scene 6
「まずこの世界の名前はラストフロンティアというにゃ」
しっぽをふりふりさせながらカッカッカッと黒板に文字を書いていく、異国情緒あふれるこの世界で当たり前のように日本語が使われるのは、まあ仕方がないのだろう。
「おみゃーら二人はステイトから来たかにゃ?」
「はい」「おう」
「ならステイト中心に話すにゃ。まず・・・」
ニャムニャが黒板に大きな横広がりの楕円を描く。
「これが大雑把なラストフロンティア全形にゃ。で、ステイトがここら辺」
カッカッと左端に点を打つ。
「この辺りはモンスターも弱くてけっこう平和だにゃ、でも東に行くほどモンスターは強くなっていくにゃ。それはもともとモンスターが東からやって来たからなのにゃ。
それは今から200年ほど昔の話にゃ。世界にまだ五種族同士の争いが絶えなかったころ。東の果てから魔族の軍勢がやってきたにゃ。魔族たちは強力で、またいくら倒しても後から後からやってきて、きりがないほどたくさんいたそうにゃ。五種族それぞれが戦ったが一つ一つの種族では魔族に対抗しきれなかったにゃ。そこで当時の五種族の長たちはしぶしぶながら手を取り合って魔族討伐軍を創ったにゃ。これが今の冒険者の原型といわれてるにゃ」
「質もーん、魔族って何ですか? モンスターではないんですか?」
コタマルが手を挙げて疑問を投げかける。
「モンスターよりも知性がある存在だったと言われてるにゃ。その分個体数がすくにゃかったから実際にはたくさんのモンスターと親玉の魔族って感じだったにゃ」
横からの質問にも当たり前のように答えるニャムニャなんかもうNPCとかAIという考えは捨てたほうが楽かもしれない。
「話を戻すにゃ。討伐軍は各地で奮戦。多大なる戦果を挙げたにゃ。だけど魔族の増援は尽きる事を知らず、このままではいつか敗北することは必至だと思われたにゃ。そこである大魔法の使用が計画されたにゃ。
それが大結界にゃ。簡単にいえばラストフロンティアをおおう超巨大にゃ壁を創ってこれ以上の魔族の増援を断ち切る計画だにゃ。主導したのは当時最高と謳われた魔法使い、賢者カスパール」
その名前を聞いたアルフとコタマルは揃って変な顔をした。
あの傍若無人で厭味ったらしいじいさんが伝説の中に出てきてしまったのだから仕方がないのだろう。
「彼とラストフロンティアでもえりすぐりの魔法使いたちにより大結界は完成。魔族の増援を断ち切ったにゃ!!
そして人類は大反攻作戦を実行。幾人もの英雄たちの活躍により、ついに結界内に取り残された魔族をすべて討ち取ったにゃ。その影響でモンスターたちもちりじりに逃げていき、世界に平和が戻ったにゃ。これが大体150年前にゃ」
「なるほど・・・」
「この戦いの後五種族は互いに手を取り合って共存の道を歩み出したのにゃ。万々歳にゃ。
でも逃げ出したモンスターは各地に巣を作り増えたりしていったにゃ。これが各地に点在するダンジョンなのにゃ。
当時人類の拠点となっていたこのあたりはだいぶ念入りに掃討されたのにゃけど、東のほうはいまだに強力なモンスターも多いにゃ。今も最前線なのにゃ」
「なるほど、そしていまだに暴れているモンスターと戦うのは俺たち冒険者というわけか」
「そうにゃ、賢者カスパールは言ったにゃ。大結界も絶対ではない、いつか何らかの理由で破られるだろう、その時に戦いを忘れなすすべもなく敗北しないよう、平時においても、装備を整え。
いざ変事があれば冒険者は集まり一丸となって戦うように。
・・・と、その言葉を忘れず、実行させるために冒険者ギルドは設立されたにゃ」
「なるほどな」
「ちなみにこれでチュートリアルの半分は終わったにゃ」
「半分?」
「今のは座学にゃ」
座ってないけどな、とコタマルは内心で突っ込みを入れた。
「残りの半分は実技にゃ。ちなみにこれは選択制で、受けても受けにゃくてもいいにゃ。これが一覧にゃ」
渡された一覧表には5つほどのクエストが表示されている。
採取、お使い、人探し、討伐、到達の中からクエストを選べるようだ。一応報酬がでるらしく、防具が得られるらしい。
「どうする?」
「一応全部受けとくか? 出来るのを残しとくのも気分悪いし」
「そうだな、チュートリアルだし、そう難しくないだろ」
二人はニャムニャに向き直る。
「全部受けます」
「にゃんと、なかなかやる気にあふれた新米にゃ。最近は全部受けていく奴は少なかったにゃ。おみゃーたちはなかなか見所があるにゃ」
二人はニャムニャにすごく気に入られたようだ。
「それじゃあ始めのクエストにゃ。
記念すべき初めてのクエストは・・・【採取の練習】にゃ」
そういったニャムニャは入口とは反対をピッと指差した。
遠くの壁には入り口と同じ門が見える。
「あそこから林に入れるにゃ。そこで薬草を探してくるクエストにゃ。これが見本にゃ」
ニャムニャがぽいっとアルフに何かを投げ渡す、見るとそれはホウレン草ににた葉っぱの植物だった。
・・・イメージ通りでとてもわかりやすい。
「これと同じものを一人十束探してとってくるにゃ。わかったかにゃ?」
「了解」「わかったぜ!」
ポーン
二人がそう答えると、突然電子音が耳の中で鳴り、ステータスカードが出現。そこにはこう書かれていた。
『クエストが受諾されました。あわせて、ステータスカードの機能が追加されます』
二人は顔を見合わせると、ステータスカードを操作する。
ステータスカードには見慣れない項目が付かされており、そこで受けたクエスト、完遂したクエストなどが分けられて表示される機能が追加されていた。
「こういう風に機能の拡張もあるんだな」
コタマルは感心したようにうなずく。
クエスト覧には【採取の練習】と書かれていた。
二人は機能について大体のところを把握するとステータスカードをしまって林のほうに顔を向ける。
「よし行くか!」
「頑張ってくるにゃ」
「おう! 行くぜアルフ!」
「ああ!」
声を掛け合いニャムニャに見送られながら、二人は走り出した。
モチベーション維持のために面白いVRMMO系ネット小説を教えてくれるとうれしいです。
既読は
Atlus-Endless Frontier-
初めてVRMMOをやってみる。
Only Sense Online
ONLINE
R.G.O!
≠ Unknown World Online
フリーライフ ~異世界何でも屋奮闘記~
- Arcana Online -
エデン
Noir
オンラインオンライン
です。
感想も待ってます。




