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『神殺し』の異世界転生    作者: ヤっちゃん
幼年期
16/78

第12話  学園



「詠唱魔法について、ですか?」


ハワード公爵家の庭で、フィウルスはアラナンに訊ねる。


「はい。他の魔法とどういった違いがあるのですか?」


「ふむ。わかりました。それでは説明いたしましょう。」


「詠唱魔法は、命令の文言と属性言語を唱えることで発動します。それぞれの属性言語はこうです。」


そう言って、庭の地面に文字を書く。


基本属性


火=ヴォルグ

水・氷=フィブル

風=シーフ

土=クラーク

雷=レグザ

光=リント

闇=ゼル


その他


時空間=デルト

重力=ディ・グラビ

回復=キュアー



「これらの属性言語と自分のしたいことをイメージしながら唱えることで、効果が発動します。例えば、人型を模して固まれ。(クラーク)


アラナンがそう唱えると、目の前の土が盛り上がって土人形が形成された。


「と、このようになります。詠唱魔法は自由度が高く効果も強力ですので、使いこなせるようになればあちこちの重鎮から声が掛かりますよ。」


「そんなに難しいものなんですか?」


「はい。特にイメージをしながら魔力を練り上げるのが難しいという人が多いですね。そして、欠点は詠唱に時間が必要なことですね。」


「なるほど。」


「はい。ですので、ほとんどの者は基本魔法を主に使われますね。あれは習得さえすれば、魔法名を唱えるだけで発動しますからね。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「いえいえ。またいつでも聞いてください。」



「あら、フィル。おはよう。」


アラナンと別れて庭を歩いてるとサファに会った。鍛錬の後なのだろう。少し息を切らして汗を流している。


「おはよう。サファおねーちゃん。鍛錬してたの?」


「ええ、ちょっとね。それにもうすぐ学園も再開するし。」


「学園?」


「そうよ。王立の学園に通ってるの。今は長期休暇だから家に戻ってるけど、授業が再開したらまた寮生活になるわ。フィルとも‥‥しばらく会えなくなっちゃうわね。」


「え、そうなの?」


「ハァ‥ハァ‥‥そんな捨てられた子犬のような目を‥‥ジュルリ。‥‥コホンッ。そ、そうなの!私も寂しいけれど、仕方ないの。」


「どんなことを教わるの?」


「んっと、そうね。基本的には魔法や闘気の扱いや。一般教養。それに戦術や戦闘訓練とかもするわね。」


「すごい。‥‥僕も学園に通えるのかな?」


「フィルが行きたいなら、お父様達は了承してくれると思うわよ。ちょうど、新入生の入学の時期だし‥‥。制服姿のフィル‥‥。ダメっ!鼻血が‥‥。」


「わかった!お父様達に聞いてみる!」


「う、うん。行ってらっしゃい。」


かなり不審な挙動をしていたサファだが、あいにく彼はそのことに一切気にせずに去っていった。


(学園か‥‥。独学では無理があるし、そこで色々学べれば‥‥!)








「ほう。学園に通いたいのか‥‥。」


早速ウォルス公爵に学園の話を持ち込むが、当の公爵は難しい顔をする。


「はい。ダメ‥‥でしょうか?」


「ダメという訳ではない。ただ、色々と事情がな‥‥。そうだな、先ずは学園について説明しよう。その学園はアスタルシア国が将来、国を担う者達を教育、訓練するために設立された。故に通う者はほとんどが貴族やその関係者になる。」


「はい。」


「そして問題になるのが、その貴族達だ。私達は特異な方で気にしないのだが、貴族は血筋を最も大事にしている。自分達こそが選ばれた存在だとな。だから、貴族以外の者達を見下している傾向にある。」


「それって‥‥もしかして」


「ああ。気づいたと思うが、フィウルスもその対象になるだろう。我がハワード公爵家の一員といっても、養子というのは他所から見れば庶民と変わらない。それに、『神呪』のこともある。だからフィウルスが学園に通うと、いらぬちょっかいをかけてくる者が現れるだろう。そして、そうなったとしても私達がどうこうすることは出来ないかもしれない。情けないが公爵家だとしても、貴族のほとんどが信じているその思想に、真っ向から逆らえる力はないんだ。すまないと思う。」


そう言ってウォルス公爵はフィウルスに対して深く頭を下げる。


「事情はわかりました。お父様が謝ることはありません。それに、自身に降りかかってくる火の粉は、自分で何とかします。周りからどのように扱われようと構いません。ですので、その学園に通わせて下さい。」


「ありがとう。‥‥そこまで覚悟があるのなら、わかった。行ってくるといい。必要な手続きはこちらで済ませておく。」


「‥‥!ありがとうございます!!」


「だが、約束してほしい。学園では、君の持つ『気』の力は使わないでくれるか?」


「何故でしょうか?」


「まだ未知の力まで使うとなると、悪目立ちしてしまう。それに、『神呪』を解除するためにも、少しの間抑圧された状態で調べてみたらどうかな?っと思ってな。」


「なるほど。確かにそうですね。わかりました!」


「もちろん、身の危険を感じたら全力で使用して構わない。あと、フィウルスはとても強い子だが‥‥辛くなったら、いつでも帰ってきていいからな?」


「はい!ありがとうございます!」


これより一ヶ月後、フィウルスは王立アスタルシア学園に入学することとなる。

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