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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
幼年期
8/78

第7話  家族


「は‥はじめ‥まして。フィウルス‥と申します。」


辿々しく自己紹介をするフィウルスに対して、


「こちらこそはじめまして。私はウォルス・ハワードという。この山を抜けた隣の国‥アスタルシア国の公爵だが、そう畏まらないでくれたまえ。君は‥フィウルス君は私の娘の恩人なのだから。」


そう言って、丁寧に応対するウォルス公爵。そこに貴族と一般人の身分差による、見下したような意思は感じられない。


「フィウルス君には、本当に感謝してもしきれないわ。私はマリー・ハワード。あなたが助けてくれたサファの母親よ。」


一際魔力の高かった女性‥マリー夫人もウォルスに倣って、自己紹介と感謝の言葉を述べる。


(よかった。貴族って傲慢なイメージがあったから‥‥。この人達が身分差を気にしない人達なだけかもしれないけど。)


下劣な者が!!っという展開にならなくて、胸を撫で下ろし安堵するフィウルス。


「いやー、すげえな坊主!俺はジード!一応、ウォルスの旦那達の護衛だ!」


「一応じゃねえだろ、ジード。僕はハリー。ごめんね、僕達は咄嗟に動けなくて‥‥君がいて助かったよ。」


「フィウルス様。この度は、サファお嬢様の命を助けていただきありがとうございます。私は、ハワード家に仕えているメイドのミサと申します。」


続いて護衛の二人とメイドの女性も自己紹介とお礼を言ったので、しどろもどろになりながらもそれに応えるフィウルス。


「ところで、フィウルス君は何故こんな山奥にひとりで‥?」


「そうね‥。ご両親と逸れてしまったの?」


そこへ、ウォルス公爵が疑問を投げかける。


(あー、やっぱそこ疑問に思うよなー。嘘つくのは苦手だし、事実を話すとするかな?)


「え、えっと‥。僕‥生まれた時から気づいたらこの山に一人でして‥‥。ふ、普段は虫とか鳥とかを‥捕まえて生活をしてて‥‥えっと‥そしたら、みんなとあの熊の気配が‥したので見に来てたんです‥。」


(う、上手く伝わってるかな?‥たった5年、人と会話しなかっただけで、こんなに話づらくなるなんて!)


「ふむ‥‥。ちょっと、その服を見せてくれるかな?」


そう言って、ウォルス公爵はフィウルスの着ている‥狼の毛皮で作った服を触り確認する。


「これは‥‥ハウンド・ウルフの毛皮を、蔦で編みこんでいるのか‥?」


「は‥はい。着るもの‥なかった‥でしたから。」


「ん?その首飾りは?見たところ高価な物だが‥‥」


「こ‥れは。ぬ、盗んだとかじゃなくって‥僕が入っていた籠の中に‥一緒に入ってて‥‥。これを‥つけてたら‥お母さんに会えた時‥‥僕だってわかってくれるかなとおもっ‥‥」


ガバッ!!


瞬間、マリー夫人に抱きつかれた。


「も、もういいよ!フィウルス君!もうわかったから!」


(え?マリーさん?あれ‥何でこの人泣いて‥)


視線をウォルス公爵に戻すと、公爵もまた目頭を押さえていた。周囲の護衛達も辛そうな顔をしている。

メイドのミサは、どこからかハンカチを出して‥‥。


(あれ‥?何だろ?この、かわいそうな子を見つけたような感じ?俺ってそんな‥‥いや!かわいそう!!俺、めっちゃかわいそうな子じゃんかっ!!)


生まれて間もない頃に、山奥に捨てられて、母親からの唯一の贈り物である首飾りを身につけながら、山奥でたった一人で過ごしてきた5歳児を見て、かわいそうと思わない訳がなかった。 


「もう‥大丈夫よ。フィウルス君。これからは私達と一緒に来なさい‥‥。いいわよね?あなた‥。」


「ああ。元よりこんな山奥に子どもを一人にして放っておけるはずがない。」


「え、で、でも‥。僕、迷惑に‥。」


「いっしょにきて!フィウルスくん!」


ついにお嬢様であるサファにまで泣きつかれた。


(え!?そーいうつもりはなかったのに!?‥‥でも、このまま山に引き籠っても仕方ないのは確かだし、こんなに良い人達に出会えたのも‥‥嬉しいし。)


「君が来て迷惑なことなんてない。君が‥ここで暮らせる強さを持っているのは、先ほどの様子でわかっている。だがそれでも、君は私達と共に来た方が良いと私は考える。どうする‥?」


(この‥人達なら‥。それにいつかは山を降りるべきなんだし‥。)


「‥‥お、お世話に‥なっても、よろしいですか?」


「‥!勿論だとも!それと、敬語は使わなくても良いからな!」 


「そうよっ!フィウルスは、私達の家族なんですから!」


こうして、フィウルスはウォルス公爵とともに、この山から降りることにした。



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