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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
 学園編 入学
28/78

第23話  それぞれの覚悟



(くそっ)


担架で運ばれていくフィウルスを眺めながら、カイルは自分自身に悪態をつく。


(どうして、俺は‥‥こんなにも弱いんだ。)


それは成績のことを言っているわけではない。彼は、自分の友一人を助けることも支えることも出来ない、自身の弱さを嘆いていた。


「見たかよ、あいつ。ボロ雑巾のようになってたぜ?」


「おい、それはいつものことだろう?」


「そうだったな。アハハ。」


クラスメイトの不快な会話が耳に流れてくる。


「オイッ!てめえら笑ってんじゃねえ!」


限界が来た。もう我慢出来ない。


「な、なんだよカイル?あの『底辺』のことなん‥‥」


「『底辺』じゃねえっ!!フィウルスだ!」


「‥‥!」


「てめえら、覚えとけよ。俺の前であいつのことを馬鹿にする奴は、俺がぶっ潰してやる。」



「お、おい、まじか?」


「あいつは、フィウルスは‥‥俺の友達だ。」


クラスメイトに背を向けて、カイルは去って行く。


「うそ?」


「え、あのカイルと?」


「なんでよりにもよって‥‥」



(もう、限界だ。見てるだけなんて出来ねえ。)


カイルは覚悟を決めた。


その瞬間、唐突に周りの景色が違うものになる。


「な、なんだ!?ここは?」


それは真っ白な空間。先ほど歩いていた場所とは違って、どこを見渡しても何もない。


『ここはヌシの精神と、ワシの神域を繋げた空間だ。』


誰もいない。なのに、頭に直接響いてくる声にカイルは困惑する。


『挨拶するのは初めてだな。カイル・バンディッド。ワシは山崩しタイラントだ。』


「‥‥!あんたが。」


『うむ。条件を満たしたからな。友のために周囲が敵となっても闘うとういうその意気、確かに届いた。』


「‥‥強くなれるのか?」


『ヌシがそれを望み、諦めないのであれば。』


「上等。」


『加護の位階は上がった。後はヌシの気持ち次第だ。』


「‥‥感謝します。タイラント様。」



その後の試合でカイルは、無尽蔵な回復力を持つ闘気を乱発し、暴れ回る。

1組に在籍する格上も倒していき、最終的な順位は学年で8位となった。







(こんなにも‥‥ひどいなんて。)


フィウルスの試合を見ていた、シャルルは涙を堪える。


(ダメですわ。わたくしにはまだ‥‥力も権力も足りない。)


姫といえど、わがままを通すことは難しい。それも、周りからよく思われていない、一個人を贔屓することは周囲に混乱をもたらす。


(もっと‥‥。もっと力をつけないと。待っててください、フィウルス。必ずわたくしが‥‥。)


己の友であり、ライバルとなる少年。そんな少年に降りかかる悪意をなくすためには、自らが強くならなければいけない。

シャルルは強く思う。




シャルル姫は、その圧倒的な力をもってして1年生のランキング戦で優勝をする。

だが、優勝を果たした彼女の顔は晴れやかではなかった。それは、これからの苦難を見据えて覚悟を決めた顔であった。

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