出来損なった魔法使い
今回は余り残酷描写は入っておりませんw
皆さん、こんにちは。
私は叶夢。夢の案内人です。
ところで皆さん。
皆は出来ているのに、自分だけ出来ないという経験はありませんか?
今回紹介する話はそんな一人の魔法使いの物語です。
それでは『出来損なった魔法使い』お楽しみください。
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それはそう遠くない昔のこと。
一人のとても優秀な『サス』という名の魔法使いが居りました。
サスは皆から恐れられており、一緒に食事をしたり、話したりする相手がいなかったのでいつも孤独でした。
ある日サスは、ユニコーンの角と人魚の髪と竜の肉と自分の血に魔法を掛けて、二人の子供を造りました。
何回か失敗しましたが、暫くして見た目がそっくりな二人の男の子が生まれました。
サスは大喜びして二人に魔法を教えました。
二人は期待に答えるため、一生懸命勉強しました。
しかし、何故か片方の子供には魔力が沢山宿っており、片方には全く宿っていませんでした。
そのためか魔力が宿っていない子供はもう一人の子供に「お前はきっと出来損なったんだな」とけなされていました。
それから暫くの年月が経ちました。
その日、二人はサスから課題を与えられていました。
魔力を沢山宿している子供は難なくその課題を達成することが出来ましたが、魔力を持っていない子供は達成することは出来ませんでした。
「ふん、この出来損ない、本当に父上の血が入っているのか?お前ってホント何にも出来ないよなぁ~。・・・父上もそう思いますよね?」
魔力を持った子供が、薄く笑いながらサスに問いかけました。
サスはビクビクしながら見上げる子供を冷め切った目で見ながらいいました。
「はぁ・・・お前はどこで造り間違ったんだろうな。魔力を持っていないなんて・・・・もういい、二人とも部屋に戻れ」
「はい、父上」
魔力を持った子供はうやうやしくお辞儀をすると、魔力の無い子供を押しのけながら帰っていきました。
「あのお父様」
「・・・なんだ?」
「ごめんなさい・・・」
「そう思うならさっさとこの場から消えろ」
「・・・・はい。」
子供が思わず泣きそうになって顔を上げたときでした。
突然、家の扉が開き町の役人たちが立っていたのです。
「なんの御用で?」
「あなたがサス様でよろしいですか?」
「ああ、その通りだが・・・」
「いきなりですみませんが、隣の国で魔法使いが反逆を起こしたことはご存知ですかな?」
「それがどうしたんですか?」
「実はそれが原因で、この国の王が力を持った魔法使いを始末しろという命令がでまして・・・・今からあなたを処刑しなければいけなくなったんです、よ!!」
その声と共に役人は大きな銃を懐から取り出しました。
サスは突然のことで魔法を使う暇すらありません。
「お父様、危ない!!」
バーーーーン!!!
銃声が響き渡り、サスが恐る恐る目を開けると目の前には床に倒れた子供の姿がありました。
その時サスは悟りました。
さっきまで、自分に罵られていた子供が自分の身代わりになってくれたことに。
「仕留めれたか?」
「いや、別の奴に当たったぞ」
「煩い!どけ!!」
サスは魔法で役人たちを蹴散らすと、床に倒れている子供のもとまで駆け寄りました。
傷を魔法で塞ごうとしますが、血が大量にですぎて手遅れのようです。
「お父さ・・・・ま・・・?」
「目を覚ましたか!?」
「ご無事でよかったです・・・・」
子供は自分が血だらけであるにも関わらず、にっこりと笑いました。
このときサスはやっと分かりました。
本当に大切なものは何なのかが。
「お父様・・・・ごめんなさい・・・いつも魔法が使えなくて・・・」
「そんなことない!謝るは私のほうだ!!本当に大切なものが今になってやっと分かったんだ!!!」
しかし、サスは分かるのが遅すぎました。
なぜなら、もう子供の耳は聞こえていなかったのですから。
子供は死ぬときまで、『自分は出来損ないだった』と思って死んでいくのです。
「お父様・・・本当にごめん・・・・な・・・・さい」
「おい!まて!!待ってくれ!!!」
サスは必死に言いましたが、子供の体は氷のように冷たくなっていき、やがて静かに息を引き取りました。
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皆さん、どうでしたか?
『本当に大切なこと』とは一体何なのか?
皆さんはしっかり気付けていますか?
それでは、また次の夢でお会いしましょう。
ところで皆様の叶夢のイメージってどんな感じですか?
よければ教えてください。
感想&評価していただけると嬉しいです。