第28話 輪になって
5年後
時刻は昼食時。王立アスタルシア学園の校舎裏にある庭に、複数の人影がある。
「アイツらしつこかったな、フィウルス。おめえも絡まれた時は遠慮なんかせずに、オレたちを頼れってんだ。」
白髪の少年へぶっきらぼうに語りかけるのは、赤い髪を刈り上げている少年、カイルであった。
「そうですわ。ライバルとはいえ友でもある私たちに、いつでも頼ってくださって結構ですのよ?」
それに同調するのは、金髪の美少女。この学園に通う王族、シャルル姫だ。
「う、うん。いつもごめんね。」
「別に、謝らなくてもいいーんだけどよ。」
そして、2人の言葉に感謝しつつも申し訳なさそうに答えるのは白髪の少年、フィウルスであった。
「ふん。情けないことだな。よもや女性にまで守られるようでは‥‥」
そこに辛辣な言葉を投げかける者がいた。
その者は水色の長い髪で、凛とした佇まいをしている‥‥
「おい、そんな言い方しなくてもいいだろ!ティリア!」
五星・無限弓のティリア・アーチェであった。
4年ほど前‥‥
「き、貴様がフィウルスとかいうやつだな!?」
「え?あ、はい。そうですけど‥‥」
「ふ、ふん。噂通り女みたいにナヨナヨとした奴だな!こ、このわたひが‥‥この私が直々に鍛え直してやろうではないか!」
「え?‥‥え!?」
という風に絡んできて、気づいたらここで一緒に昼食を食べているのだ。
「い、言い過ぎではない!ああいう輩は、己の力を知らせめなければ、何度でもやってくる!」
「‥‥うん。そうだね。ティリアの言う通りだ。」
「っ!? だ、だがなフィウルス!お前もこの数年間で成長しているのだ!じ、自信を持て!」
目に見えて落ち込むフィウルスに、ティリアは慌てて取り繕う。
「‥‥結局ティリアは、フィウルスを貶したいのか、励ましたいのか‥‥どっちなの。」
そんなティリアの様子を気怠げな目で問いかけるのは、ショートカットの青い髪をした少女。
「‥‥スース。私は別にフィウルスを貶めるつもりはないからな!」
「‥‥あらそう。」
スースはそれだけ言って、視線を戻す。
彼女はフィウルスと出会ってから一週間後、休み時間に6組に入ってきて‥‥
「‥‥君。お昼はいつもどこにいるの?」
直接聞いてきた。
以来、彼女もこうしてここで一緒に過ごしている。
「はー。そんなこといいから。フィウルス、この物語すごい面白いよ?」
「よくないっ!!」
そんなことと言われてティリアは若干涙目だ。
くりっとした巻き毛の茶髪の少女、メイリィはオススメの本をフィウルスに渡す。
メイリィは2年前に、この場所を偶然通りがかって‥‥
「あ、あら?フィウルスにシャルル姫様達?偶然ね?こ、ここで昼食を食べているのね?わ、私もご一緒しようかしら?」
そう言って、とても自然に入り込んだ。そう。とても自然に。なお、フィウルス達がここで昼食を食べているのは1年の時から知っていて、ずっと機を伺っていたのは、彼女だけの秘密である。
輪になって一緒に昼食を食べながら話し合う友人達を見て、フィウルスは心の中でひっそりと思う。
(苦しいことは多いけど、いい友人達が出来たなあ。)
と、そこへ輪を乱しかねない者が乱入する。
「アハっ♪先輩方〜!おつかれさまでぇ〜すっ!」
桃色の髪を肩まで伸ばしている美少女が走り寄って来た。
「あら、エルシィさん。こんにちわ。」
シャルル姫が桃色の髪の少女である、エルシィに笑いかける。
「こんにちわぁ〜、シャルル姫様!それにしても〜‥‥」
そして、エルシィは全員を見回した後、フィウルスを見て止まる。
「将来有望な先輩方はぁ、まだそんな男と一緒にいるんですかぁ〜?」
爽やかな笑顔とともに言った。




