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14話 「次回デブーダ死す!」

予告通りの詫び投稿。連日更新ラストです。


ブクマ・評価点が増えるととても喜びます。感想をいただくと泣いて喜び明日も更新しちゃいます。

|ω・`)ちら

 ルームランナーなどを朝食後に開発して、少しナイーブになった心をルームランナーで運動して忘れてしまうことにする。


 今までと違って台座があるので、本も置けるしなにかを書いたりもできる。俺は数日前に色々と書き込んでいたこれからのプランを書いた紙を眺めながら、ふと1つの項目に目を止める。


「(奴隷を7人程度囲い込む、か…………)」


確か、リリスの提案だったな。まあ、基本的に人殺しなどの悪名は不味いが下半身最低野郎とかそこら辺の悪名は大きな悪影響が無いし、そちら側へ悪評をシフトするのも1つの手なので奴隷プランは概ね賛成だ。というより、使える駒が少し足りないと考えていたところだ。


 ただ、何処で手に入れたものか。確かゲームでは取り巻きにかなりブラックな奴隷商がいた気がする。デブーダの派閥とべったり癒着していて…………名前は何だっかたな、ウィルエント、だったか?正規の奴隷商への接触は何かボロが出たり足がついたりしそうだから出来るだけ内密にことを進めたい。となると、後ろ暗いことの多い曰く付きの奴隷を扱ってるウィルエント奴隷商会を使うしかないな。



 さて、こういう時はアポを取るか?

 いや、例の如く電撃訪問かましてやるか。ついでに不穏分子の洗い出しもできそうだし、アポは取らずに行こう。幾らゲームで何度もプレイしたって全てを知り尽くしてる訳でもなし、やはりここはリスクを受け入れて自分の足で動こう。というより部屋から出なさすぎて不健康だ。



 ただ、困るのがどんな奴隷を買うかだ。

 流石にゲームでは奴隷などに関する表現はほんの少ししかなかった。つまりここからは未体験ゾーン。なにがあるかはわからない。正直に言えばとても不安だ。既に大きくシナリオがズレ始めているかもしれないところに、奴隷という俺ですら不確定で先の読めない要素を増やしていいのか、そんな迷いはある。


 だがしかし、そもそも論として現段階で既にゲームにない時系列で奮闘している。加えて奴隷を増やして主人公に何か影響があるかと言えば、おそらくないだろう。


 俺が目指すは穏便な没落、主人公とヒロインをくっつけて影ながら世界平和支援だ。

 つまり大筋としては主人公とヒロイン、その周りの人物が大怪我をしたりすることなくクーデターを鎮圧し、ローランを中心にスマートに国を再建。主人公とヒロインが一定値以上の好感度で旅立つ正規ルートを目指せばいい。


 現状、毎日嫌がらせに近い手紙をアリス嬢ヒロインに送り続けているし(結構面倒なうえに必ず詩を添えなくちゃいけないのが憤死もの。こんな文化滅びてしまえ)、悪評維持もできている。相変わらず第2皇后はゲーム同様コソコソやってるみたいだが、多分放置でいいだろう。

 ここで奴隷を増やしたところでヘイトが発生するのは貴族や召使いたちだけだ。第2皇后は何か言うかもしれんが甘やかすのが至上な人なので全力でゴネれば問題ない、はず。

 でもな…………奴隷の管理が正直面倒だ。全員をずっと部屋に置いとくわけにもいかないし、ここら辺はクレアラに話を通しておくか。また借りが増えるがそれは目を瞑ろう。


 これからのプランを書き連ねた紙がさらに増えてきてしまったが、一度整理した方がいいかな。だんだん平安貴族の女性の髪レベルで長くなってきてる。


 考え事をしながらたっぷり運動をし続けると、いつのまにかかなり時間が経過していた。そろそろ昼飯かな?最初は腹が死ぬほど減って舌をガムのように噛んだりして誤魔化してきたが、最近は空腹状態そのものに慣れがでてきている。いい兆候だ。

ルームランナーの台座を折り畳んだり、ロデオマシーンをベッドの下のスペースにしまう。そのほかの器具も全てしまい俺が何かをしていた形跡の一切を消す。あとはベッドをゴーレムを使って戻し、水魔法で服を清める。


 あまりに汗臭いとメイドも怪しむからな。本格的な攻撃や回復はこなせずとも水魔法が使えて本当に助かった。


 さあ、今日もヘルシー昼食を待とうではないか。






 昼食を終え、詩を書くという羞恥プレイをのりきって今日もアリス嬢へ手紙を送り、第2皇后に一応のご機嫌伺いの手紙を送り、帝王学と民俗学を家庭教師から教わり………とあれこれしていると午後もあっという間に終わる。やだ、あたしったら勤勉すぎぃ。


 本日の夕食も大変質素な料理だったが満足だ。最近は嫌がらせか限界に挑んでいるのか、それともシェフが迷走しているのか、料理の内容が精進料理チックになってきたけど別に文句はない。作っていただけるだけありがたいというものだ。健康的な食生活は全てにおいてメリットしかないからな。体の調子も随分といい。

 ただ夜のデザートはいつも通り要求されるのでメイドたちは不思議そうだが、それはクレアラなどが美味しく頂いてるからいいのだ。奴隷が増えたら彼らにもデザートを分けてやるのもいいかもな。飴と鞭を両方与えるのが私なのだ。



 ああ…………醤油煎餅とかスルメイカとか食いてえ。ケーキとかシュークリームとか要らねえから、無骨な菓子が食いてえ。


 だが米も何もねえから諦めるしかないんだよな。将来時間ができたら必ず代用品を探そう。うん、最近は城を出た後のやりたいことプランの方が増えてきたけど、悲しくなんかないよ。それだけ叶えていける夢があると思えばいいんだ。アイムポジティブ、べりーぐー。




 さて、今日も今日とて夜に訪問者だ。

 新しく開発した魔道具の反応からリリスだと思われるが、いつもとリリスのお付きのフォーメーションが違う。


『デブーダ様、リリス様がいらっしゃいました。加えてアザゼルも参上いたしました』


「入れ」


 一昨日の宣言通りだが、ダンタリアンはパスでまずアザゼルを連れてきたのか。さてどうなるかな…………。


 扉がスッと開き音もなく入ってくるリリス、とエメラルドの髪色のエルフと呼べる人物。

 リリスが約身長150cm後半と仮定するとアザゼルは170cm近いスラっとした長身だ。遠くから見れば閉じているようにも見える僅かに開いた目、その目にかかるエメラルド色の長い睫毛、リリス同等の真っ白な肌、エルフの証である少し細長い耳。

 明らかにモブレベルじゃないキャラクターであるアザゼルとリアルで御対面したが、凄い美人だ。地球ではお目にかかれないタイプのファンタジー系美人だ。


 リリスの後に入り後ろ手で鍵を閉めるアザゼル。

 リリスが頭を下げなにかを言おうとした瞬間、アザゼルの姿がブレた。


 次の瞬間、ベッドの奥に座っていた俺の背後で金属が弾かれる激しい甲高い音と、ククリナイフが目の前の障壁にぶつかり火花を散らす。



「個は誰何する」

 

「デブーダにきまっておる……が、しかし、随分と大胆な入室だな、アザゼルとやら」

 

 でた、アザゼルの特徴的な一人称!なんて感心してる場合じゃない。今思わずビビって変な声が出そうだった。


「リリス、これはどういうことだ?我を暗殺する気だったのか?」


 俺は震えそうな声を舌を噛むことで緩和しポツンと取り残されたリリスに問うと、リリスは首を横に振る。


「いえ、そのような指示は一切出していません。不埒な真似をしたら手足ぐらいは切り落としていいとはいいましたが、殺せとは一言も命じておりません」


 手足を切り落とすってどうなんだよ、おい。ただこの状況で本当にそんなことが言えるってことは、アザゼルの独断か?


「アザゼル、一度退きなさい」


 リリスが命じると、アザゼルは身体を僅かに揺らすがククリナイフを退けなかった。


「アザゼル、命令が聞けないのですか?」


「個の使命、其の護衛が最大優先事項。故、個は命令を棄却」


 わあ、ゲームじゃ面白い喋り方だと思ったけど実際に聴いてるとヤバい奴にしか思えない。アザゼルはやっぱりモブで終わらすにはインパクト強すぎるキャラだよ、マジで。


「では攻撃体制の継続は許可しますので「おい、許可すんな」デブーダ様は黙っていてください。アザゼル、攻撃体制は継続は許可しますが、なぜ攻撃したのかは説明してください。存在自体が不埒と断じた故ならば文句は言いませんが」


 相変わらずナチュラルに罵倒するねリリス君。存在自体が不埒って酷くない?ま、彼女の精神安定が罵倒で調整できるなら特に怒りはしないが。というか慣れてきた。嫌な慣れだな。


「個は此、危険物特1級~特2級と断定。故、攻撃」


「危険物?それが?」


「此、デブーダ、否。予想、魔族。仮定、入れ替わり?」


 この状態でも攻撃し続けるアザゼル。空間魔法を封じ切るのがクソ面倒というかこっちは油断1つで死にそうなのに、涼しい顔で応答しながら攻撃とか、やっぱりガチな戦闘職はやばすぎる!

 というか、俺が危惧していた事がついに起きた。


「…………魔族?」


「魔力性質に大きな変化。複数の怪奇な魔力の歪み。高度な防御陣形。デブーダでは不可能。加えて数日前の謎の魔法、犯人はおそらく、此」


 ああ、見事に勘違いされてる。リリスもなんか納得したような顔してるんじゃない!どうする…………予測できていた事態の一つとはいえ、まず話をするためにはアザゼルを止めなければ。現状は魔力の障壁を空間魔法の使用される座標に割り込ませて妨害して防いでいるが、これではジリ貧だ。


「すまん、避けてくれ」


 俺がベッド下に念じると、棘付きの大量の鎖が飛び出してアザゼルへと迫る。

 だがアザゼルはククリナイフと空間魔法で難なく全てを捌き切るとリリスのもとまで後退。俺はすかさずベッドの防御壁をほぼ最大威力で作動させる。

 アザゼルは空間魔法で干渉しようとしているが、これは対アザゼルみたいな理不尽攻撃もブロックできる最も強力な防御陣だ。

アザゼルもうまく魔法が発動できずに首を傾げているあたり、効果アリとみた。


「やはりデブーダ様では無かったのですか。元からあまりにおかしいとは思っていましたが、成る程、納得しました」


 俺がアザゼルと目に見えないレベルの攻防戦をしていると、アザゼルの背後から聞こえるリリスの声。その声はなんだか精気の抜けたような、無気力な声に戻っている。まるでサンドバッグを急に取り上げられた猫のような、無気力な声だ。



「待て。勘違いするな。我は魔族ではない。ただの人間だ」


「有り得ない。それだけの戦闘力、隠し通す、無理」


 ちょっとアザゼルさんシャラップですよーーーーーーーーー!?拗れるから黙っててくれ!


「では具体的になぜ我を魔族と断定したのか申してみよ」


「時間稼ぎ、笑」


 デスヨネー、暫定的敵の話を静かの聞くわけがないですよねー。でもそこは御都合主義で素直に聞けよ!攻撃魔法使えねえんだよ!さっさと諦めろよ!


 いや使えないとは違うか。


 大地魔法は正規の魔法ではスピードが遅すぎて、インフレしたバトル漫画みたいにブレるほどのスピードで動くアザゼルを捉えるのは不可能。下手するとトラップが発動してもそれ以上に早く動いてトラップを突破されかねない。


 では、カスタマイズなら…………しかしこっちはマジでピーキーな魔法ばっかりで最悪使うと城ごと壊しかねない。というよりかは今まで一度も試しに使ってないからなにが起きるかわからない。


 それにデブーダ自身、どうも攻撃魔法は得意じゃねえ。単純に練度が足りて何のも大きいが、成長性が生産よりなんだよ。


 ここで確実にアザゼルを無力化しようと思えば、たぶんできなくはない。その手段はゴーレムしかないのだが、このスピード相手に戦うゴーレムは手動操作してたららちが明かない。となるとオートモードになるのだが、高確率でリリスが巻き込まれる。

 ちっ、めんどくせえなマジで!ちったあ精細に確認してから敵認定しろってんだ!いや、アザゼルにとっては逆に全くの別人に見えてる上にガチガチに防御陣形を組んだ部屋を作った俺には怪しさしか感じない。そして自分の攻撃を防げると判断した時点で攻撃に踏み切るしか選択肢がなかったのか。

 いや待て、ならなぜ護衛対象がガラ空きの状態で攻撃し続けてる?というか今回はなあなあで済ませてもっと準備を整えて攻撃すればいいのに何故、何故攻撃をこうも執拗に仕掛けてる?

 アザゼルがもしリリスの身を守るのが第一優先事項なら、今していることはとても不自然だ。


 おかしい、冷静に考えるとあまりに不自然すぎる。

 万が一、アザゼルが実はポンコツだったとかならわかる。ただのキリングマシーンとしてしか動かない人物ならわかる。だが何故リリスはそれを止めない?やっけぱちだから自分の身はどうでもいいのか?それともアザゼルの護衛としての力を信頼してるのか?



 …………いや、そんな女じゃない。リリスはそんな性格じゃない。大富豪でいうところのかなり終盤までジョーカーを残し確実に勝ち組側を狙うタイプだ。こんな博打みたくジョーカーなんて使わない。例えそれがミス……アザゼルの完全な独断でも修正し切るだけの頭はあるはずだ。



 つまりそれらを考慮した上で、現状で最も正しい判断は、この状況における“正解” は……………………


 どうしよう、死にたくない。けれど、もし俺が考えてる通りなら、命を賭けたのはリリスも同じ。


 ふぅ〜…………。怖いから目を瞑っちゃお。万が一ミスったら死に間際なんてみたくないし。



 そうして俺は全防御魔法を解除した。

 「どんとこい、超常現象!」


 …………嫌な遺言だな。「なぜベストをつくさないのか」にしとけばよかったかも。







実績:First Attack Block

不意打ちの一撃目の完全防御に成功!失敗してたら死んでたぞ!


実績:遺言

どんとくるのは超常現象じゃなくてナイフでした。






















裏実績:1femtoの信頼

利己的な男は命をチップに勝負を賭ける。そこには人間不信で利己的で性根ねじ曲がった同士だからこその1000兆分の1レベルの矛盾した信頼がある、かもしれない


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― 新着の感想 ―
[一言] 「べりーぐー」 なんで英語を緩いひらがなにするとこんなに面白くなるのだろうか
[一言] 毎日更新も嬉しいですが、 体調に気をつけてエタたずに 自分のペースで更新して頂ければ…
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