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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
学園編 最弱の英雄
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第57話  ライラ・ミーチェ



「今日は‥‥この本を調べてみるか。」


授業が終了した夕刻前。

フィウルスはいつものように書庫を訪れて、「神呪」に関する本を調べていた。

メイリィは既に受付机で本を読んでいる。


「ん?誰かいる?」


奥の本棚の向こう、そこには普段メイリィとフィウルスしかいないはずの書庫室で、3人目の人影があった。


(下級生かな?)


小柄な体型の少女を見てフィウルスはそう思う。

短い茶髪にぱちっとした目。そんな可愛らしい少女は、一点を見つめて手を伸ばし続けていた。


(届かないのかな?)


背伸びをしながら手を伸ばして、ぷるぷると体を震わせる様子に、放って置けない気持ちになってフィウルスは少女へ近づく。


「これでいい?」


「っ!!」


そして、恐らく目当てであろう本を手に取り、少女へ見せた。


「‥‥フィウルス・ハワード‥先輩。」


驚いた表情をした少女は、フィウルスの名を呟いた。


(あれ?この子、どっかで見たような‥‥)


見覚えのある少女の顔に、頭を捻るが答えが出ない。


「あ、僕のこと知ってたんだね。それで‥‥この本を取りたかったのであってる?」


そう言ってフィウルスは、手に持った「魔族について」という題名の本を少女へ差し出す。


「‥‥はい。」


それだけを言って少女は本を受け取る。


「そっか。良かった。ここに来るなんて珍しいね。」


「フィウルス〜?どうしたの?」


奥から話し声が聞こえてきたメイリィは、気になってフィウルスの元へと来た。


「あ、珍しい。他の生徒も来てたんだ。何学年の子?」


「‥‥7年4組、ライラ・ミーチェです。」


(‥‥7年生だったんだ。)


下級生かと思いきや、まさかの一個下。


「え、7年生なんだ‥‥。あ、じゃあ、ハーエン山脈での時も一緒にいたんだね!?」


「‥‥はい。」


(‥‥あっ!)


ハーエン山脈、と聞いてフィウルスは、どこかで見たことがある少女の事を思い出した。


(あの時‥‥鳥女(ハーピィ)に空中へ持ち上げられていた時の子だ!)


黒衣の仮面となって、怪物行進(モンスターパレード)と戦闘していた際、ハーピィに空中から落とされようとしていた少女をフィウルスが救出した。

その少女が、ライラ・ミーチェだったのである。


「そっか〜。あの時は大変だったね。あ、もしこの書庫室でわからないことがあった‥‥」


「あの、」


メイリィの言葉を、ライラが遮って言った。


「あまり、馴れ馴れしくしないで下さい。」


睨みつけながらそう言って、机に座って本を広げたのであった。










送れるだけの情報は送っておこう。


そういえば書庫室にはまだ訪れたことか無かった。

書物を漁って、()がこちらをどの様に捉えているのか調べてみよう。



書庫室を訪れて目当ての本を探す。

そして、それは奥の本棚のほんの少し高い位置にあった。


「魔族について」


きっと碌なことが書かれていいないんだろうな、と思いつつ本を手に取ろうとする。


「ぐ、ぐぬぬぬ。」


背伸びをして最大限に手を伸ばすが、わずかに届かない。

何か足場になりそうな物を探そうか。

そう考えてた矢先、自分ではない誰かの手がその本を取った。


「これでいい?」


雪の様に白い髪。綺麗な金の瞳。少女のようにも見える中性的で、超俗的な美を醸し出す少年。


「‥‥フィウルス・ハワード‥先輩。」


予想もしない人物の登場に、思わずその名を呟いた。

その存在は知っている。

「神呪」に「混じり血」と蔑まれている、学園でも有名な最弱の男。


(何故この人が‥‥?)


「フィウルス〜?どうしたの?」


少年と適当に会話していると、別の声が聞こえてきた。


(まさか「智将」のメイリィ!そうだった、確かこの人図書委員だったわね。)


メイリィに学年を問われ、嫌々ながら少女は応えた。


「‥‥7年4組、ライラ・ミーチェです。」


ひとまず自己紹介をした少女‥ライラは尚も話を続けようとするメイリィの言葉を遮って、離れた距離で本を読み始めた。


(意外だった。あの二人、仲良いんだ。)


戦闘力に関しては学園内で下位の者同士、親近感でも得たのだろう、とライラは結論付ける。



本を開いてページを捲る。

二人のことは既に意識の外へと追いやった。




―――魔族とは、亜人及び理知を得た魔物達を総称する。彼らは独自の文化を持ち、集団を形成し、人族へ残虐な行いをした。理知を得て尚、本能に根付いた破壊衝動、暴虐性は変わることのない下等な者達であり‥‥‥



ぐっ、と奥歯を噛み締める。

どうせ悪い様に記されているだろうとは予想出来ていたが、どうしようもない感情が胸の内で蠢く。


それでも、ライラはページを捲って読んでいく。


その様子を白い少年が見つめていたことに気付かずに。




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