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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
学園編 最弱の英雄
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第58話  少女の困惑



「あまり、馴れ馴れしくしないで下さい。」


そう言って離れていった少女‥ライラの様子をフィウルスは見つめていた。


(あれは‥‥あの目は‥‥)


少女がしていた、その目をフィウルスは知っている。


(周りの全てが敵だと思っている目‥‥。)


地球にいた頃、師である九重 楓と共に裏の仕事をしている際、同じ目をしている者と遭遇したことも数多くあった。


(どうして?)


何故少女がその様な目をしていたのか。

出会ったばかりのフィウルスには、予想もつかないことであった。


だから、


(‥‥放って置けない。)


今も開いた本を読んで、辛そうな表情をしている少女のことが気にかかる。


フィウルスは、少女のために動くことを決意した。

経験上、その目をしている者はみな、心の奥底で助けを求めていたからだ。








ライラ・ミーチェはひどく困惑していた。

それは本の内容に、ではない。

隣に座っている少年、フィウルス・ハワードに困惑しているのである。


(あんな態度とられて、近寄ってくる!?)


ライラは、次世代の戦力の要となる存在の情報を外部へ伝えるために、学園に潜入している。

そのため、学園では他人と距離を置いて友人を作らずにいたのである。

7年間一緒に寝食を共にしている同居人(ルームメイト)ですら、親密な関係を築いていない。


実力も平均を少し下回るぐらいに留めて、存在感も薄くしながら徹底して己の本職に努めていた。



「あ、それ読み終わったんだ!これも面白いけど、読んでみる?」


ライラが近寄るなオーラを全力で展開しているにも関わらず、この少年は自然と話しかけてくる。


「あの、近寄らないでくださいっ!」


「どうして?」


「え?」


「どうして、君はそんなに周りへ敵意を振りまくの?」


「っ!!」


純粋な疑問を浮かべた顔をしながら、こちらの核心を一撃で貫いてくるフィウルス。

思わずライラは言葉を詰まらせる。


「何だか‥‥放って置けなくて。今は話してくれなくてもいい。だけど、僕は君と仲良くなりたい。」


真っ直ぐにこちらを見つめてくる金の瞳。

そこに、下心や虚言の色は見えない。


(〜〜〜っ!?なんなのよ、この男は〜!?)


純粋にこちらを想って送られる、白い少年の視線は、何年間も孤独に過ごしてきた少女の心を掻き乱した。


「あ、あなたには関係ありませんっ!」


思わずそう叫んで、ライラは書庫室を飛び出す。


(惑わされない!惑わされない!わたしは、惑わされない〜!!)


心臓の音が速く脈打っているのは、気のせいだと自信に言い聞かせて少女は廊下を駆け抜けた。





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