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とある雨の日のお話part1

このお話は長すぎるので何話かに区切っております。


part2はお昼頃に掲載予定です。


登場人物とあらすじ


主人公、佐藤剛さとうたけるはごくごく普通のサラリーマン。23歳


ヒロイン、三船咲みふねさきは17のピッチピチの高校生。ギャル


ある雨の日、傘を差して会社から最寄りの駅に向かって帰る途中だった。

だが雨足が強くなり始めたので早足で駅に向かうと大きな商社ビルの前で呼び止められる。


高卒でとある営業の商社に入社した俺は3ヶ月の研修を終えてあくせくと働き今年で5年目を迎える。

流石に5年もやれば顔見知りのお客さんやお得意先が少なからず出来てきて少しずつではあるが営業成績も伸びてきている。

会社も仕事自体はハードではあるが成績次第で高卒とは思えないほどの給料を貰えることもあった。

上司も頼りがいがあり先輩方も苦手な人はいるがイジメもなく、彼女も居ないことが幸いなのか不幸なのか飲みに連れていってもらい奢ってもらったりしている。


そうそう、5年目にもなると流石に後輩の面倒を見ないといけなくなっては来ている。


今見ているのが去年入社してきた俺と同じ高卒の竹田君。


現在二年目の彼だがやはりまだ新人気分が抜けないというか経験が足りないのか、お得意先や社内でやらかす時がある。


今のところ大きなミスは無いもののこれ以上続くといずれ大きなミスをしてしまうかもしれない。


大きなミスをするのも経験だと上司は言う。

俺も同じ意見だ。

だが起きないことに越したことは無い。


まぁそんなことは後回しだ。


今日は珍しく残業もなく家に帰れる日だった。

生憎の雨だが………

残業代は出してくれるいい会社だがやはりないに越したことは無い。


上司は残業で飲みにも行かないし、後輩の竹田くんは彼女がいるらしく、今日は飲みデートらしい。


先輩方も上司の残業に付き合うらしい。


ちなみに何故俺が手伝わなかったというと、最近残業ばかりで帰るのが毎日遅く、上司が気を利かしてくれたからである。


なので今日は大人しく家に帰り、明日からまた仕事を頑張ろうと思う。

まぁ帰っても雨だから何もしたくないだけなのだが。


洗濯物は今日が雨だということで昨日のうちに全て済ませているし布団も昨日干してある。


部屋の掃除も殆ど返って寝るだけの生活の為かホコリが溜まっていた程度なので軽く掃除機をかけるだけだ。


ゴミの今日の朝に出していたし、帰ってやることは本当にない。


「ちょっと、そこのおじさん。」


まぁ帰ってからやることは考えよう。


「ちょっと。あんただよおじさん。」


とりあえずは夕飯を家の近くのスーパーで買うことにしよう。


「無視すんなよおじさん!」


どうやらおじさんは俺らしく肩を捕まれ声の主の方へと体を向かされた。


するとそこには顔は軽めではあるが化粧を施し、頭を金髪に染め上げデコを晒すようにおでこの真上で髪の毛をまとめ、後ろに流し、手の爪をガッツリネイルを施し、この辺の高校の制服だろうか?を着たまさに「ギャル!」そのものが商社ビルの玄関の屋根下から俺に声をかけていた。


うむ、だがしかし素材がいいのか軽めの化粧でも充分可愛いと思うが、何故ギャル?


「オジサン、あんましジロジロ見ないで欲しいんだけど。」


「あぁ、すまん。とりあえず俺は23だからおじさんってのをまずやめてくれ。話はそれからだ。」


「え゛?23?マジで?!じゃぁお兄さんか。」


「そういうことだ。で?俺に何のようだ?お前みたいなギャルの知り合いは居ないんだが。」


「うん、あたしも社会人のお兄さんに知り合いは居ないね。」


「………早く帰りたいんだが?」


「あ、ごめんごめん。」


何なんだこいつは?

もしかして見た目通り遊んでるのか?

俺にそんな趣味はないぞ。


それにギャルには興味無い。


「それで本題なんだけど、その傘貸して?」


「ほい。」


俺は差していたビニール傘をそのまま彼女に渡す。


「え?」


「用はそれだけか?じゃぁな。」


俺は手に持っていたカバンの中から予備の折りたたみ傘を取り出し、そのまま差して駅に向かおうとする。


「ちょちょちょ!いいわけ?!そんな簡単に渡して?!」


「傘なくて困ってんだろ?」


「そりゃそうだけどさ。でも返す保証もないんだよ?」


「そうだな。」


「なら何でそんな簡単に?」


「困ってる人がいるなら助けるのが当然だろう。じゃぁな。」


俺はポカンと口を開けた中々可愛かったギャルを放置して駅に向かった。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


翌日の金曜日、会社に向かうと昨日からずっと残業をやっていたようで上司と先輩方が死にそうな顔していた。


それを見かねたのか社長が上司たちに特別休暇を今日1日出したらしく、今にも死にそうな顔で帰っていったのを見送って竹田くんと共に今日の業務を開始した。


徹夜で仕事をしていたのは部長と6年目以降の敏腕の人たちがやっていたので残っているのは手伝っていなかった残りの社員と役職クラスの人達、事務担当の人達だけだ。


この会社以外と大きいのに社長も半分いかないとはいえ1/3の人間を休ませるとは大胆なことをする。


それにそこまでの人間が必要な残業ってのも中々大きな商談だったのだろう。


規模が想像つかない。


まぁそんな人数の関係あってか社長から直々に今日は外回りも軽く済ませて早めに帰ってきて定時に帰りなさいとのお言葉を貰えたので竹田君とお得意先を二、三件回って今進んでる契約や新たな商談の話をいくつかして早々に会社に戻った。


社長のお言葉通りに俺は早めに帰宅することにした。


竹田君と飲みに行こうとも思ったのだが「すみません、昨日彼女、飲み過ぎちゃいまして。二日酔いでフラフラしてると思うので今日はご遠慮させて貰います。」と今にも土下座しそうな勢いで謝られて流石に無理に連れていくのは躊躇われた。


なので今日は独りで部屋で酒盛りでもしてやろうと思っていると昨日ギャルが喋りかけて来たビルの前を通り過ぎようとすれば何故かまた玄関の屋根下でそのギャルが待っていたのでフル無視して駅に向かう。


「あ、お兄さん!」


声をかけられた気がしたが俺にギャルの知り合いは居ないので無視して少し早めに歩く。


「ちょちょちょちょ!どこいくのお兄さん!」


このまま捕まっては確実に面倒になるので走り出そうとする所でギャルに捕まった。


「お兄さん、酷いよ!なんで逃げんの?」


「僕、ギャルの知り合い、居ない。」


「何その喋り方!」


「取り敢えず離してくれないか?大事なスーツが伸びる。」


「あ、ごめんなさい。」


ギャルがスーツを離したのを見計らい全力で走って駅まで逃げる。


後ろで「あ!卑怯モン!逃げんな!」と罵声を浴びせられた気がしないでもないが俺は何も悪いことはしてないし面倒な事に巻き込まれたくないので全力で逃げることにする。


にしても今日は髪を下ろしてたな………



この話はまだ続きます。

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