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16話 フラグスルー

昨日は三話分更新してます。

詫び投稿は一話だけとはいってません。

ストックが(´・ω・`)じゅあわくるくる


 リリスとの舌戦から早二週間が過ぎた。最終的にはアザゼルからの協力も得られることになり、アザゼルの活躍により様々な情報を得られるようになった。特にありがたかったのは間諜に関する情報だな。俺が万全を期した結界も少々粗があったらしくアザゼルはそれを指摘してくれた。おかげで俺の部屋はさらに防御力が上昇している。


 そしてここ二週間でリリスと色々と考えてみたが、ダンタリアンに関しては俺との接触は見送ることになった。


 理由としては細かくいうと色々あるのだが、大きい理由としては2つ。

 まず一つ目の理由として、「ダンタリアンに俺が目を付けた理由」が思い浮かばなかったこと。クレアラはデブーダに対して致命的なミスをしてしまった。アザゼルはリリスの策謀とはいえ、アザゼル自体がもともと謎めいた、しかも非常に見目麗しいエルフのメイドとして元より有名。リリスに常に付き従っていただけあって“デブーダ”もアザゼルの存在は知っていた。

 なので、「クレアラに手を出したことで箍が外れ、リリスの近くに常にいた非常に見目麗しいアザゼルにも手を出した」という理由付けが可能となる。実際にクレアラにはそのように情報を流すよう指示しており、メイドたちはそれを信じ余計に俺を恐れている。


 しかしダンタリアンは違う。彼女の真骨頂はどのコミュニティにも紛れ込めるレベルの全く印象に残らない平凡さにしてその異常な影の薄さであり、「デブーダがなぜダンタリアンに手をだしたのか?」という理由付けが俺もリリスも思いつかなかった。それに、やはり俺が手を出すことでダンタリアンの“目立たない”という利点が消えてしまうのでは?という懸念がやはり俺の中では大きかった。


 加えて、現段階で俺はリリスと手を組んでいることはどの派閥にもまだバレたくないと考えている。


 ローランたちは疑心暗鬼に陥っているだろうが、LDOでもローラン達はアザゼルの正体を全く知らなかったのでおそらく俺がアザゼルにも手を出した、と知らされてもまさかその理由が間諜要員だとは思うまいし、聞かれたところでトリスタンス家も切り札に関しては易々と教えないないだろう。

  そしてこれに関連するのだが、トリスタンス家の動きを警戒している、というのも理由の一つだ。事実を知っている者、つまりトリスタンス公爵からすると俺がアザゼルに手を出したことは予想外ではあるだろうが、クレアラに手を出したことを知ればアザゼルの見目麗しさ故に詳しく探ろうとするほど疑問は覚えないだろう。


 しかしここにダンタリアンが加わると話が大きく変わる。トリスタンス家の影の切り札、ジョーカー的存在であるアザゼル、ダンタリアンの2枚のカードに俺が手を出したとすればトリスタンス家も静観はできない。

 たまたま目立つ位置にあったので引いてみたカードがジョーカー(アザゼル)なのは、まあなくはないだろう。だが隠されていた位置にある2枚目のジョーカー(ダンタリアン)をピンポイントで引き抜かれたら、それは”イカサマ”を疑う必要があるということだ。

こうなると内通者の存在が浮かび上がり、リリスがなにかを行おうとしている可能性にトリスタンス公爵も気づくはず。となるとやはりダンタリアンは使えない。



 第二の理由として、クレアラ、アザゼル両名の情報収集能力が思ったより高いのでトリスタン家を刺激するとわかったうえでリスクを犯す必要がなくなったことがあげられる。どうやら今のクレアラは宮廷メイドの中では「クソ豚に手を出された不幸な女性でありながら、気丈にもメイドに徹し続けるメイドの鏡」として一躍時の人となり予想以上に同情を集めているらしい。

 腫物を扱うようではありながら周りも何かと気を使ってくれて、彼女が動く必要もなく周りが声をかけてくれるので、噂は流し放題情報抜き出し放題のフィーバータイム状態のようだ。

 それほど尋常ではなく”デブーダ”に対するヘイトがたまっているのも大きいが、俺が見ていないところではやはりクレアラはパーフェクトメイドらしい。情報はガンガン集まっている。


 そしてその裏付けをしてくれるのがアザゼル。アザゼルは別の理由で情報収集能力が高かった。エルフなので元から聴覚が優れているとか固有魔法で色々と諜報チートできるのもあるが、それ以上にアザゼルの性格に理由があった。

 どうもアザゼルは宮廷メイドの中でも有名な存在で、そしてリリス以上に彫像のように扱われているらしい。そして彼女には超然としすぎていて誰かを出し抜こうとかそのような感情が全く見えない。そのせいか、メイドたちはけっこう重要な情報をアザゼルの近くでも平気で喋っているらしい。

 “デブーダ”に手を出されたはずなのに相変わらずの無表情無反応。そんな彼女は逆に注目を集めないことに適していた。おかげでアザゼルは裏方でなくとも案外情報収集能力が高いことが判明した。


 それと、そもそも論としてダンタリアンに俺から指示を出す理由がなかった。なので今はリリスよりダンタリアンには「遂にメイドにまで手を出してもう我慢ならないのでデブーダ排除のためにデブーダに関する情報を集めよ。ただし万が一に家を巻き込みたくはないので私だけに情報を伝えよ」という命令で情報を収集してもらっている。

 

 アザゼルと違いやはりトリスタン家に忠誠を誓うダンタリアンの一族なので、こちらのほうがうまくいくのでは?とリリスと結論を出したが、ここ二週間その考えは間違っていなかったことが実証されている。 

 


 ありがとうダンタリアン、知らず知らずのうちに敵に塩を送っているのは気の毒だが知らぬが仏というやつだ。



 

 さて、そんな彼女らのおかげで遂に用意は整った!いざゆかん、ファンタジーの定番奴隷商館!!








 さあやってきましたウィルエント商会!

 表向きはそこそこの規模の商会ですが、その実状は汚職に賄賂、オフホワイトな表面を引っぺがせば黒カビびっちりの犯罪のテーマパーク!今日はそんなウィルエント商会が扱っている違法奴隷について探るべくアポなし突撃します!!!


 と、Youtuberなら紹介するのだろうか?

  

 二週間の準備を終え、俺は遂に奴隷を買いにひっそりと馬車にのってウィルエント商会、ウラの名をウィルエント違法奴隷商会にやってきた。

 


 ここ二週間で家庭教師からも改めて学びなおし確認したが、ペンドラゴン帝国では原則奴隷は存在していない、ことになっている”らしい”。まあゲームでもあまり奴隷に関して描写するわけにもいかないが故だったのか、奴隷ではなく敢えて訳するなら「浄罪者」と呼ぶようだ。


 この世界は魔法やスキルがある、つまり常にパワードスーツを着ていたり武器を携帯しているのと同じ世界だ。それ故に犯罪者をただ牢獄にぶち込むだけでは脱走されてしまう。それを防ぐために契約紋という特殊な印を肉体に刻み、その能力を大きく削ぎ、契約者に対して歯向かうと激痛が走るようにするらしい。


 そしてその契約紋を刻まれた者を炭鉱などで働かせる。奴隷ではなく、罪を償う者としてこれを「浄罪者」と呼ぶ。その犯した罪の重さにもよるが、「浄罪者」は下された判決に従い労働し、それが終われば契約紋を消してもらうこともできるようだ。余談だが、帝国の植民地で被支配者である人々も「浄罪者」と同様の扱いになる。


 要するに、一般的に奴隷と呼ばれる者は元犯罪者であり公的に管理されている存在なのだ。つまり元犯罪者でない人物に契約紋が刻まれているなら、それはもう違法奴隷だ。

 ただそのブラック度合にも差があり、借金の形として奴隷落ちしたのはまだライトな違法奴隷。大体は盗賊などに拉致された結果、奴隷となるのだ。最悪なのは娼館などで使えなくなった者を処分するよりはマシと売却されたケースだ。


閑話休題。


 さて、「浄罪者」は公的に管理された者であり彼らには一応ながら衣食住は労働の分だけ保障されている。しかし「違法奴隷」に関してはその限りでなくかなりのピンキリだ。その中でも国の官僚や貴族とも強いつながりがある様なウィルエント商会は帝国最高の違法奴隷商会だ。


 扱われている奴隷の質は非常に高く、まさしく人材のバーゲンセール!手札が増えるのはとてもいいことなので結構ワクワクしている。決して奴隷に興奮してるわけじゃないぞ。デブーダうそつかない。



「本日はこの様な場所までわざわざご足労いただき、恐縮至極にございます。わたくしは―――――」



 

 人の警戒心を解きほぐす微笑みをうかべ、後ろ暗いことをしているのにも関わらずそれを微塵も感じさせない柔らかな声。一見ではわからないが質の良い服を着こみ、小太りで人の好さそうな顔をした老人の、イレギュラーな状況に対する動揺を感じさせないその立ち振る舞いは、さすが貴族も易々相手取る海千山千のウィルエント商会会長。

 そんな彼もさすがに第三皇子の電撃訪問は予想外だったらしく、その自然な微笑みを浮かべる額にはうっすらと汗がにじんでいた。


 しっかし前口上が長いな。身分が上の者への礼儀といえ俺としては鬱陶しいくらいだ。“デブーダ”ならこの挨拶が長いほど敬意を示しているので喜ぶのだろうが、“俺”からすると非効率的で気に入らない。だが今の俺はデブーダなのでそれを聞かなきゃいけない。なので傲慢な豚らしくふんぞり返って聞いていたのだが、長い。長すぎる!


「もうよい。こちらも時間は有限なのだ。どんな奴隷を商品を扱っているのか、それをまとめたリストを今すぐよこせ」


 気分は大企業の会長どころではない。まさしくお客様は神様といわんばかりの尊大な態度。これこそデブーダだ。俺の悪役ロールも上達してきたと思いながら密かに悦に浸っていると、キョトンとした感じの商会の会長と目が合う。


「殿下、その、“リスト”とは契約書のことでよろしいでしょうか?」


 ん?話がかみ合わないな。ああ、そうか。まるでカタログか何かでもある様な気分だったがそんなのあるわけないか。お気に入りの子をアレなお店で選ぶんじゃあるまいに、ついうっかりしていた。

 ドヤってる場合じゃないよ、なんだか恥ずかしくなってきたわ。

 奴隷のプロフィール表とかがあれば便利だと思ったのに、ちくせう。

 

 ここに来るとすぐに妙にだだっ広い最上級の談話室に通されたから変だと思ったが、それもそうだ。この空きスペースに奴隷たちを連れてきて選んでもらうんだ。そのためのこの妙に広ーいスペースなのだ。下手すると教室2つぶんはあるな。


「では聞くが、お前はここにある商品すべてのプロフィールを述べることは可能か?」


「可能であります。記憶力には少々自信がございます」


 ふむ、すごいな。やはり奴隷商の元締めだけある。はったりかもしれないが、少なくとも”デブーダ”に紹介する様な特上の商品は必ず記憶しているのだろう。俺は本格的に交渉を開始するために軽く人払いをして、これから俺が発言する内容の一切の黙秘を固く誓わせて単刀直入に切り込んだ。


「では……………………美醜は敢えて語るまい。数々の商品を扱ってきたお前から見ても有能であったり、一芸を持つ者、特殊な者をここに連れてまいれ。我に見せる予定以外の者でも良い。ランクが1つ2つ落ちようとも構うまい。種族やあらゆる難点にも多少目を瞑ろう。お前の“人を見る目”を披露してもらおうではないか。有用な時間に関しては、我は寛大だ。時間はかけてもよいので厳選してまいれ」


「仰せのままに、殿下」


 彼の胸中は今、混乱の極みにあるだろう。なんせ俺の意図が全くできないだろうからな。この手の店は客があまりはっきりとは言えないような要望も汲み取る必要があると思うが、その道のプロフェッショナルである会長から滲む汗が明らかに増えた気がした。


 はてさて、言い方はよろしくないがこれは当たり確定ガチャをぶん回してるのと同じだ。ただなにを会長がピックアップしてくるかが重要だが、会長の手腕は如何に。





実績:フラグ折れました・ダンタリアン

まさかのフラグスルーだぞ!でも結果的に役立てるところがゲスだね豚さん!そして思考のゲスさがちょっと伝染しつつあるよリリスさん


実績:突撃きんじょの奴隷商館!

巨大しゃもじの代わりに秘密兵器を携えてファンタジーの定番へ突撃だ!(´・ω・`)おほーっ


実績:確定ガチャ

かねもちきらい

















裏実績:うそつかない

ちゃんと予告通り出荷できたね(´・ω・`)らんらん♪

ところで豚さん、わざわざうそつかないなんて言うとか何か疚しいことあるんじゃないの?

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― 新着の感想 ―
[一言] 万国ビックリショーみたいな際物奴隷が来たらどうしよう……(ない) ソシャゲだと確定ガチャって狙うとピンポイントで外す代名詞でもあるんですよね。 や、被りとかない分マシかもしれませんが!(しろ…
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