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我らは過去を食らう猫(モノ)  作者: 実音(みおん)
12/30

機械と人形と

小さな子は、私の家族でした。


血は繋がっていませんし、種族も異なっていましたが、十分に私の家族でした。


そして、私の唯一の親友でもありました。


家族になって何年か経った時、親友は忙しくなりました。


私の父親に連れられて、忙しく家から外へ行きました。


親友と遊ぶ時間が少なくなりましたが、親友が話してくれる外の話は、とても楽しいものでした。


私は親友ほど遠く外へ行ったことが無かったので、羨ましかったです。


大きくなったら、親友と親友の兄弟と3人で旅をしようと約束をしました。


そして、同時に私と親友は、種族に興味を持ち始めました。


本に書かれている様々な種族に、目を輝かせました。


そして、その種族…希少種猫を守る基地があり、保護員がいることも知りました。


将来はそこに入って希少種猫を助けようと、親友と将来を語り合いました。


さて、その種族の話なのですが、


私は生憎、なんの種族でもありません。


でも親友は、ある種族でした。


それが凄く羨ましかったです。


希少種猫に憧れてしまいました。


希少種猫であることの苦しさなど知らないのに、私はただその希少種猫の能力を欲しがりました。


希少種猫というモノを、欲しがりました。












なので、奪いました。


奪って希少種猫になりました。


なった時は嬉しかったです。


でも、後々の後悔でした。











他人の過去でこんなに苦しむとは思わなかったからです。











シュマンはミヴェルに関する仕事の替わりにある仕事を任された。重要な仕事だとは聞いていたのだが、詳しくはまだ分からない。


「…一度でいいから、ミヴェルさんに会ってみたかったなぁ…」


同じ「両性」の種族に会う事が望みの一つだったシュマンには、今回の事はよいチャンスを逃してしまったと考えただろう。シュマンの気分が少しだけ下がった。


「…確か、ここで待っとけって言ってたっけ…」


町の門を潜り抜け、壮大な大地を目の前にした。そこにぽつんと立っているこの町の名が書かれた看板付近に集合だとシュマンは聞いていた。


集合時間よりも早く来てしまった。


看板の文字を見て暇をつぶす。


ふと、懐から取り出した小さい時計を見てみると、ちょうど集合時間の1分前だった。


これで暇をつぶそうと、残り時間をカウントする。


「15…14…13…」


刻々と集合時間が迫ってくる。


そして、数え終わった瞬間だった。


「2…1…ゼロ!」


「失礼致します。貴方様はシュマン様で間違いないでしょうか?」


急に耳元で聞こえた声にシュマンは驚いた。そして男性化していた体が女性化する。


目の前には確かにさっきまで居なかった女性が無表情で立っている。柔らかい透き通るような金髪を横で三つ編みにし、清楚なイメージの女性だ。


この人、さっきまでここに居なかったはず。一体どこから…。


「驚かないで下さい。怪しい者ではございません。女体化したという事は正真正銘のシュマン様でございますね。本日は宜しくお願い致します」


まるで機械のようにスラスラと話を進めていくその女性に、シュマンは目を丸くした。急過ぎて頭がついていかない。


「…あの…すみません、一瞬過ぎて何がなんだか…」


そう言うと女性は改まって喋り始めた。


(わたくし)は今回シュマン様の援護をさせて頂く、希少種猫保護施設α基地、基地長援護班のアマノ=スィエルと申します。クロヤ様の付きの者と思って頂いて結構です」


「は、はぁ…。宜しくお願いします」


クロヤを始め、希少種猫猫保護施設の保護員は何処か掴めない人が多いとシュマンは思った。


「今回行く所はここから南に行った所にある町の希少種猫保護施設β基地です。そこの基地長様と、シュマン様は会って頂きます。理由は4ヶ月に一度クロヤ様がそこへ行ってβ基地長様と情報収集をされるのですが、今回は何かと忙しくて行けないという事でシュマン様に代理を任せたという事ですね。資料を持って帰ってきてほしいとクロヤ様から聞いております。不安がおありかと思いますが、β基地長様は良い方なので気を楽にして下さい」


ペラペラとアマノが説明する。重要な仕事とは基地長様と会うことだったことに、シュマンは少し肩を落とした。


「…結構人見知りするんですよね、私。どうして私を選んだのだろう…クロヤさん」


「クロヤ様によると、シュマン様は他人とのコミュニケーションを取るのが上手く、相手に好印象を与えるだろうという事らしいです」


クロヤからの言葉にシュマンは驚いた。


もうだいぶ楽になってきたが、初対面の印象が悪くなってしまった過去が時々蘇り、クロヤに嫌われないようにクロヤとの会話は意識的に注意する時も未だにある。だがクロヤがそのように自分のことを思ってくれていたことが単純に嬉しかった。


「…(わたくし)も、正直に言って羨ましいです。笑顔で話せる人に尊敬します」


アマノの言葉に、シュマンは少し驚いた。アマノは無表情で先へ進んでいる。


ふと、疑問が浮かんだ。


「あの…スィエルさん…」


「スィエルは性です。アマノとお呼び下さい」


「す、すみません…アマノさん…」


失礼な事をしてしまったと自分の中で後悔した。


「…で、(わたくし)を呼び止めた理由、用件をお話しください」


アマノに聞かれて本来の目的を取り戻す。


「…あの、なんで目を瞑ったままなんですか…?」


出会った時からそうだ。この人と目を合わせようとしてもできなかった。何故ならアマノはずっと目を瞑ったままだから。目を閉じ、決して開くことはない。その事に疑問を感じたのだ。


「…個人の自由ですよ。目を閉じているのは。私の種族上、そうするしか仲間に迷惑をお掛けすることを阻止する方法は御座いませんので…。ちゃんと前も見えますから心配は無用です。…私が言えるのはここまでです。クロヤ様から私語はなるべく慎むようにとの事であり、クロヤ様の許可が無ければ話せないのです。申し訳ございません」


シュマンとは目を合わせずに、前を向きながらアマノは言った。


種族上の理由…アマノさんは何の種族だろう…と、シュマンは疑問を抱いた。


「…着きました。この門をくぐり抜けて右に曲がって直ぐの所に保護施設はあります。この土地を知るために少し町を散策しますか?それとももう保護施設へ向かいますか?」


アマノが質問する。ここの町はα基地がある町とは真逆だった。


門を入ると直ぐに人が目に入り、まるで商店街のように人々が行き来している。様々な種類のお店もあるようだ。少し散策してみたい気になった。


「散策したいです!この町楽しそう…!」


「分かりました。生憎、私はシュマン様を保護施設まで案内するというのが理由でここに居る身、町の散策は私の専門外です。この町の地図を渡しておきますから、これを使ってください。用が済みましたら一度私に連絡を入れてこの門へ戻ってきてください。では、また後で」


アマノはそう言い、ペコリと一礼すると町の中へと入っていった。


シュマンは受け取った地図を頼りに、この町を散策する事にした。











β基地があるこの町は、α基地と真反対だった。


α基地がある町は、中心部に人が集まり賑わっている。だが中心部以外は何故か寂れていて人通りが少ない。


だが、この町は入り口の門から入ってすぐに人が溢れ、商店街が連なっている。

だがいざ中心部にくると、さっきまでの人通りが嘘のように酷く寂れた地と化していた。


中心部にぽつんと存在する大きな噴水に座り、あたりを見回す。遠くの方で人々の声が微かに聞こえる程度で、他は何も聞こえない。


「本当…逆なんだなぁ…なんか変な感じだ…」


この町のこの不思議な雰囲気に圧倒された。どこからか現れた謎めいた不安感に押され、シュマンは中心部を後にした。


しばらく人通りの中を進む。人混みにはもう結構慣れたつもりだ。まだ朝早いのもあって人通りが少ないのもあってか、人酔いはしなかった。


昼になると人が増えるとアマノは言っていた。お昼までには用事を済ませたいと思った。


商店街を歩いていくと、アマノさんの姿を見かけた。ショーウインドウの中の商品を見ているようだった。


シュマンはその光景を見て、足を止めてしまった。


ガラスに映るアマノの顔はニッコリと微笑んでいた。無表情で笑わなかったあのアマノさんとは大違いだ。


そして、シュマンはアマノのある一点に目が行った。


「…綺麗な目…」


あの硬く閉ざされていたアマノの目がしっかりと見開いており、瞳が見える。その瞳は虹色だった。


アマノさんは何故綺麗な目を持っているのに、他人に見せないのだろう…と、シュマンは疑問に思い、アマノに声をかけた。


「あの…アマノさん…?」


「…っ!!」


アマノが振り返った時、一瞬だけ目が合った。瞬間、グラっと体が傾く。


「シュマン様!!」


バランスを崩しただけで、特に体に異常は無かった。アマノがシュマンに声をかける。


「…よかった…シュマン様、申し訳ございません…私のせいで…」


機械的だが心配するような謝る声が聞こえた。


「だ…大丈夫ですよ!ちょっとバランスを崩しただけですし…」


ハハハッと笑いながらアマノを見る。


さっきの虹はもう見えなくなっていた。


「…アマノさん…どうして綺麗な目をしているのに、目を見せようとしないんですか…?」


疑問に思った事をそのまま言った。少し抵抗があったがアマノの事を知りたいという思いの方が強かった。


アマノは、一瞬だけ悲しそうな顔をすると、口を開いた。


「…それは…」


その時だったーー


ひどい爆音とともに隣の店の壁が吹き飛ぶ。人々の叫び声が響いた。


「猫狩りですね…」


「え…!こっちの猫狩りってこんなに豪快なんですか!!?」


α基地の町に現れる猫狩りとは大違いのこっちの猫狩りの行動にシュマンは驚愕した。


煙の中から猫狩りと思われる男が現れた。シュマンは戦闘態勢にはいる。


「よし…!行きます!」


「…シュマン様、待ってください」


シュマンが拳を入れて飛び掛かろうとした途端、アマノが冷静に止めた。


「ここは、私にお任せを。シュマン様の疑問を、解決させて見せましょう」


そう言うと、アマノはシュマンの前に立った。


猫狩りの男は、アマノの方をギラリと睨んでいる。


アマノは、静かな深呼吸をした。


隠れていた虹が、再び現れた。












全神経が七色の瞳に集中する。


相手を睨むと、案の定、前のめりになって倒れてしまった。


ため息を一息吐く。


…きっとまた…嫌われるだろうと…


「…す、すごい…!すごいです!アマノさん!!」


シュマンが目を輝かせて言う。アマノはその反応にびっくりした。


「…シュマン様は、怖がらないのですか…?」


皆驚き私を怖がって逃げていくのに、この人は全然怖がらない。


…なぜ…


「え…怖がるって…なんでですか?すごいじゃないですか!相手を見ただけで気絶させることが出来るなんて!私羨ましいです!」


ニコニコ笑いながらシュマンが言う。こんな体験はあの人以来だ…。


「…クロヤ様…やはり貴方の言う通りでしたか…」


アマノはそう呟いた。


「シュマン様、私は貴方がそう思ってくれたことにとても嬉しく思います」


「え…?」


口を開けるシュマンの方を見て、薄く笑った。目は閉じたままだが、微笑んでいるようだった。


「…貴方には、言ってもいいでしょう。…私の種族は、『シャ・プリュネル』別名『瞳の猫』という種族です」


シャ・プリュネル


「シャ」はフランス語で「猫」、「プリュネル」はフランス語で「瞳」という意味。簡単に「瞳の猫」と言われることが多い。「両性」や「永年猫(えいねんびょう)」などの後世に受け継がれていく『血族型』とは違い「過去を食らう猫」と同じ、家族や兄弟の間で突発的に起こり、後世には受け継がれない『突発型』だ。そして、シャ・プリュネルの能力は「瞳」に関わるもの。瞳は綺麗な虹色をしていて、それを見た者は何らかの状態に陥るという。その種類も様々で、人を幸せにさせるものから人を死に落とし入れるものまである。


「…私の能力は、他人を気絶させるというもの…。そのせいで、私は、住んでいた村から追い出され、軍隊に無理矢理入れられた」


アマノの顔が暗くなる。どんな過去かは分からないが、この人も苦しい過去を背負っているのだろう。


「軍隊に入っても…結局はこんな私を、受け入れてくれる人なんて居なかった…。私は、利用されるだけの機械でした」


シュマンに背を向けて、倒れている猫狩りを見る。猫狩りの襲撃により割れたガラスの破片に、アマノの顔が映っていた。


虹色の目が、寂しそうに光る。


「…だから極力、目を使わないようにしてました。他人を気絶させないため…そして、他人に嫌われないため…」


目を閉じて、再びシュマンの方を向く。無表情だが、どこか悲しそうだった。


「…そんな…!私は信じます!アマノさんはちゃんとした人です!…機械なんかじゃない!」


シュマンは必死になって強めの声で言った。受け入れて貰えない苦しさは、どこか分かる気がした。


「…ありがとうございます。信じているから、私は貴方に真実を言ったのですよ」


アマノは再び笑った。


「もうそろそろよろしいですか?β基地へ向かいます。ここから近いですし、この猫狩りの処置もして貰わなければなりませんし」


そう言い歩き出した。











β基地に着くには、時間はあまりかからなかった。外見はα基地とあまり変わらない。


アマノに連れられて、β基地内へと入る。


入ると直ぐに、怒声が聞こえた。


「まだなのかい!!もう12時じゃないか!せっかく久々にクロヤに会えると言うのに!」


「エリス様、落ち着き願います。今回はクロヤ様は生憎お忙しくこちらに来られないという事でクロヤ様から代理人を任されここに参りました」


アマノが説明するとエリスと呼ばれた女性はシュマンの方を見た。


「そうなのかい…。クロヤの言うことなら仕方ないねぇ…残念だ。で、この子が代理人かい?」


女性はシュマンの元に歩み寄り、ジロジロと見た。


肌の露出が多い服。緑の髪をポニーテールにして、赤い髪留めをつけ、腰には日本刀をさしている。何処と無くどこかで見た覚えがある顔な気がした。


「あんた、名はなんと言うんだい?」


「シュ…シュマンと言います!「両性」と、「過去を食らう猫」の種族です…!」


緊張しながらニコッと笑い答える。エリスはシュマンの態度を見てニカッと笑った。


「さすがクロヤが選んだ子だ!素直でよろしい!」


「あ…ありがとうございます!」


ぺこりと頭を下げた。相手からの印象は良い方だ。


「あたしは希少種猫保護施設β基地の基地長を務める、エリス=スーリールだ!よろしくな!」


そう言い豪快にエリスは笑った。シュマンもつられて笑う。


ふと、何かを思い出した。


「…スーリール…?どこかで聞いたような…」


「ああ、ジエンの知り合いかい?弟が世話になったね!」


「誰かに似てると思ったら…じ…ジエンさんの姉だったんですか!?」


ジエンに会ったことはないが、師匠が持っていたジエン写真の以前見せてもらっていたのでなんとなくだが顔は覚えていた。エリスはそのジエンの顔にそっくり…というか瓜二つだった。


ジエンが寡黙で無口なのに、姉であるエリスが豪快で口数が多い、兄弟なのに性格が真反対なのにはびっくりした。


「ジエンはもう死んでしまったが、あたしは健在だ!悲しいが、あたしがエルフ(キャット)の意思を継いで行かなきゃならない…!結婚したいのだけどね、相手が私の事をどう思っているか!」


相手…?と一瞬悩んだが、アマノがシュマンの方を見て小声で「クロヤ様のことです」と伝えてくれたので納得した。


多分今のクロヤさんの状態じゃ、無理だと思いますよ。っと心の中で言っておく。


「はい!これ頼まれてた資料だ!クロヤに渡しておいて欲しい!あと…クロヤに暇な時は来ても良いと伝えて欲しい!頼んだ!」


バザッと資料の入った袋を投げ渡された。結構な重さで体がぐらつく。


「こ、こんなにあるんですか…!」


「ああ!今回はいつものにあいつの資料も入ってるからな!」


「あいつ…?」


「全然β基地(ここ)に帰ってこない!家出野郎のミヴェル=ソワールだよ!」


ミヴェル=ソワールと言う名に聞き覚えがあった。自分がつい最近まで仕事で探していた人物だ。


「まだ、見つかっていないんですか?ミヴェルさん…」


「そうだ!全く…あいつには手が焼けるよ…。弟の事となると人の話を聞かない…」


ミヴェルは弟探しの為に今いない。弟がみつかると良いのだが、今のところ、見つかっていないから帰っていないということか。


エリスは大きなため息を一つ吐くと、ドサッと椅子に腰掛けた。


「クロヤにも協力して貰ってんだ、だからその資料を渡したんだぜ。大事にな、中身は見るなよ!」


「は、はい!」


「まあ君の性格だったら、人の過去を勝手に見るなんてこと、しないだろうけど」


少しだけ、罪悪感が起きた。過去を食らう猫である以上、嫌でも人の過去を知ってしまう。


はは…っと愛想笑いをするしか出来なかった。


「そろそろいいですか?エリス様、失礼いたします」


アマノが場を見計らって間に入りそう言う。時計を見ると14時ちょうどを指していた。


「本当お前は時間と仲良しだねぇ…」


「褒め言葉ですか?それは」


エリスの呟きに無表情で答えるアマノ。多分エリスの苦手なタイプかも知れない。


「では、失礼します…!ありがとうございました!」


「おう!また来いよ!大歓迎だ!」


エリスはニカッと笑い、子供のように手を振った。本当にジエンさんとは大違いだな、と再度感じた。



帰り道、アマノがふと、こんな事を言い出した。


「シュマン様は…男性時と女性時で何か考える事に変化など御座いませんか?」


「え…?」


それは男性と女性とで相手を見る目が違うから言うのだろうか。それだとしたら、シュマンの場合は両性とも同一の考えをもっている。


「別に…そんなのはありませんですけど…どうしたんですか?」


理由を聞くと、アマノは少し黙ったのち、こう言った。


「…ミヴェル=ソワールは、私が思う限り、男性時と女性時とで性格が違いましたから…」


「え…」


衝撃的な事を聞いてしまった。












「以前、一時期β基地の方で仕事をする機会があり、その時にミヴェルと何度かペアを組みました」


「そ、そうなんですか…?」


「はい。彼は友好的で良い方でしたよ。物事をよく見て行動でき、相手に対して物腰が低かった。…」


そこまで言うと、アマノは黙り込んだ。


「…彼女は、弟想いですが、少し突っ走ってしまう…。弟に対して狂愛しています」


風が微かに吹く。アマノはその風に少し警戒し、そしてこれ以上何も言わなかった。


(男性時と女性時で…性格が違う…?)


そんな事はあり得ない。「両性」の種族は男性と女性の両方の身体と精神を持っている。性格は男性時も女性時も変わらないはずだ。なのになぜ、ミヴェルの場合はこんなにも違うのか…?


「…私の推測ですが、ミヴェルは過去に差別を受けていたと思います」


アマノはシュマンの方を無表情で向いた。風がアマノの髪をなびかせる。


「クロヤ様がこう仰っていました」


『ミヴェル…あいつの過去は悲惨だ…


あいつは、女性として認められた。


その逆に、男性として、貶された。』



「男性時と女性時で…扱いが違ったということですか…?」


「はい。他人からの扱えが違えば、自然と干渉され性格が変わってくる。ミヴェルの場合、他人に貶された男性時のミヴェルは、きっと悲惨な過去の事を隠し、前を向いている。だが他人に認められた女性時のミヴェルは…悲惨な事を知らない」


風が強くなった。あたりが風の音だけになる。


「…もうやめましょう。相手の過去なんて、できる限り知りたくないんです」


シュマンは俯いたままそう言い、先へ進んだ。


…何か触れちゃいけない忘れてしまった記憶に、触れそうな気がした。


怖い…


アマノもシュマンの態度を見て口を閉じた。


(…ミヴェルは、私と似ていたから…


女性時のミヴェルは、人形でした。それが何となく私の過去と似ていた。


私は…人形になる事を拒んだ男性時のミヴェルを…尊敬します)


アマノは心の中でそう収めた。












親友とその弟は、家族では無くなっ

てしまいました。


隣町のある一家に引き取られるそうです。


お別れは寂しかったですが、隣町なのでまたいつでも会えます。


親友だと言うことは、変わりませんでした。


親友と別れてしばらくが経ち、私は1人で世界を回ることが出来る年になりました。


久しぶりに親友に会いに行こうと思いました。


連絡を入れると、隣町の門の前で待ってくれると言いました。


急いで行くと、親友は大きく手を振ってくれました。


私はとてもびっくりしました。


親友は、とても綺麗で美しくなっていました。


可愛らしい女性になっていました。


褒めると、親友は少し照れてこう言いました。


「妹の方がかわいいよ。愛しいぐらいに」


妹も、見てみたいなぁと思いました。









この頃から、親友は変わってしまったのかも知れません。















































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