキャバ嬢極めてLv9999のカンストを達成した最強キャバ嬢みたいになってるのだ。もうパーフェクトメイドというよりまさしくキャバ嬢っぽいのだ。きっとレアスキル《太鼓持ち》の熟練度がカンストしてるのだろう。
「さすおに」ならぬ「さすデブ」だよ。………ん?こう表現すると悪口みたいだな。
一方でアザゼルはとにかく読めない。基本命令しない限り動かないのだ。その表情の変わらなさと相まってよくできたアンドロイドを相手にしてる気分になる。そしていざ喋れば妙なことを言い出すのだ。今や俺がアザゼルに抱いていたクールな印象は欠片もなく、完全に不思議ちゃん枠だった。それでもリリス曰く、アザゼルは俺に対して“比較的”にではあるが好意的にみえるらしい。
いや微塵もそんな感じしないぞ?と思わず素で返してしまったが、話しかけてちゃんと反応するだけけっこう凄いらしい。どういうことなの?と聞けば雇い主であるトリスタン家の一員にも余裕でシカトをかます奴なのでトリスタン家の中でもアンタッチャブル扱いらしい。もう一度聞くけどどういうことなの?君どういう経緯でトリスタン家に仕えることになったのか余計に分からなくなってきたよ?
君だけLDOの時より更に謎が増えるっておかしいよ、アザゼル君。
閑話休題。
今のところ公的に俺に手を出されていることになってる3人は、リリス、リリス、クレアラのローテーションで夜に俺の部屋を訪れており、アザゼルに関してはリリスにたまに同伴するくらいだ。不思議ちゃん度合いは交流を重ねるごとに増しているように思うが、彼女が齎す情報は利用価値が高いので重宝している。
はてさて、昨日後回しにした奴隷たちだが此方の手筈では新参メイドということになっている。なのでメイド用の居住スペースに密かに押し込められてるはずだ。奴隷紋は背中に刻まれているのでそう簡単にバレることはないだろうが、他のメイドから接触されても面倒だしな。
完全に俺の派閥についてるメイドだけを動かし受け入れの用意を整えさせたが、緊急の時は即刻クレアラに起こしに来るよう伝えてあったのでぐっすり眠れたということは特に問題は無かったのだろう。
俺が起きると今日も今日とて死人の様な顔つきのクレアラが寄ってきて感情のこもらない声であいさつをしてくる。主演女優賞を送りたくなるあっぱれな演技力だ。俺と二人きりの時と全然印象が違う。
「デブーダ様、彼女たちに関しては特に問題はありません」
そして起こそうと手を貸そうとするのを装って顔を近づけて囁き声でさりげなく報告もしてくれるそつのなさもポイントがとても高い。やはり本質はパーフェクトメイドのようだ。
「そういえば、昨日新顔が増えたようだな。朝食後、順に連れてまいれ」
「畏まりました」
これも事前に打合せ済み。問題がなければ面談としゃれこむのは元からクレアラにも伝えてある。事情を知らないメイドたちは「なんの話?」と微かに目配せしあったりしているが、問題は事情を知らない他派閥のモグリのメイドのはずなのに動揺が薄いメイド達だ。単純に俺に目を付けられないように平静を装っているのか、それとも別の理由があるのか。少なくとも顔は覚えたからしっかり調べておこう。
この手の細かい見落としが後でDA★I★SA★NN★JI!の引き金になりかねないしな。情報が洩れてるなら早期に突き止めることで逆に利用もできるという寸法だ。此方としても元よりこれだけ大きく動いて完全にそれを悟られないなどと思ってはない。これは不穏分子や情報漏洩のルートのあぶり出しも兼ねているのだからな。
俺の座右の銘は「ただでは転ばない」だ。一石で三鳥も四鳥だって仕留めて見せる。メイド全員分に張り付けておける盗聴機能付き超小型ゴーレムを用意しておいて正解だったな。すまし顔のメイド達、すまないが君たちの実態はしっかり暴かせてもらうぜ。
さて今日も栄養効率のみに重点が置かれ、シェフの頭がだんだんイかれてきたのか盛りつけ方が結構ユニークになったりしている朝食を美味しくいただいた。自炊経験者はわかるだろうが、タダで十分な量、一切の労力を支払わずに得られる食事とはそれだけでもう気分が美味しいのだ。ユニークな盛り付けの精進料理だろうが十分にうまい。シェフの工夫には頭が下がる。
それと全くの余談だが、やはり魔力の消費とカロリーの消費は少なからず関係があるようだ。俺の食べない夜のデザート群はリリスやアザゼル、クレアラに消費してもらってるがそんな夜にケーキやら何やらを食べていればさすがに太る。なので寝る前に魔力が尽きる限界まで魔法を使ってもらうように頼んだのだが、結果として更に痩せたという結果が出た。
あくまで自己申告だが、確かに彼女たちの体型が変わってる様子はなかった。体重計などの開発が急がれるが、今度は被検体、げふんげふん、従順な協力者が6人も増えることだし研究は進むだろう。
ここ2週間宝飾品製作ばかりでいい加減飽き飽きしていたところだ。手駒が増えて研究できる分野も大幅に増えたことだしこれからを想像するだけでココロぴょんぴょんしそうだ。
ただ、強制的に従わせては成果もあがらないだろう。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
一理あるが、個人的にはこれは違うと考えている。そんな回りくどいことしなくとも、彼女らが自ずから働きたくなる魅力的な対価を用意して手っ取り早く人心掌握すればいいのである。6人がそれぞれどんな考えを持っているかどうか知らないが、俺は彼女らにはしっかりと対価を与えるつもりだ。願わくば現実的で実現可能な範囲の願いだが、ここは言いくるめ(98)か説得(50)の出番だ。だが俺もクレアラとリリスを通して賢くなった。ファンブルは当然ながらダメだがクリティカルが決まりすぎるとそれはそれで扱いが難しくなることを。願わくは穏便に、ビジネスライクな関係に落ち着きたい!
マジで頼むぞダイスの女神様!
実績:2週間の輝かしき記録
輝かしいじゃなくて馬鹿馬鹿しいが正解
実績:キャバ嬢Lv9999
それはもうキャバ嬢の領域に在らず。一つ道を違えば『実績:最強のダメンズ育生機』を取得しかねない。クレアラさん恐ろしい子!
裏実績:不思議さは天井知らず、だって堕天使だから
数々の謎は解決しないまま更に謎が増えるファニーな、失礼、ミステリアスな女性アザゼル
裏実績:さすデブ
『さすってあげようか?豚さんのお腹を』の略。