第69話 サファの学年末ランキング戦
サファ・ハワードは学園に通う者達にとって、憧れの存在である。
15歳となった彼女は、誰もが目を奪われる様な美しい女性へと育っていた。女性にしては高めな身長と豊満に育った胸部は、男子生徒達の視線を捉えて離さない。
また、容姿に限らずその内面も高く評価されていた。
学園最強の強さに驕ることなく、ひたむきに努力する姿勢。
弱者に対しては救いの手を差し伸べる優しさを持ち、容姿端麗な貴族の跡取り息子達からの熱烈な誘いにも靡かない。
驚くことに、アルス王子からのお誘いを一度も受けたことがないのである。
そんな彼女に対して、初期の頃は嫉妬ややっかみも勿論あった。
だが、彼女はそれを一切気にすることなく、その姿勢を曲げることは無かった。
その様子から、いつしか彼女を非難する者はいなくなり、女生徒からも「お姉様」と呼ばれ慕われるような存在へとなっていた。
男女問わず全生徒から慕われる、結界と剣術を巧みに操る学園最強の女。
それが、サファ・ハワードである。
そんな彼女は今、
「ふおおおおお!!フィ、フィルが汗を拭いたタオル〜〜〜!!!」
白いタオルを顔に埋めながら、ベッドの上で悶えていた。
「入手するのに難度は高かったですが、お気に召されて光栄です。」
そう言うのは同居人であると同時にフィウルス大好き隊会員No.1のメリッサ。
サファがフィウルスの尊さを教授した、第一号である。
「ありがとう!メリッサ!あなたは生涯で最高の友よ!」
「いえ。これくらいのこと。‥‥出来れば後で私にも貸して頂ければて‥。」
「勿論いいわよ!」
そこに麗しの令嬢の姿はどこにもなかった。
「それで、明日のランキング戦は大丈夫なのですか?」
「ああ、最後の卒業前ランキング戦ね。」
タオルから顔をはなして、サファは答える。
「多分、例年通りに殆どの生徒は棄権するでしょうね。最後だから、全力の私とアルス王子の一騎討ちの流れになるわね。」
卒業前の最後のランキングになると、毎年殆どの生徒は棄権をする。
ランキング上位にいる者達が、全力で戦えるようにである。
そもそも、卒業しただけでも世間へのステータスとなるため、中位〜下位の者達はランキングを上げることに執着していないのだ。
「そうですね。ついにアルス王子とサファ様の決着がつくんですね。」
そうなれば、今年の10年生によるランキング戦はアルス王子とサファの一騎討ちだ。
生徒や教員、他の貴族たちもその戦いを望んでいる。
「最後だし、フィルにかっこいいところ見せないとね!」
サファは笑顔でそう言い放った。
翌日。
大半の予想通り、殆どの生徒は棄権を選択していた。
数試合を経て、残っているのはアルス王子とサファだけだった。
「さあ!学年末ランキング戦、第10年生の最後の試合となりました!最後に残ったのは、やはりこの二人!!アルス・ヴァン・アスタルシア王子とサファ・ハワード!!両者、会場まで上がってきてください!!」
司会者の大きな声が響き渡る中、サファとアルス王子は向かい合って、会場に立つ。
最後の試合が始まろうとしていた。




