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氷の城  作者: 壱百苑ライタ
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神父と教会

二、神父と教会


「…………おや、迷い込みましたか。分かりますよ、目を見れば分かる。とにかく一度こちらへいらっしゃい。そこの椅子に腰掛けるといい。何も不安になることはありません。神は必ずご加護を下さいます。貴方もさぞ熱心にお祈りされたのでしょう、こうして我らが父が貴方に御慈悲を下さったのですから、間違いありません。神は全ての子羊を見ておられます。そして全ての子羊に救済の手を差し伸べるのです。神とはそういうものですから、何も遠慮することはありません。それにしても、随分と悲しい目をしておられますね。お可哀相に、さぞ辛い目に合われたのでしょう。何もおっしゃらなくて結構、神は見ておられます。私はただ此処で貴方のように訪れた者を導く役割をしているだけです。貴方も直ぐにご案内いたしましょう。ですがご案内した先で私は何もお手伝いすることは出来ません。とにかく神に祈りなさい、と言いたいところですが、神の御慈悲も此処までで終わりです。ならどうしろって? いえいえ、それは私の口からは。そうだ、それでは最後にひとつだけ、とっておきの話をしてあげましょう。


遠い遠い場所で 永い永い時の中に建つ それはそれは美しい城

その城に導かれし 迷える子羊

子羊は彷徨い そしてやがて知るだろう

選び取る運命を決める為に


その城の名は――――


あぁ、時間がなくなってしまったかな。それではご案内致しましょう。そのような顔をしてはいけません。大丈夫、心配は無用です、さあとにかくこちらへいらっしゃい。今の貴方には時間がないけれど、大丈夫。ここでゆっくりとお休みになられるといい。その時間が貴方には与えられています。思う存分お休みになられてください。出来ればもう一度お会いする、なんて事にはならなければいいのですが。あぁ、いえ、こちらの話です。あまり喋りすぎると我らが父に叱られてしまいますね。それではこの扉からお行き下さい。心をしっかりとお持ちになって、真っ直ぐに道をお進みなさい。私も此処で貴方の為に祈りを捧げていますからね。


――――あぁどうか、吹雪が早く止みますことを」



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