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とある雨の日のお話part3

このお話は長すぎるので何話かに区切っております。


part1は朝掲載しております。

part2はお昼時に掲載しております。

part4は夕方、社会人の人たちが終業する時間帯に掲載予定です。


登場人物とあらすじ


主人公、佐藤剛さとうたけるはごくごく普通のサラリーマン。23歳


ヒロイン、三船咲みふねさきは17のピッチピチの高校生。ギャル


ある雨の日、傘を差して会社から最寄りの駅に向かって帰る途中だった。

だが雨足が強くなり始めたので早足で駅に向かうと大きな商社ビルの前で呼び止められる。

意外に脚の早かったギャルに捕まりつつも騙して逃げ切った翌日。


流石に営業とはいえ社会人になって運動量が落ちているため二日連続の全力疾走は足にきているのか今日は筋肉痛で動けなかった。


だが家には食材がないので仕方なしによく行く最寄りのスーパーに向かう。


今晩は何にしようかと膝をガクガクと震わせながら食材を選んでいると特売でナスが売っていたのでナスで何か作ろうと手を伸ばすと同じようにナスに手を伸ばした人がいて反射的に動きが止まってその人の顔を見ると3日連続で鬼ごっこをしたギャルが昨日とは違ったラフなそれこそフワっとした清潔感ある服装をしていた。


ただし金髪が全てをダメにしていたのだが。


俺は驚き半分筋肉痛半分のせいで動きが止まり、その次をついてギャルは俺の腕をガシッと掴んできた。


掴むというかもう組んでるなこれ。


「こんなところで偶然だけど今日こそは逃がさないからね。お兄さん♪」


筋肉痛の俺に為す術は何一つなかった。


「あぁもう降参だ。逃げないから取り敢えず離してくれ。」


「昨日もそんな事言って逃げたじゃん!」


「今日は逃げない、というか逃げられないから安心しろ。」


「どゆこと?」


「俺の足を見てみろ。」


今なおガクガクと筋肉痛のせいで震えている足がそこにあった。


「………あたしにびひってんの?」


「違うわバカ。」


「じゃぁトイレ?」


「それなら率直に言うわ。」


「じゃぁ何なの?」


「お前とと競争したせいで筋肉痛なんだよ。歩くのが精一杯だ。」


「あ、そゆこと。」


納得してくれたのか俺の腕を離してくれた。


というかこいつ意外と着痩せするタイプなんだな。


そんな男の性を理解してるか知らんのか腕は離したが代わりに右手首を掴んできた。


「でも万が一もあるから。」


「はぁ、わかったから買い物の邪魔だけはしないでくれ。」


「わかった。」


その後もナスを籠に入れてマーボ茄子を作ろうと思い豆腐やオリジナルで春雨を入れてみようと思いながらも揃えていく。


ギャルも俺の腕を掴みつつ籠を器用に手首に持っていき食材を籠に入れていく。


そんなに手間かけるなら手を離して入れればいいのに。


その後もレジを通る時も俺が精算し終わったのにも関わらずギャルの精算が終わるまで待たされた。


その際にその手を見て微笑ましくレジのオバチャンが見ていた。

まじその目は止めてくれ。


結局、手が離れたのは精算が終わって買い物袋に物を入れている時だけだった。(ただし横にピッタリと寄り添い終わるまでじっと俺を見ていた。その時のサービスカウンターのオバチャンの微笑ましい物を見た目はマジで何度でも言うが勘弁)


「お前、取り敢えずその荷物家に置いてこい。」


「え?でもお兄さん逃げるじゃん。」


「もう逃げられないって言ってんだろ。」


「信用ならん!」


俺はハァとため息を付きながら左を指さす。


「俺の家はこの先まっすぐ行ったところにある。今の俺なら20分くらい歩かないと帰れないからその間に帰ってこい。」


ギャルはムスッとした顔をしながら「わかった」と一言だけ言って近くに置いてあった自転車に乗って帰っていく。

というか自転車あんのかよ。

俺も買おうかなぁ。


「はぁ、何なんだ全く。」


俺はギャルに教えた左の道を膝をガクガクいわせながらゆっくりと歩いて帰る。


10分くらい歩いてスーパーと自宅のちょうど間くらいの所で後ろから自転車を漕ぐ音が聞こえてきた。


考えたくはないがギャルが追いついてきたのだろう。

というかいくら自転車でもここまで来るの早いな。


「やっと追いついた!」


「やっとってまだ10分だぞ。」


「お兄さんにまた嘘つかれてるかも知れないじゃん。」


「つかないよ。もう逃げきれないし、メリットもない。」


「メリット?」


「シャンプーじゃないぞ?」


「し、知ってるし!あれでしょ?!あれ!」


そのあれ(・・)を教えてくれよ。


「あの〜、あれだよね。」


「なんだよ。分からないなら分からないと言え。」


「はい、ごめんなさい。わかりません。」


「自分にとって好都合な事を大体メリットと言う。逆に不都合なことをデメリットってな感じだ。本当の使い方として合ってるかは知らんがな。」


「へ〜。お兄さん物知りだね?」


「世の中の常識。」


「へ?」


「え?」


沈黙が2人を包むが俺は無視して歩き出す。


するとギャルも「ちょ、ちょっと待ってよ!」と言いながらやはり付いてくる。


すごいめんどくさい。

結局こいつは何がしたいんだ?


程となくして俺の家に着いた。


家と言っても家賃月3万の風呂トイレ別で何故かウォシュレット付きのおんぼろ二階建てアパートだ。


ちなみに一階の端。


ウォシュレットは前の人が付けてめんどくさくてそのまま放ったらかしにしたかららしい。


まぁ地味に高いしついてるのならいいんだけど。


家賃3万の秘密は見た目以上に昔に作られたアパートだからだ。


何でも築50年は超えているらしい。


それと何故かは知らないが周りは遮音壁を使っておりどれだけ大声を出しても隣には漏れない癖に二階の歩く振動や男が住んでるみたいなのだが時々彼女が来るようでギシギシと天井が揺れる。


最初はただ暴れてるだけかと思ったんだがやってると確信したのが布団を干している時に二階の窓が全開だったらしく男と女の息の乱れた激しい声が聴こえていたからである。


人間の慣れとは恐ろしいもので今では2階が五月蝿くても朝まで寝ることが出来る。


というか今更思うのが何故築50年のボロアパートの壁に遮音壁が付いているのかそして50年前の遮音壁が立派に役割を果たせてる仕組みとは何なのか、そもそも50年前に遮音壁あったのか?という疑問が多々残るが安いので気にしない。


ともあれ謎の遮音壁に囲まれたおんぼろアパートの俺の部屋にギャルが入ってきた。


まず思ったのが無防備にも可愛い年頃の女の子がそんな簡単に男の一人暮らしのしかも音漏れの心配がない部屋にすんなりと普通入りますかね?


語呂にしたら飛んだ犯罪者だな俺………


………まぁ何もする気は無いけど、俺、捕まらないよな?


「すっごいボロいアパートだね!」


「築50年らしいからな。」


「へ〜。」


何に感心したのかはわからないしそもそも勝手に上がって冬はこたつに大変身するいまどき珍しい丸ちゃぶ台の俺の特等席に堂々と座らないで貰えますかね?


ちなみに今は10月でそろそろ出すことも考えないとなぁな時期である。


早々に帰ってもらいたいが客として来た人間にお茶の一つも出さないようなカスではないので緑茶を沸かして出しとく。


いくら客とは言えこいつに玉露は出さん。


「粗茶ですが。」


本当に粗茶だが。


「こりゃどうもご丁寧に………コーヒーが良かったな。」


こいつ、出してもらった物にケチつけやがったぞ。

まぁ粗茶なんだが。


「残念だが俺はコーヒーが飲めないからこの家にはないぞ。」


「え?コーヒー飲めないの?うっわこっども〜。」


こいつ、殴り飛ばしてやろうか。


「なんとでも言え。それより俺に何のようだ。」


「何のようって、う〜ん。取り敢えずありがとう?」


何を言ってんだコイツ?


「お前に俺は何もした覚えはないぞ?」


「え?」


「ん?」


いや、そんなびっくりした目で見られてもコイツに感謝される様なことをした覚えは一切ないぞ。


「人違いじゃないのか?」


「いやいやいや!お兄さんで間違いないし!」


「ボク、ギャルノトモダチ、イナイ」


「なぜに片言?!それに知らない仲じゃ無いじゃん!」


「いや、俺、お前、赤の他人。」


「酷い!」


こいつ本当に何言ってんだ?


「いや酷いも何も間違ってはないだろう。」


「うっ、否定出来ない……」


「何だ?分かってるけど分かりたくないのか?アホなのか?病院行くか?」


「何で病院?!」


「馬鹿に効く薬はないがアホに効く薬はあるかも知れないじゃないか。」


「え?!あんの?!」


「あるか馬鹿。」


「うわぁぁぁぁぁぁん!」


泣いてしまったが無視しておこう。


さて今晩は久しぶりに自炊だな。

腕がなるな。


「あたし完全に無視されてる!」


取り敢えず早く出てってくれないかな。


「ねぇ無視しないでぇ!」


ギャルは俺の腰に縋り付き構ってと揺らしてくる。

正直ウゼェ。


「お前に構ってやる暇なんてない。俺は今から飯なんだよ。」


「ご飯?!何?!お兄さんの手作りなの?!あ、もしかして作ってくれる彼女居ないのぉ〜?」


プププッと口に手を当てて笑うギャルを思いっきりぶん殴りてぇ。


殴っていいですか?良いですよね?殴りますよ?

え?ダメ?女の子を殴るのはよした方がいい?

くっ!俺の天使が耳で囁きやがる!


「でも自炊できるなんて凄いね!女子力高い!」


「自炊できるのを女の子特権みたいに言うんじゃねぇよ。こういうのは女子力じゃなくて生活力って言うんだよ。」


「え?ほんとに?」


「というかむしろ何で知らないんだよ。」


「わかりません!」


「開き直るな!」


「でも凄いね!料理できるなんてカッコイイ!」


「これくらい普通だ。何も考えずレシピ通りに作れば美味しく出来上がる。」


「え?」


「え?じゃねぇよ。お前料理できないのか?」


「えっとぉ………はい。できません。」


「はぁ、今からでも親の手伝いして料理出来るようになっとくんだな。」


「料理作れるようになったらお兄さん食べてくれる?」


何言ってんだこいつ?


「食うわけねぇだろ。お前は俺の彼女か?そもそも、赤の他人だっつってんだろうよ。」


「え〜。なんでよ!じゃぁ!なんで赤の他人を家に連れ込んでんのさ!」


「お前が勝手に入ってきたんだろうが!」


「む〜!じゃぁどうやったら知り合いになれるの?!」


「そんなもんお互いが自己紹介してよろしくお願いしますからだろうが。」


「あたし、咲っていいます!夜露死苦!」


「サムズアップしながらカッコよく決めた気になるんじゃねえよ!」


もうやだこいつ。

超殴りたい………


まだ続くんですよねぇ。

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