第24話 第3学年 決勝戦
「さあ!ついに3年生の決勝戦となりました!毎年、第注目の戦いです!3年1組、我らがアスタルシア国の王子アルス・ヴァン・アスタルシア様!その剣技、その力は次代の王国を切り開くと、みんなが期待しております!そして、対するは麗しき公爵家令嬢のサファ・ハワード!結界と剣術を織り交ぜての戦いは目が離せません!」
「やあ。やっぱり、僕の前に立ちはだかるのは君みたいだね。」
「‥‥戦いの前に無駄話はやめましょう。」
「‥‥つれないね。こんなにも猛烈にアタックしているのに。」
「‥‥今は、少々気が立っていますの。」
「それでは、決勝戦はじめっー!!」
開始の声が響き渡るが、双方どちらも仕掛けにいかない。
(フィル‥‥。あんなにも傷ついて。‥‥悔しい。この力はあの子を守るために磨いてるというのに。)
サファはフィウルスの現状と自分自身に腹が立つ。
そんなサファに対して、
「弟くん、残念だったね。あんなになっちゃっ‥‥」
言い切る前に、アルス王子の目の前に剣が振り抜かれる。
ギンッ
「‥‥くっ」
アルス王子はかろうじて自身の剣で受け止める。
「‥‥今は気が立っているって言ったでしょう。」
ゾクリ、と背中に悪寒が走った王子は、ようやく意識を戦闘に向ける。
「今度は僕が勝たせてもらうよ。」
そう言ってサファに斬りかかる。
だが、
「なっ!?体が?」
体が何かに阻まれて動かない。
「っ!?結界魔法か!」
その正体はサファの結界魔法である。
強固なバリアで身を守る結界魔法。だが、サファはその強固なバリアを相手の体に纏わせて、動きを阻害させていた。
しかも、結界は本来なら外側からの攻撃を防ぎ、内側からの攻撃は通すようになっているが、サファはこの性質を逆にして相手に纏わせている。その結果、結界でありながら、相手の動きを封じる牢獄のようになっているのだ。
「‥‥だけど、相手にかける場合はそれほどの強度はないんだろう?」
そう言って、アルス王子は力づくで結界を破壊する。
性質を逆にした結界は、まだ不安定なためである。
「そこだっ!」
そしてついにアルス王子の一撃が決まった‥‥かのように思えた。
キンッと、何かに弾かれた音が響く。
「‥‥結界魔法の並列発動。」
そう。サファはアルス王子に結界を発動しながら、自身にも身を守る結界をかけていたのだ。
「‥‥驚いた。これはもしかして、加護の位階が相当高いんじゃないかな?」
「さあ?戦闘中に詮索とは、随分と余裕ですわね?」
「いや、余裕なんてないんだけど‥‥」
「それでは、全力でいかせていただきますわね。」
そこからは両者に語り合う間は無くなった。
サファはアルス王子に結界による行動阻害、そして自身を守る結界を発動しながら剣術を叩き込む。さらには、空中に結界を作りそれを足場にしたりと縦横無尽に動き回り、アルス王子を翻弄する。
やがて、決着の一撃が決まる。
「き、決まったー!!3年生の優勝者は、見事アルス王子を打ち破った、サファ・ハワードー!!!」
(あとで、フィル・ラヴァーズにこれからのことで会議を開かなくては‥‥。)
本人は優勝なんてどうでもいいと考えていたのだが。




