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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
幼年期
3/78

第2話  生まれてすぐ‥‥


薄暗い森の中を、1台の馬車が駆け抜ける。

その馬車の中では、まだ20代前半ぐらいの歳で、美しく長い白髪の女性が赤ん坊を抱えていた。


(‥‥ここ‥は?どこだ?‥‥この人はだれだ??‥‥いや、それよりも俺のこの姿は!?)


赤ん坊は目を覚まし、自らの状況に驚愕している。


(そう‥か。生まれ変わったのか。幸いなことに記憶は消えてないみたいだ‥‥。それで、どこなんだここは?俺を抱えている、この人は‥‥多分今世においての母親なのかな‥?こんな美しい白髪‥‥ぜってー日本人じゃないなー。)


「あら、目を覚ましたのね。」


白髪の女性が赤ん坊に語りかけるが、すぐにその目元から涙が伝う。


(あ、言葉はわかるん‥‥て!?なんで泣いてんだ!?どっか痛いのか!?)


「あ、あうあうー!あうあー!」


残念ながら赤ん坊である雄は、まともに話すことが出来ず、手足をばたつかせた。


「うう‥‥ごめんね。あなたに呪いがついている以上、あなたのことを公表することも、育てることも出来ないの‥‥。でも、お母さんはあなたのことを愛してるわ‥‥。いつまでも。」


そういって、白髪の女性は雄に顔をよせる。


(呪い?呪いっていったい?それに、俺はどうなるんだ‥‥?)


突然のことに雄が固まってる間に、ついに馬車は森の奥深くで止まった。


「フォリア王女様。ここまでです。」


「‥‥どうしてもダメなのですか?」


馬車の扉が開き、騎士の様な佇まいをした男が告げると、白髪の女性、フォリアは問うた。


「‥‥お気持ちはわかりますが、こればっかりはどうしようも出来ません。王族の子が呪い持ちだと、我らだけでなく民にまで知れ渡ると‥‥。」


「この子は何も悪くないのに!?どうして‥‥。」


「‥‥申し訳ございません。ですが、この条件でなければ、その赤子は殺されてもおかしくありませんでした。」


「‥‥わかりました。」


苦渋の表情を浮かべながら、フォリアは雄を抱えたまま馬車を降りた。


(ここは?森?)


そして、雄は籠に入れられたかと思うと、すぐ傍で生い茂っている木の下に置かれた。

その後、フォリアは胸元から何かを取り出した。

それは勾玉のような物がついている、二対のネックレスであった。フォリア王女はそれを、重なっている勾玉の部分を外し、2つに分かれた内の1つ、黒い勾玉を雄の傍に置き、白い勾玉の方を自分の首元にかけた。


「!?王女様!それは国宝の‥‥」


「これぐらいはさせて下さい。もしも、この子がここから逞しく生き抜いて‥‥いつか私の前に現れた時に分かるためにも‥‥」



おそらくは、その可能性が極めて低いことを理解しながらも、フォリア王女はその希望に縋った。


その時、ガサガサと茂みが揺れたかと思うと、2メートル程はある狼が飛び出してきた。


「ファイアランス」


フォリア王女がそう呟くと、炎の槍が形成され、狼を貫き、


「気刃!!」


騎士の男が剣を振り下ろすと、刃状の気が放たれ、狼の体を両断した。


(‥今のも気を感じなかった。まさか、魔法とかか?てか、こんなとこに置いていかれるのか!?)


雄は、前世で襲ってきた者たちのことを思い出す。フォリア王女の炎にも、騎士の放った一撃も、雄の知っている気を感じることが出来なかった。



「何もしてあげられなくて、ごめんなさい。あなたが、逞しく生き抜いてくれることを祈ってます。私の‥愛しいフィウルス。」


そう言って再び涙を流しながら、フォリア王女は馬車に戻り、やがて馬車も見えなくなった。


(‥‥生まれてすぐに森で捨てられるとはな。どうすりゃいいんだ?)


あまりのことに困惑する雄だが、


(とりあえず、俺の名前はフィウルス‥ね。それと、あなたの愛情はしっかり感じたよ。フォリア王女様。さて、呪いとか何か訳ありみたいだけど、まずは現状の確認だな。)


一先ずは、これから生き抜くための方法を模索するこのしたフィウルス。


(‥‥全身のチェックだ。手足は問題なく動く。視覚と聴覚も以上なし。全身に流れている気は掴めるか‥‥?)


目を瞑り、全身の気を感じようとする。すると、身体を巡る気の感覚が直ぐに感じ取れた。|()()も。


(‥‥どうなってる?3種類の気を感じるぞ?‥‥考えても仕方ない。一つずつ試してみるか‥‥。)


フィウルスは一度深呼吸をし、


「あっ!!(破っ!!)」


気合を入れた後、傍にある大岩を掴み‥‥持ち上げた。


(前世で慣れ親しんだ気に間違い無いな。次は‥‥。)


大岩を地面に置いた後、再び目を瞑り深呼吸をする。


(さっきの騎士は明らかに気のようなものを、放出させていた‥‥。前世で手にした気は、それ()()では放出しても消えてしまう。なら、まったく別種の気であるはずだ。)


そして、目を開けて、傍に生えている木の枝へ向けて手を伸ばし、


「あっ!!(破っ!!)」


再度気合を入れると、手から何かが放たれて木の枝が折れたのであった。


(やはり、別物なんだろうな‥‥。ということは最後に残ったこの気は‥‥)


今度は両手を掲げて、


「あっ!!(破っ!!)」


コポ‥コポポ‥と目の前に水球が浮かぶ。


(魔法で間違い無いな‥。森の中だし、制御出来なかった時を考えて、水をイメージして良かった。)


そして、自らが出した水を飲んだ後、彼は一つの結論を出した。


(ここ‥‥地球じゃないよな。)

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