プロローグ
グロテスクな表現を含みます。苦手な方は読むのをお控えください。
また、小説内でのカギカッコの使い分けは以下の通りです。
「」…会話
『』…心の中の声
この春、赤目高校2年3組に進学した東 慎一は悩んでいた。
高校生ともなれば、恋愛の沙汰もつきもの。
中学の頃からそう信じていたが、1年次はフリーのままに幕を閉じた。
いや、まだこれからさ、あと2年あるさと言い聞かせて涙を飲んだ終業式。
始業式には気持ちを切り替え、この1年で頑張ろうと決意した。
しかし、悪魔のにやけが止まらなかった。
新学期が始まって1週間。
クラスの女子に、フリーの者はいなくなっていた。
ワケが分からないまま、何とか気持ちを落ち着けて考えた挙げ句、大変なことに気付いた。
3組の構成は、男子21人、女子20人。
クラスの男子の誰かは、クラスの女子の誰かとくっついていた。
つまり、慎一だけが余ってあとは全員カップルと化したのである。
慎一の望みは絶たれた。1週間で。
しかし、始まりから相当な疎外感に苛まれている中、朗報が飛び込んできた。
「可愛い転校生が来る。」
慎一は決意した。
彼女は絶対にモノにすると。
状況は一気に好転した。
敵がいないのだ。
二股覚悟で狙ってくるような肉食獣がクラスにいなければ。
あるいは、その子がクラスの別の誰かに惚れなければ。
慎一はその日まで、イメージトレーニングを重ねた。
重ねすぎて、たまに声に出ていて弟に聞かれて引かれもした。
それでも慎一はめげなかった。
そして遂に、決戦の日―――――。