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我らは過去を食らう猫(モノ)  作者: 実音(みおん)
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カイヤ=エスポワールの過去2

ミヴェルと再会してから、半年が経った。


今日のミヴェルは男性の方だった。俺が快く会話ができる状態。その理由は異性だと思春期なのか変に緊張するから、そして…


(こっちの方が、話しやすいっていうか…、女性時は、話が合わない…)


男性時のミヴェルは、いつも通りの感じで自分の事もいいつつ、他人の事も尊重していた。それも均等に。時々腹が立つ言動も幾つかあり、軽く喧嘩したこともあったが、それを含めていつも通りだった。


だが、女性時のミヴェルは、どこか接し辛い。男性時のミヴェルの時のように上手いこと会話が出来ないのだ。思春期だからでもあるが、別の理由がある。


女性時のミヴェルは、エイヴァばかりを見ている。


『ミヴェルがエイヴァの事を思ってるのは弟想いでいいと思うけどさぁ、他の話題はないのか?』


以前キッパリとそう女性時のミヴェルに言った事がある。だがその時のミヴェルは不機嫌そうな顔をし、


『別にいいじゃないか。あとエイヴァは私の妹だ。エイヴァは本当に可愛らしい…愛おしいぐらいに…』


と言われた。


何と無くだが、男性時のミヴェルと女性時のミヴェルで何かが違うと思っていた。


だがどちらも同一人物、しかも「両性」の種族だから多分男女で多少の価値観の見分け方にも違いがあるのだろう。そして、あいつの所為でもあると、自分で自分を納得させた。


今思うと、結構な後悔だと思う。









カイヤとミヴェルが初めて出会ったのは、カイヤがまだ幼い時だった。


小さい頃、誕生日を迎えた時、プレゼントは何が良い?と聞かれて「友達が欲しい」と無茶な願いを言った。家の近くには誰も住んでおらず、子供もいない。だから強制的に友達がいなかった。その生活に少し呆れていたのもあってか、両親に無茶なお願いをしたのだ。


数日後、父親が自分より小さい少年を連れて帰ってきた。養子として迎え入れたらしい。その少年が、ミヴェル=ソワールだった。ミヴェルはミヴェルの小さい兄弟…エイヴァと共に来たのだが、エイヴァと会うのはもう少し先だった。ミヴェルも、週に何日か、自分も入ったことのない自分の父親の研究室に行っていた。


カイヤが父親を疑い始めたのは、つい最近の事。クロヤが来た事と、何度か叱られに父親の書斎に入った時、「両性」にまつわる書きかけの資料を発見したことにより、ミヴェルとエイヴァが研究室に連れて行かれた理由は理解出来たのだが、まだ納得がいかない。


元々父親の事は好きでは無いのだが、それとは違う意味で父親を信じていない。


資料が完成した後も、なぜミヴェルとエイヴァを研究室に連れていった?


カイヤがミヴェルの異変に気付き始めたのと同時期に、カイヤはもう一つの異変に気付いていた。


ミヴェルがエイヴァの話をする時…それ以外にも、感情の変化が激しい時、風が吹き、雨が降る。


それはまるで「風猫(ふうびょう)」や「水猫(すいびょう)」の特徴と似ていて…それ系統の種族かと思ったが、ミヴェルは「両性」の種族だ。血族型は一人につき一つしかないと昔本で読んだ事がある。明らかにミヴェルはおかしい。


だからカイヤは、父親を疑っている。父親がミヴェルに何か手を出して、ミヴェルがこうなってしまったと思っている。ミヴェルの男女間での性格の異変も、父親のせいだと、その時は思い込んでいた。












カイヤがミヴェルの異変に気付き始めて数日後、カイヤは父親に呼ばれた。


用はいつものお説教だ。門限を守らなかった。カイヤは自分でも深く反省はしている。


端的にまとめられたお説教を受け、部屋から出て行こうとした時、カイヤの父親は「待て」といいカイヤの方を見た。なんだよっと、父親を睨みつける。


「…お前は、希少種猫に憧れたりとか、した事はあるか?」


瞬間、胸が痛んだ。実際、希少種猫の事が載ってある本を見たり、ミヴェルやエイヴァを見て憧れていた。だが自分は何の希少種猫でも無い。何の能力も持っていない。だからこそ、希少種猫の能力に憧れていたのだ。


「まあ…憧れてるけど…諦めてる。俺はただの猫だから、希少種猫に憧れててもキリがねーだろ?」


「…そうか」


そう言い資料に目を通し始めた。なんだったんだと少々腹を立て、そしてまだ胸に残るモヤモヤを残しながら、何と無く父親の書斎を眺めた。


本棚が何個か置いてあり、本が綺麗に整理されている。父親の几帳面な一面が分かる。本の内容は全て希少種猫に関するもの。それがカイヤの胸をより一層締め付けた。


「…親父は、この仕事をして希少種猫に憧れたりしねーのか…?」


こんな質問する気は無かったのだが、自然と口に出してしまっていた。


カイヤの父親は少し驚いた様子で、そして若干待っていたかと言うような笑みを浮かべ、カイヤを見た。


「…憧れているから、この仕事を選んだんだ。そして、もうすぐ理想は現実となる…」


「…?」


カイヤが首を傾げるとカイヤの父親は咳払いをして何事もなかったかのように無表情でカイヤを睨んだ。


「さっさと出て行け。仕事の邪魔だ」


イラっと来て「そうですかわかりましたー」と怒り露わにそう吐き捨て、部屋を出た。


カイヤは、父親が嫌いだ。


この会話によって、父親の疑いがより一層強くなった。


『理想は現実になる』


その言葉が引っかかり、ミヴェルとエイヴァの無事を願った。


…その時は、自分の身体の変化に気付かなかった。












今日は珍しく、男性時のミヴェルだった。


最近では女性時のミヴェルの方が多く、男性時のミヴェルに会っていなかった。


久しぶりに来た遠慮なく話し合えるミヴェル。いつもよりワクワクしていた。


だが、ミヴェルからの話は、意外なものだった。


「…エイヴァを、助けたい」


唐突にそう語ったミヴェルに、カイヤは目を丸くした。


「助けたいって…お前幸せなんじゃないのか?毎日楽しそうで…電話越しに聞こえるエイヴァの声も、辛いようには聞こえなかったぜ?」


そう言うと、ミヴェルは暗い顔をした。耳にかけていた髪が一房、垂れ下がる。


「…それは、女性時の時の話…。僕が助けたいのは、男性時のエイヴァだ」


意味が理解出来なかった。まるで二人のエイヴァがいるかのように話をする。どういう状況か分からなかった。


「はあ?意味がわかんねーぜ。エイヴァはエイヴァだろ?」


「…男性時と女性時で、性格が違うんだ。普通の両性なら、男女とも同じ性格なんだけど…エイヴァは違う…」


「ちゃんと説明してくれ!俺にも分かるように!」


頭がついてこなかった。でも何と無く、分かる気がした。


それはエイヴァだけじゃない。ミヴェルもなっている…。


「…ガディ=ジュエは、快く僕たちを受け入れてくれたよ。…女性としてね。女性時の時だけ、機嫌が良いんだ。ジュエ氏は写真家だ。ジュエ氏は、女性の撮影材料が…美しい人形が欲しかったらしい。だから僕とエイヴァを養子として迎え入れた。けど……」


そこまで言うと、黙りこくってしまった。


だがカイヤは、エイヴァを危害を与えているのはガディ=ジュエではなく、また別の人物であると考えていた。


「…親父め…エイヴァにまで手ェ加えてたのかよ…」


「…何のことだい…?カイヤのお父さんは関係ないだろ?」


ミヴェルは何を言っているのかと首を傾げている。


あいつの所為で、お前やエイヴァが不幸になってると信じ込んでいる。この世界はまだ白い。ガディ=ジュエだっていい奴なんだろ?ただ考え方の問題で、そう思ってしまっているだけなんだろ?ミヴェルとエイヴァの性格が変わったのも、ミヴェルのあの風や雨も、親父が何かしたからに決まっている!


「…お前が感情を動かすたび、風や雨が舞起こる。エイヴァじゃなくて、お前も変わってしまっている…。お前も女性時と男性時で性格が違うんだ!それは全て、俺の親父のせい…!親父が悪い!」


そう怒鳴るとミヴェルは目を丸くして、そして顔が暗くなった。


「…カイヤのお父さんばかりに責任を押したらいけないよ…。確かに、僕も薄々感づいてた。性格が違うという事や、この風なんかも」


そう言うと、手を差し伸べてきた。握手するのか?と思ってカイヤも手を差し伸べると、ミヴェルの手を触ろうとした瞬間にミヴェルから風が渦巻いて抵抗した。


目を見開いて状況を見ていると、ミヴェルはため息を吐いた。


「随分と話が脱線したね…。…今度、僕の家に来てみて。丁度2日後、撮影会がある。…その時の僕は女性時だと思うけど、…わざと男性になってみせる。そしたらさ、僕とエイヴァの事、そしてガディ=ジュエ氏の事が分かるからさ、…人形じゃない事を証明するから」


そう言いミヴェルは下を向いた。


カイヤはまだ自分の父親が悪いと信じ込んでいたが、ミヴェルとエイヴァの身に起こっている事を、目で確認したくなった。












2日後、空は晴天だ。


ミヴェルの家に行ってみると、ガヤガヤと人が集まっていた。


看板を見る限り、今日は一般公開の日らしい。


「へえ、ガディ=ジュエって有名になって来てんだなぁ…」


カイヤの父親によると、ガディ=ジュエはまだ名が知られていない写真家と言っていた。看板に『写真界の新星!人形を美しくリアルに写す魔法使い』と大げさな表現で書かれていた。新星ということは、つい最近に注目され始めたのだろう。


そして、その文章の中の『人形』という語に、カイヤは目を惹かれた。


ミヴェルが言っていた「人形じゃない事を証明するから」の言葉の真意と関係があるのか…?


「…とにかく、ミヴェルを探さねーと」


そう独り言を言い、人混みの溢れる方へ入っていった。





人混みをかき分けて、顔を覗かすと、いつの間にか家の中だった。ある部屋の前でテープが張られ、足止めされている。


部屋の内部を確認する事が出来たのでしてみると、その部屋は黒を基調とした洋風なデザインで、壁には猫や船などの絵が飾られている。そして、中央には黒いドレスに身を包み大きい椅子に座った人間のサイズの少女の人形が…


「…あれって、ミヴェルじゃねーか…!何であんなとこに…!あの格好は!?」


ミヴェルに声をかけようと思ったが再び人混みに埋もれてしまった。さっきより人が増えている。


すると、部屋の奥からカメラを持ってある男性が出てきた。


人々はザワザワと騒音を立てる。


「お静かに願います」カメラを持った男性が言った。静かになる。


「…ジュエ氏も有名になったものだなぁ」


「撮影する所を人々に見せるなんてよほどの自信の持ち主だ」


「これは期待出来る…」


ボソボソとそんな賞賛の声が耳に入ってきた。カメラを持った男性…ガディ=ジュエはそんな期待に浸り埋もれることなくカメラを人形に向けている。


しばしのシャッター音、人々は「ほう…」と納得しながらガディ=ジュエの方を見ている。


「美しい人形だ…」


「まるで生きているみたいだ、よく手に入れる事ができたな…」


とカイヤの後ろの方で話すのが聞こえた。


違う…何故皆人形って言うんだ?頭がおかしいのか…?


それは人形じゃない…ちゃんと生きてる…


ミヴェルは…人形なんかじゃない…!


「ミヴェル!!」


思わず叫んでしまった。人々の目線がカイヤの方に向く。だかその目線など気にしない。カイヤはミヴェルの方を見ていた。


ミヴェルは無機質な表情をしていたが、カイヤの声が聞こえたのか、無機質な表情が現実的に、そして優しく微笑んだ。


その瞬間、シャッター音が鳴る。


「…終わりました。今日はこれで終了致します。皆様お集まり頂きありがとうございます」


ガディ=ジュエの声で人々から向けられていた目線が離れた。


人々が帰っていく。賞賛の声を上げながら。写真は後日公開されるという。


この撮影会にどんな意味があるのか、写真家でも芸術面の才能もないカイヤには分からなかったが、人々は満足したようだ。


人々が帰った後も、カイヤはミヴェルの家の陰に隠れていた。ミヴェルに会うために。


だが、ミヴェルがガディ=ジュエに連れられ別の部屋に入ってしまったきり、出てこない。もう2時間ぐらいは待ち続けているだろう。


門限の時間が迫る。だが、カイヤは諦めようとはしなかった。


門限まであと10分の所で、部屋からガディ=ジュエが出てきた。勢いよくドアと閉め、怒りを露わにしているようだった。カイヤはそれに不吉なものを感じ、バレないように家の中に侵入し、ミヴェルがいるであろうドアを開けた。


そこでカイヤが目にしたモノ…


それはとても残酷な光景で、そして何故か美しかった。












真っ暗で何も見えないが、すすり泣く声が聞こえる。


ミヴェルが泣いているのだろうか…。ミヴェルが泣くなんてよっぽどの事だ。一体、何が起きたのか。


壁を手で触り、電気のスイッチを探る。


凸凹したスイッチらしきものを手で確かめスイッチを入れる。


部屋の内部が明らかになる。


物置部屋のようだ。箱が幾つか重なっており、絵画や高級そうな芸術品などが無造作に置かれている。少し埃で息苦しい。


泣いているのはミヴェルではなかった。だが、そのミヴェルは泣いているよりも悲惨な表情をしていた。


「おい…ミヴェル…説明してくれ…どういうことなんだ…」


カイヤの質問に動じない。動かない。


目の前の光景に、どう答えれば良いのだろう…。


泣いているのはエイヴァだった。ミヴェルにしがみつき、大声をあげて泣いている。身体には無数の傷跡がある。殴られたような痣、傷。


ミヴェルも同様に傷ついていた。だが、エイヴァと違い、人間味がなかった。


斜め下を向き、無表情で座っている。一瞬の息の音も感じさせない。


…まるで、人形のようだ。


ずっと泣いていたエイヴァがこちらに気づいた。そして再び泣き崩れそうな顔をし、カイヤにしがみつく。


「エイヴァ…!これは一体どういうことだ!!?ミヴェルは…!」


エイヴァの肩を掴み、つい強めの声で言ってしまった。エイヴァは恐怖で顔が真っ青だ。


「…脅かしちまったな、すまない…」


一旦落ち着く。深く深呼吸をして、周りの状況を確認する。


これは、ガディ=ジュエがした事なのか…?


何故、あんなに幸せそうだったのに…


「…ミヴェルはね…お父さんの前で男性になってしまったの…」


エイヴァの言葉で我にかえる。俯いていてエイヴァの表情は確認できないが、声と体が震えている限り、恐怖で怯えているようだ。


恐怖に怯えながらも、ゆっくりと、エイヴァは説明した。


「…お父さんは、女の子が欲しいの。だから女の子の時は優しい。でも…男の子の時は…ダメなの。ひとがかわる…。怖い…。怖いの…」


そう言いエイヴァはカイヤの腹にうずくまった。体の震えが一層増した気がした。


ミヴェルが、俺に伝えたかったこと。


俺は、ずっとミヴェルやエイヴァの変化は自分の父親の所為だと思いこんでいた。父親が嫌い、それだけの理由で。


簡単に言うと、周りが見えていなかった。


…他人の過去を、知らなかった。



ミヴェルやエイヴァの過去を知らずに、全てを知っている口ぶりをして、ミヴェルとエイヴァの過去に触れようとしなかった。


後々後悔しても遅いじゃないか。もう少し早く気付いていれば、ミヴェルが俺に自分の過去を気付かせる行動をする前に、気付いてミヴェルとエイヴァを助ける事が出来たはず。


「…ミヴェル…」


カイヤは少し掠れた声で呟いた。


「…今日の撮影会は、失敗だった…。今日のミヴェル、今まで撮られた中で一番僕…好きな写真だったのに、失敗作って…人形じゃないってお父さん怒って…」


エイヴァがカイヤの腹元で震声で言う。カイヤはその言葉に耳を疑った。


「それで…この傷跡…!」


「違うの…!ミヴェルは、カイヤを庇ったんだよ…!」


エイヴァがカイヤの方を涙目で見た。


「お父さんは…失敗したのはあの小僧が悪いって…カイヤが悪いって言って…!カイヤを捕まえようとしてたの…!でもミヴェルが…止めたの…。私が悪いって、だから…人形になってしまった…」


エイヴァの瞳から、再び涙が溢れた。


カイヤはしばしの沈黙の中にいた。そして、エイヴァの頭をそっと撫でてやり、足を動かす。


ミヴェルの前に立ち尽くす。


ミヴェルは見事に人形になりきっている。びくりとも動かない。


「…ミヴェル…。すまない…」


瞬間、乾いた痛々しい音が聞こえた。黒髪がさらりと投げ飛ばされる。


赤くなった手を見て、カイヤは怒りを露わにした。正気を戻したのか、目を見開いて状況についてこれていないミヴェルに向かって、ひどく怒鳴った。


「…なんでそんな大事なこと…!俺に直接言ってくれなかったんだよ…!!ミヴェルはいつもそうだ!一人で抱え込んで…エイヴァを助けたいとは言ったけど助けてとは言わなかった…!そんなに俺のことが信じられねーのか!?そして…」


ミヴェルを殴った手で、今度は壁を思いっきり殴った。


「なんで俺は…そんなミヴェルの過去を…知ろうとしなかったんだよ…!!」


ミヴェルの過去さえ知っておけば、こんなことにはならなかった。


ミヴェルが傷つく前に、俺が気付いていれば…過去を知っていれば…!


「…ごめん…でも、わかってくれて良かった…」


ミヴェルは、そう言いニコッと微笑んだ。赤くなった頰が腫れ、綺麗な顔が台無しだった。


「…カイヤ、いつも通り、接してくれていいんだ。…現実逃避じゃないけど…本来僕たちが歩むはずだった世界を…見たいんだ…」


ガディ=ジュエやカイヤの父親からの干渉がなければ、今頃はこんなことはなかった。毎日笑って過ごして、苦しいことなんて一つもなかったのに…。


そんな悔しい思いがこみ上げた。


だが、今、ようやくお互いの過去を知ることができた。


カイヤは深く深呼吸をしてから、微笑んだ。エイヴァの方からミヴェルの方へ、ゆっくりと二人を見回した。


きっと、どこかでこの過去をかき消すことができる、今の状況を壊すことができると自信を持った。


「…三人で、本来進むべき道を進もうぜ…!辛い過去なんて、消えてしまえばいい…!きっと、俺たちなら…!」


「…ああ。だから今は、できる限りのことをしよう…。いつか必ず、僕たちは自由になるんだ…!」


ミヴェルもそれに答えた。エイヴァももう泣かずに笑っている。


三人とも、同意見だった。


夢を三人で語り合った。


未来を語っていた姿は、過去なんて脳裏のどこにも存在していなかった。


だから、今からでも間に合う。そう思っていた。


…後々自由を壊してしまう三人の大事な過去を、三人は忘れてしまっていた。













悪は、自分の心にある。




































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