表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

とある雨の日のお話part4

このお話は長すぎるので何話かに区切っております。


part1は朝掲載しております。

part2はお昼時に掲載しております。

part3はおやつどきに掲載しております。

part5は夕飯を食べてお風呂でも入ろうかな?ぐらいの時間に掲載します。


登場人物とあらすじ


主人公、佐藤剛さとうたけるはごくごく普通のサラリーマン。23歳


ヒロイン、三船咲みふねさきは17のピッチピチの高校生。ギャル


ある雨の日、傘を差して会社から最寄りの駅に向かって帰る途中だった。

だが雨足が強くなり始めたので早足で駅に向かうと大きな商社ビルの前で呼び止められる。

もう無視して晩御飯を作ろう。


「ねぇ!お兄さんの名前は?!」


「は?なんで教えなきゃいけないんだよ。」


「え?!あたしとお知り合いになるためじゃん!だから名前教えたのに?!」


「そもそもなるとも俺は言ってないし、名前だけ名乗るってのは失礼だと思わんのか?」


「え?ごめんなさい?じゃぁ改めて三船咲っていいます!」


「へ〜。じゃぁ三船さん。気が済んだのなら帰って頂けますか?」


「急に丁寧な言葉で返さないでよ!しかも、まだお兄さんの名前聞いてない!」


「なんで教えにゃならんのだ。」


「だぁ〜!さっきと平行線じゃん!」


「お〜、馬鹿なのに平行線って言葉の使い方は知ってるんだな。」


「お兄さんすっごい失礼!」


「なんとでも言え。ほら用が済んだんだろ?帰れよ。」


「済んでないよ?!」


「はぁ?お茶飲んで自己紹介するのが目的じゃないのか?」


「違うよ?!」


「じゃぁ一体なんの用なんだよ。早く帰ってくれよ。俺はこれから飯なんだよ。」


俺はナスを縦に四分割。

横に二分割。

ヘタは切り取って捨てる。


「あぁ!お兄さんが調理始めちゃった!」


「ん?帰る気になったか?!」


「そんなこと言ってないよ?!」


うぜぇ。


春雨は調理過程の中で自然と水分吸うので放置。


ナスを水につけてアク抜きをする。


まぁ今回は面倒臭いんで3分くらいしか水につけない。

まぁ本当はどれくらいつければいいか知らないだけなのだが。


そのまま底が深めのフライパンをコンロに置いて火をつけて温め始める。


「あ、これお兄さん話聞かないパターンだ。」


まだいたのか。

早く帰って欲しい。


フライパンを温めている間に麻婆のもとを袋から取り出しいつでも入れれるように準備する。

その頃にはナスのアク抜きを終わらせているので水をよく切り、油を敷いたフライパンにぶち込む。


「ちょっと?お兄さん?」


少ししたらひき肉をぶち込む。


ひき肉の色が変われば春雨と麻婆の元をこれでもかとぶち込んで勢いよく炒める。

最後にたまたま冷蔵庫にあったコチュジャンと食べるラー油を程々に入れたら後は皿に盛り付けて完成。


「ほら、あんたも食うんだろ。」


たまに泊まりに来る友達やお節介母ちゃんのおかげで食器には困らずギャルに使わせる食器もあった。


ギャルと俺の前にはよそいだホッカホカのご飯とこんもりと盛られた麻婆茄子春雨がある。


「いただきます。」


「い、いただきます。」


うん、久しぶりに作ったが旨いな。

茄子がこれでもか!?とぶっ込んであるおかげで水気が出てそれを上手い具合に春雨が吸ってくれてあまり水っぽくないしコチュジャンと食べるラー油のおかげで俺好みのいい辛さが出ていた。


「か、辛旨い!お兄さんこれ旨い!でも辛い!」


「それ食ったらちゃっちゃと帰れよ。」


「うん!………じゃな〜い!」


バンっとちゃぶ台をギャルが叩く。


「食事中に騒ぐんじゃねぇ!大人しく食え!」


「あ、はいスミマセン。」


おっと素で思わず切れてしまった。


二人して黙々と食べ続ける。


「ってだから違うくて」


次は怒られないようにするためかただ単に俺を睨みつけた。


「なんだ?俺の麻婆茄子春雨が食いたかったんじゃなかったのか?」


「そんな名前だったの?!って違う違う惑わされるな〜、あたし〜。」


何やらブツブツと言ってるが俺は無視して食事を続ける。


「だからなんで話を聞いてくれないの?!」


「お前が勝手に逸れていくだけだろう。」


「そんなことないもん!お兄さんが最初に話振ってくるから自然とそれるんだもん!?」


「ッチ。」


「舌打ち?!」


最初に話を振ることでその気にさせてたのになぜバレた。


「はぁ、ちゃんと話を聞いてやるからちゃっちゃと話せ。」


「うぐっ。さ、さっきも言ったけれどお礼を言いたかっただけ。」


「さっきも言ったが俺はお前に感謝されるようなことをした覚えはない。」


「したよ?」


「は?」


「傘貸してくれたじゃん。」


「あれはお前が貸せと俺に言ったからだろう。むしろ合法的にパクられたと俺は認識してたんだが?」


「ち、違うもん!ちゃんと返す気でいたし!」


「んで?話はそれだけか?」


「え?うん………」


「じゃぁその強奪した傘はお前にやるからちゃっちゃと帰れよ。」


「え?い、いや!ちょっと待って!待ってよ!」


「なんだよ?もう何もないんだろ?」


「え?う、ん、もうなにも、いやいやいや!ある!あるある!あるから待って!」


なんだよこいつ面倒臭いな。


「あるのかないのかはっきりしろよ。」


「あるある!あるから!」


「じゃぁはい。どうぞ。」


「あ、あたしと付き合わない?」


は?何言ってんのこいつ。


「ほら、いい病院紹介してやるから帰りな。」


「なんで病院紹介されるの?!」


そこからギャルは「いやいや!」と散々わめき散らし決して帰ろうとせず結局俺が折れた。


「はぁ。んで?なんで俺と付き合いたいんだ?どうせなんか変なもん食ったんだろ?」


「違うよ?!」


「取り敢えず喚くのをやめろ。」


「ア、ハイ。スミマセン。」


「んで?」


「で?って、あんなにあっさり傘を貸してくれたお兄さんに一目惚れしたから?」


「へぇ〜。それが本当ならウレシイナ。」


「最後の方棒読みになりながら携帯で110押さないで?!」


「詐欺でしょ?」


「違うから!?」


はぁ。

なんなんだこいつ。

疲れたわ。


「いきなり一目惚れです付き合ってくださいとか見も知らぬ女に言われてはい付き合いますと言うほど世間を知らない訳じゃない。」


「ホントだもん!信じてよ!」


「仮に傘を貸したぐらいで惚れられたとして、お前どうせ同じ手口で何度もおっさんから傘借りパクしてんだろ?」


「うぐ!あんまり否定出来ない………」


「そんな女がいきなり結婚してくださいとか詐欺だろ。」


「確かに!結婚は詐欺でしょうね!でも私が言ったのはお付き合い!」


「冗談だ。だが付き合うと言いつつ俺に何万もするシャネルのカバンとか要求するつもりだろ?」


「随分古典的?!」


「だが未だにあるのは事実だ。」


「うぐっ、そうだけども。」


「大体なんで俺なんだ?自分で言ってなんだがそこまでカッコイイとも思わないしな。お前みたいなギャルが好きそうな優男風チャラ男やいかにも遊んでますみたいな男のようにも見えんだろ。」


「うんそうだね。」


こいつ!


握った拳を無理やり振りほどいて心を落ち着かせる。


「なんていうかさ、こんな身なりのせいか貸してくれる人がいたりしたけど代わりに抱かせてくれとか体を要求してきたりする人はいたけどお兄さんみたいにスッと渡してそのまま帰る人なんていなかったからさ。」


やべぇ、この子やばい子だ。


「そんな優しさをもらったことないから嬉しくて。」


「はぁ。………それは気のせいだ。」


「気のせいなんかじゃないもん!」


「お前、親にも優しくされたことがないんだな。」


「ッ!?」


「図星だな。ならそれは気のせいだ。気の迷いだ。家に帰ってゆっくり考え直せ。」


「………帰んないもん。」


「帰って1日考え直してこい。」


「帰んないもん!気のせいじゃないもん!本気だもん!」


それは違う。


確実に気の迷いだ。


親に構われたくて、優しくされたくて、だから反抗する。


だから飽きられて見放される。


だから余計に構われたくて、優しくされたくてエスカレートする。


結局ドブに足を突っ込んで抜けられなくなった可哀想なネズミだ。


そこに優しくすくい上げたのがたまたま俺だっただけだ。


それは恋じゃない。

ひねくれた感謝だ。


今まで親に反抗していたんだから感謝もしたこと無いのだろう。


だから優しくされると好きになる。

なったと思い込む。


そんなのは恋じゃない。


それなら俺も突き放せばこいつは目の前から消えるだろう。


「お前のように遊んでる女と付き合うつもりは無い。」


「――――だもん。」


「は?」


「処女だもん!遊んでなんか無いもん!」


そういうと彼女は泣き出してしまった。


だが、なら余計に俺は付き合うつもりはない。


「見た目で判断したのは悪かったがそれでもお前と付き合うつもりは無い。」


「な、なんで。」


「俺とお前は赤の他人だからだ。」


「ッ!?」


「俺はお前の名前を教えてもらったがお前を名前で呼んではいない。」


「ならよーーー」


「呼んでも一緒だ。お前は俺の名前を知らない。」


泣きじゃくるギャルは泣いて腫れた目を見開き俺を見た。


そこからじわっとギャルの目から涙が溢れ出てくる。


「そして、今のお前に俺の名前を教えるつもりは無い。だから帰れ。」


「い、嫌。」


「嫌じゃねぇよ。」


非情だろうがこれもギャルのためだろう。


「嫌。どうしたら名前をーー」


「今のお前に教えない。教えることが出来ない。するつもりもない。」


ここまで言ってもこいつは動こうとはしない。


ギャルがここまで帰らない意味はなんだ?


まさか本当に俺のことが好きだとでも言うのか?


ならそれを証明してみせろ。


「ここまで言っても帰らないのは何故だ?」


「ひぐっ、お、お兄さんの事が好きだから。」


「ならそれを証明してみせろ。」


「しょ、証明?」


「あぁ、証明だ。」


「どうやって?」


泣きじゃくり腫れぼったい眼で俺に先を問いかける。


「本当はそれこそ考えろと言いたいがそれじゃ流石に可哀想だろう。だからいくつか課題を出す。」


「課題………」


「そう課題だ。」


☆★☆★☆★☆★☆★


1つ、家族と和解せよ。


1つ、更生せよ。


1つ、自分を磨け。


☆★☆★☆★☆★☆★


「以上3つだ。」


「ぐす!質問いいでしゅか!」


まだ泣き顔だが少しはマシになったようで手を挙げて俺に質問してくる。


「許可する。」


「家族と和解とはどうすれば!」


「そんなもんしらん!定義だけは決めてやる。お前の父親と母親に俺を後腐れないように紹介して見せろ。つまり1番大事で1番最後になるような課題である事が分かっただろう。」


「わかりました!次の質問!」


「許す。」


「更生しろとは?」


「分かりきってるだろう。見た目と教養だ。」


「見た目と教養………」


「これくらい明日からなら出来るだろう?」


それを聞いたギャルははい!っと元気よく答えた。


「最後の質問!自分を磨けとは?」


「結局全部質問かい。まぁいい。これは永遠に達成は出来ないだろう。だから答えは教えてやる。答えはない。」


「教えてくれるって言ったのに答えがないって。」


「そのままの意味だ。自分磨きに限界はないからな。1つだけアドバイスだ。努力せよ。」


「それはわかったけど最後の達成できないんなら一生このままじゃん!」


「あぁ、だから最後だけは特別だ。他の二つをクリアして最後の課題を、自分を磨き続ける限りお前の傍に居てやる。」


その言葉を聞いたギャルは顔をふせおもむろに立ち上がり「わかった。頑張る」と一言だけ残して早足で帰っていった。


やっぱり最後のセリフはクサすぎたか?


結構かっこいいと思ってたんだが。


その思いを証明するかのように今日から3週間ほど俺の目の前に姿を表すことはなかった。


本編に関係あるようで無さそうなお話。


急いで帰った咲の心の中は興奮で一杯だった。


(カッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコイイカッコよすぎるよお兄さん!私!頑張る!まずはお兄さんの名前を教えてもらえるように!とりあえずはあいつとあいつは縁を切らないと!)



彼女の佐藤剛攻略計画が今始まる!




若干ヤンデレ感強いような気がしますがまだ続きますw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ